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31 エピローグ

救出作戦決行。

ミッションインポッシブルの音楽をイメージしながら、みんなで王都に飛んだ。

住民達が空を見上げて騒いでいる。

王都の上空を旋回しながらシロが話し、俺が拡声魔法で王都中にシロの声を響かせる。

「我ハ竜ノ王、エンシェントドラゴンナリ。竜ハ人間ノ朋輩デアッテ奴隷デハナイ。王城デ奴隷ニサレテイル竜ヲ解放セヨ。30分待ツ。解放シナイ場合ハ王城ノバリアヲ破壊スル。」

王都の上空を旋回しながらこれを3回繰り返した。

”シロってエンシェントドラゴンなの?”

「生マレ変ワリダケドネ。」

前世で大きな竜だったとは聞いていたけど、エンシェントドラゴン、うん確かに大きいね。

「1万年タテバ大キクナル。」

そだね。

ここで役に立ったのは盗賊さんに貰った懐中時計。

しっかりと時間を計らせて貰いました。


30分経過。

ドカ~ン、バリバリバリ!

俺のレーザービームがバリアを貫いた。

あのバリア、直すのにとんでもない費用が掛かるんだよね。

ご愁傷さまです。

「30分待ツ。奴隷ニサレテイル竜ヲ解放シナイ場合ハ王宮ヲ破壊スル。」

王都上空を旋回しながら3度繰り返した。

王都の住民も何が起こっているかを知った筈だ。

幸い青竜の厩舎は王宮からは少し離れている。

最悪の場合はシロが王宮攻撃中に俺が厩舎に行って解放する段取り。

王宮からバラバラと人が走り出している。

万が一に備えて避難しているようだ。

時間が過ぎる。

20分。

25分。

王城から青竜が飛び立った。

「王ニ告グ。竜ニ隷属魔法ヲ使ウ事ヲ禁止セヨ。王国内ニ捕ラワレテイル竜ノ解放ヲ命ジヨ。次ハ無イト思エ。」

王都上空で3度繰り返して宣言し、解放された青竜と共に郊外に飛ぶ。

王都から離れた草原に着地して青竜の首にある傷を治療した。

青竜の話では王宮で王にも家臣達にもは可愛がられていたらしい。

ただ竜騎士を殺した公爵には強い恨みがあるそうだ。

竜の奴隷化を進めたのは王の叔父である公爵で、俺を襲わせたのもその公爵らしい。

もう1頭の青竜が捕われていたのが公爵屋敷だそうで、青竜を開放するついでに破壊すれば良かったと反省。



王都から離れた岩山に着地した。

シロはここで暫く過ごした後、地方を回って捕われている竜がいないかを確認したいらしい。

竜同士で色々と話すことも多いはず。

俺はみんなの食事を用意する係。

今まで辛い思いをしてきた竜達を少しでも労わってあげたかった。

10日程岩山でのんびりした。

シロが気配を全開でまき散らしているせいで奴隷から解放された竜が7頭やってきた。

俺は竜の傷を治して食事を食べさせる。

竜騎士を失った心の傷は治せないが、少しでも安心して過ごしてくれれば嬉しい。

集まってきた竜達の情報でまだ数頭の竜が捕われていると判った。

朗報が入った。

茶竜が1頭捕われているのだが、その場所が王の叔父というマケド公爵の領都にある城。

みんなやる気満々。



5日掛かってマケド公爵領に到着した。

ギリシ国に来て最初に訪れた街、テッサロ。

隠蔽魔法を使って俺とシロが城内に忍び込む。

数人の警備兵がいたが、麻痺させて厩舎にたどり着いた。

状態異常無効の魔法で隷属の首輪を破壊、茶竜を連れて城から脱出した。


翌朝はみんなの出番。

「公爵ヲ王ノ命ニ背イタ罪人トシテ処罰スル。」

シロが話して俺が拡声しながら領都上空を旋回。

領都中に触れ回る。

並行して3頭の竜が丘の上にある巨大な城にブレスを打ち込む。

10頭はブレスを撃てないので周辺上空から復讐劇を観覧。

城から矢や魔法の反撃があるが、3頭のブレスで城のあちこちから火の手が上がる。

竜達が満足したようなので、最後はシロのブレスで城の立っていた丘ごと吹き飛ばした。

あとは竜達と編隊を組んでギリシ国中を巡回。

3か月のデモンストレーション飛行で捕われていた竜は全て解放された。



「これからどうするの?」

「竜ノ里ニ向カウ。」

「竜の里?」

「朋輩ヲ失ッタ竜ノ住ムトコロ。」

「どこにあるの?」

「秘密。竜騎士ヲ失ッタ竜ハ竜ノ里デ卵ヲ産ミ人里近クニ運ブ。」

「自分で育てないの?」

「人間ノ魔力ヲ貰ウ方ガ強イ竜ニナル。」

そうなんだ。

「卵が魔物に食べられるとかは無いの?」

「竜ノ匂イガ染ミ込ンデイルカラ安全。」

いろいろと知らなかったことが判った。

竜達が安心して暮らせる場所があるのは俺も嬉しい。

シロが考え込んでいる。



「俺は竜の役に立てるなら嬉しいよ。」

言葉に出してシロに伝えた。

シロの気持ちはそのまま俺に伝わっている。

竜の里には怪我をした竜もいるし、出産時に力尽きて死ぬ竜もいる。

年老いて痛みに苦しんでいる竜も沢山いる。

シロは竜の王として竜達の心配をしていた。

俺は老竜介護も有りだと思った。

シロは迷っているようだが俺には迷いは無い。



3日後、開放された竜達は竜の里へと旅立ち、俺とシロは一旦ドラゴに戻った。

旅の間に書きとめた竜の治療法や治験の資料を渡す。

「竜ノ里ガ栄エレバ、ドラゴ国ニ運バレル竜ノ卵モ増エル。人モ竜モ幸セ。」

シロの説得でドラゴ国王も納得し、竜の里に旅立つシロと俺を盛大に見送ってくれた。


俺は竜の里で竜の治癒師となった。

大好きな竜達に囲まれ、竜達も俺を慕ってくれる。

うん、幸せだ。


   完


作者名を免独斎頼運に変更して新作、SSランク冒険者のお仕事は下着の洗濯です ~討伐依頼? そんなものありません~の投稿を開始しました。

今迄の作品は全て改訂予定ですがだいぶ先になる予定です。

申し訳ありません。

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