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26 訓練は大切

目標だった初投稿から1ヶ月連続投稿迄あと10日。いよいよ後半戦突入です。

もう一つの目標である投稿作品完結も3作品の完結に目途が立ちました。完結後の新作品も投稿準備を進めています。

拙速で粗い作品ですが、ストレスフリーで楽しんで頂けることを第一に頑張っています。これからも宜しくお願いします。

「やった~!」

「ぐぬぬ。」

近接戦闘の学年末試験。

俺は2勝17敗。

女子9人には全敗。


「先輩の言う通り、試合中にチラッと視線を外したわ。ありがとう。」

1年の時から同じクラスの女の子が教えたらしい。

体は12歳だが中身は27歳。

背の低い俺の目の前でプルンプルンしたら見るよね。

決して俺がスケベな訳では無い。健全な条件反射だ。

困った時は体を揺すると視線が逸れるというのが俺に勝つこつらしい。

毎日ランニングをしているし、格技のイメージトレーニングもしている。

だが男子とは1年ごとに体格差が大きくなっている。

女子は1年ごとプルンプルンが大きくなっている。

勝てる要素が無い。

「はぁ。」


学年末成績が発表された。

近接戦闘は93点。とうとう100点を切った。

不合格の80点は目前。

うん、来年は頑張る。

過去は忘れて未来に生きるのだ。


儀礼の成績が上がった。

なんと134点。

但し書きにシロ130点、レオ4点とあるのは見なかったことにした。

去年よりも上がったのだから大したものだ。

「ぐぬぬ。」

「ダイジョウブ、ボクガガンバルカラ。」

シロは良い子だ。

思い切りワシャワシャした。



「おりゃ~っ!」

高速飛行で接近し、身体強化を掛けた全身を使って思い切りラ〇トセーバーを振りぬく。

バリアが1枚パリンと割れるがその瞬間に振り上げられた爪で俺のバリアが3枚吹き飛んだ。

素早く横に飛行しながら光速魔法を放つ。

“レーザードリル”

白い光が高速回転しながら突き刺さる。

バリア1枚が割れるが尾の1撃で俺のバリアが2枚割れた。

“サイクロントルネード”

巨大な竜巻がシロに襲い掛かる。

ブレスの1発で無効化された。

「ふうっ。」

「キュウケイスルカ?」

「うん。」


地上に降りてもう一度戦いを振り返りイメージを作り直す。

シロが相手だと思い切り戦えるので楽しい。

俺の攻撃ではシロの鱗を貫けないから思い切り攻撃しても問題は無い。

シロは誰かを守る時に、バリアがどの程度の攻撃に耐えられるかを実験している。

俺も聖魔法を使ったホーリーバリアの練度を高めるためには何度も攻撃して貰わなければならない。

誰もいない山の中でもう1か月以上シロと二人だけで訓練を続けている。


王都は今が社交シーズン。大勢の貴族がうろうろしている中で王宮の書庫など行ける筈もない。

もっと調べたいことはたくさんあるが、それは社交シーズンが終わってから。

今は人里離れた山の中で魔法の練度を上げるための訓練をしている。

俺の大空襲やメテオも段々と威力が増してきた。

シロの全力ブレスは山を3つほど消失させる。

過去の記憶を取り戻し始めてから、シロがめっちゃ強くなってきた。

とてもじゃないが人目のあるところでは練習出来ない。

威力が大きい魔法程きちんと制御出来なければ味方に被害を及ぼす可能性が高い。

それだけに何度も練習しておかないといざという時に使えない。


食材は大量に持って来た。

シロと俺が魔法全開で戦うと、殆どの魔獣が姿を消してしまうから。

木も草も消し飛んで見渡す限りが荒れ地。

食料の現地調達は無理と思っての食料持参だ。

料理を作るために調味料もたくさん用意した。

男の手料理で大したものは作れないが、シロが喜んでくれるので一生懸命に作っている。

毎日24時間シロと一緒にいられる。

夜は二人で抱き合って寝る。

見渡す限りの荒れ地だから突然襲われることは無いし、襲われる前にシロが気づくから俺は安心して眠る。

うん至福の時間。


毎日全力で戦える、こんなに楽しいことは無い。

次はどう動くか、どんな魔法を使うか、頭も体もフル回転。

充実の時間はあっという間に過ぎた。

「ヒトガチカヅイテクル。」

まあそうなるな。

人里離れた山奥とは言え、大規模魔法の轟音や地響きが感じられない訳がない。

恐らくは調査依頼を受けた冒険者。

見つかる前に退散するのが定石。



久しぶりの王都。

まだ社交シーズンなので貴族の馬車が多い。

ギルドに顔を出した。

冒険者は秘密の依頼を受けることも多いので、しばらく顔を見せなくても詮索されることが無いのは有り難い。

「どうしてもAランクの試験を受けるつもりはないか?」

ギルマスの部屋に呼ばれていた。

「無い。」

Aランクの試験科目には貴族対応がある。

無理。

自慢じゃないが儀礼は4点。

去年は5点だから1点下がったぞ、どうや!

「1年以上前にAランク試験の必要ポイントをクリアしているから、合否はともかく受けるだけ受けてくれないと困るんだが。」

「嫌!」

「まあ仕方がないか。今は西にある男爵領で地震や山崩れの調査をしているから街道警備の人が足りない。魔獣も多くなっているから少しでも多く街道警備を引き受けてくれ。」

「うん?」

人手が足りないことにしても、最近魔獣が増えていることにしても、心当たりがありすぎる。

うん、頑張って討伐しよう。


今は街道警備中。

いつもより飛行高度を高くとる。

特訓で魔法の精度や威力がどの程度上がったかを試している、というより貴族にみられないように高高度飛行にしたのが本音。

俺のことをよく知らない地方貴族だとトラブルになりかねない。


“マグナム弾”

「あちゃー!」

超長距離狙撃失敗。

大きな蛇の頭を1発で吹き飛ばした。

思った以上に威力が増しているようで討伐証明部位まで吹き飛ばしてしまった。

「キュルル。」

シロが慰めてくれる。


小さめのライフル弾に切り替えて高高度からの狙撃練習。

シロも長距離のライフル弾やアイスランスを撃って試している。

遥か上空なので地上からはシロが撃ったとは判らない。

今日は小遣い稼ぎより魔獣討伐優先。

多分俺達がいた練習場から逃げ出してきた魔獣。

旅人に被害が出ては寝覚めが悪い。

ついでに殲滅した盗賊は俺達の留守を狙って王都付近に来たらしい。

冒険者さ~ん、男爵領には何もないよ。早く帰って来て下さい。

俺達は色々と迷惑を掛けてしまったようだ。

反省!



「お前がレオか?」

ギルドの前でいきなり声を掛けられた。

「うん?」

「アホ~ナ子爵様がお呼びだ。直ちに屋敷に同道せよ。」

立派な服は着ているが、変なおっさんだ。

「?」

「聞こえておらんのか? アホ~ナ子爵様がお呼びだ。一緒に来い。」

「嫌!」

名前からして賢くなさそうだよね。

「冒険者風情が子爵様に逆らうというのか? どうなっても知らんぞ。」

「シシャクハバカカ? レオハ“ジユウ”ナボウケンシャ、ダレノメイレイニモシタガワナイ。」

「りゅ、竜がしゃべった!」

「オウトノニンゲンハダレデモシッテイル。オマエガバカナダケ。」

「ぶ、無礼な。子爵様に申し上げて処罰させるからそのつもりでいろ!」

捨て台詞を残しておっさんが去って行った。

「?」

意味が解らん。


騒ぎを知らされたのか、ギルマスが飛んできた。

周囲の冒険者や職員がギルマスに事情を説明してくれた。

「アホ~ナ子爵には朋輩がいない。レオを娘の婿にして爵位を守ろうとしているのだろう。アホだからとんでもないことをする可能性がある。何かあったらすぐギルドに連絡しろ。」

「うん。」

社交シーズンにはシロを知らない貴族も大勢王都に来るのでこんなトラブルがよくある。

まあシロがいるから大丈夫。



今日も街道警備に出た。

西の男爵領に向かった冒険者達が帰ってくるまでは頑張らなくちゃ。

高高度から魔物を狙撃。

商隊を襲っている盗賊を見つけて急降下。

「白い悪魔だ!」

誰が悪魔じゃ!

天使のような可愛いシロに失礼だろ!

「逃げろ、白い悪魔が出たぞ。」

幽霊じゃあるまいし、”出た“ではなく“来た”と言ってくれ。

ぎゃあぎゃあ騒ぐ盗賊を殲滅。

アジトでお小遣い稼ぎ。

ちょっとだけ丘でゴロゴロ。


「男爵領に行った調査隊が戻ってきたのだが、大規模魔法の痕跡があったそうだ。」

なんとなくやばい雰囲気?

俺達はギルマス室に呼ばれていた。

「・・・・。」

「地震が始まったころにレオ達が王都から消えた。調査隊到着寸前に地震が収まってレオ達が王都に帰ってきた。」

「ナンノコト?」

「なんでレオがシロのような話し方なのだ?」

「ワカラナイ。」

「まあいい。被害は無かったが住民を不安にさせるなよ。」

「うん。」

しっかりバレていた。



年越しの長期休暇に入り、俺とシロはまた王宮の書庫に籠っている。

「ほう、レオだけでなくシロも古代文字を読めるのか。」

いきなり声を掛けられた。

振り返ると、見たことのあるおっさん。

貧乏、いや違う。ビボとかいう王さん?

「うん。」

「トウゼンダ。」

「いやいや、その本は古期古代語だから専門家ですら諦めた本の筈だぞ。」

「グウゼン?」

「タマタマ?」

俺とシロが目をそらして答える。

「まあおぬしら二人なら何が起こってもおかしくはない。ただ住民を不安にするような魔法は控えて貰いたい。」

「うん。」

「メイワクヲカケルツモリハナイ。」

「頼むぞ。」

男爵領での騒動の原因が書庫とばれたらしい。

閲覧を停止されなかったからまあいいか。


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