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25 王宮の書庫

アイテムボックスの整理をすることにした。

やみくもに放り込んでいたら何が入っているのか判らなくなった。

インデックスを開いても数が多すぎてスクロールしているうちに訳が判らなくなる。

思い出した。

大抵のゲームではアイテムボックスに整理機能が付いている。

”整理“

整理できた。


鉄の剣245、鋼の剣36、ミスリルの剣7、勇者の剣1、光の剣1、まあ判る。

槍も判るし杖も判る。

箱が96って中身は何?

とりあえず箱を1つ出した、って大きすぎ。

1辺が1mを超える箱。

開けてみた。


なんじゃこれ?

箱の中にまた箱。平たいのや厚めの物。いろいろな箱が入っている。

これを開けたらまた箱じゃないよな。

どこかの国の人形を開けたらまた人形というお土産を思い出した。

開けてみた。

服?

ドレスっぽい?

こっちの箱は靴。

これは、・・・・。

ヘンタ~イ止まれ!

閉めた。

これは持っていてはいけないものだ。

そうだインデックスを付けよう。

“ゴミ服”

念じながらアイテムボックスに収納したらちゃんとゴミ服1になった。

1つ開けただけで憂鬱になった。

「はぁ。」


頑張って次の箱を出した。

40㎝くらいの箱。

開けてみた。

やった~!

金貨や銀貨、宝石が一杯。

箱から出してそのままアイテムボックスへ。

後で整理を掛ければ数えてくれるはず。

元気が出た。

箱をアイテムボックスに収納、空き箱1。

うん、これでいい。


次の箱を出した。

50㎝くらいの箱。

開けてみた。

魔石。

大小さまざまな魔石が入っている。

箱から出してアイテムボックスに収納。

大、中、小をイメージして“整理”。

魔石大68、魔石中265,魔石小511。

うん、大きさ別の整理も可能だ。



放課後の時間をアイテムボックスの整理に費やした。

1週間後、ようやく整理終了。

いらないものが多いが、捨てるのももったいない。

どうしよう。

「ニチヨウヒンハコジイン、ブキはヘンキョウハク。」

シロは賢い。


布や食料など使えそうなものを5つに分けた。

5つに分けてもその1つが大きな荷馬車満載くらいの量になった。

魔法袋に入れて、まずは一番近い北の神殿。

各神殿が孤児院を経営している。

「シロ殿、先日はありがとうございました。」

「コレハアマリモノデスガ、ツカッテクダサイ。」

シロが挨拶をして俺が荷物を出す。

「子供達が喜びます。感謝します。」

「コレハキフキンデス。」

俺は袋に入れたお金を渡す。

銀貨や銅貨も混じっているが、総額で金貨100枚分、約1000万円。

「有難うございます。神の御加護がありますように。」

5つの神殿に均等に寄付を配った。


価値の低そうな宝石類を処分しただけで思わぬ金額になったから。

シロの騎乗具に十分な額を残して残りを寄付することにした。

お金を溜め込むよりも使った方が世の中のためになる、とシロが言った。

そして、神殿を味方につけておくほうが良いというシロの意見。

武器や防具は強力なものは除いて辺境伯にあげた。

兵士や騎士の武器や防具は折れたり欠けたりするので毎年大量に必要となる。

特に魔物が多い辺境では大量の武器がいる、とシロが言っている。

シロの意見に従っておけば安心。

少なくとも俺よりは賢い。

アイテムボックスがすっきりしてインデックスで何があるかが判るようになった。



城門でカードを見せると、兵士が王宮の奥に案内してくれた。

物々しい大きな扉の前でもう一度カードを見せる。

「恐れ入りますが、魔法袋はこちらで預からせていただきます。」

盗難防止らしい。

「うん。」

魔法袋を預けると、大きな扉が開かれ中には爺さんとおばちゃんがいた。

その向こうには大きな書棚がたくさん並んでいる。

「どのような書物をお探しですか?」

「コダイモジデカカレタ、マホウカンケイノホンヲミタイ。」

シロも一緒に入れるようにして貰えて良かった。


指名以来の報酬として貰った閲覧証で王宮の書庫に来た。

冬休みに入ったので時間が出来たのだ。

「こちらで御座います。」

おばちゃんが案内してくれる。

外交や政務関係などの機密書類以外は閲覧できるらしい。

俺は錬金魔法関係、シロは空間魔法関係の本を何冊か選んで閲覧室に行く。

閲覧室は飲食禁止だが、すぐ隣に休憩室があり、頼めば飲み物や食べ物を持って来てくれる。

勿論全て無料。

古い本を読んでいると、面白すぎてあっという間に時間が過ぎる。

上級魔法の本も沢山あった。


何日か本を読んで、王都外の草原や岩山で新しい魔法の実験。

また書庫に籠って本を読む。

あれ? これ古代文字と違う?

ゲーム設定のせいかどんな文字も普通に読めるが、よく見ると古代文字とは違う感じ。

「コダイモジヨリマエ、コキコダイモジ。」

シロも読めるの?

「レオトオナジヨウニ、カコノキオクガアルヨウダ。」

そうなの?

「マダスコシシカオモイダセナイガ、コノモジノジダイヲオボエテイル。」

そうなんだ。

シロはその時人間だったの?

「ハッキリハオモイダセナイガ、オオキナリュウダッタヨウダ。」

そうなんだ。

一杯本を読んだら思い出せるかもしれないね。

「ソウダナ。」

古代文字の本は学院にもあったが、それより前は無かった。

昔の方が魔法が発達していたようで、今では伝説でしか残っていないような魔法についてもたくさん書かれている。


何日か読むと、郊外に出てまた実験。

シロは伝説の空間魔法でアイテムボックスを作ったし、転移魔法も近距離なら出来るようになった。

俺は解毒の上位魔法である状態異常回復や、簡単な付与魔法が出来るようになった。

シロと俺は自分が覚えた魔法をお互いに見せ合う。

感覚が繋がっているので何度か見せるとお互いの魔法を使えるようになる。

まだまだ威力は弱いし精度も低いが沢山の上級魔法を使えるようになった。

冬休みの2か月間、実験の日以外は只管書庫に通って本を読みまくった。

あとは街道警備の合間に練習すればいい。



楽しい時間が終わって、新学期。

「何度も王宮に行ったらしいな。」

「うん。」

マテは侯爵家だけに情報が早い。

「卒業後は王宮に出仕するという噂は本当なのか?」

「はあ?」

なんでそうなるの?

「俺もその噂を聞いた。卒業後はホロルに戻ると思っていたから父上が心配している。」

どこからそんな噂が出たんだ?

「フタリデマホウノホンヲヨンデイタ。ホカハナニモナイ。」

「そうか、祭りの礼に貰った閲覧許可証か。」

納得してくれた。

「うん。」

「オモシロイホンガタクサンアッタ。」

「噂っていうやつは当てにならぬな。」

「ああ、心配して損をした。父上にも伝えておくよ。」

「うん。」


「新しい魔法を見つけたか?」

「はあ、・・・。」

言えないような魔法が多くて言葉に詰まった。

「マダマダミジュク、タクサンレンシュウガイル。」

シロが助けてくれた。

「本を読んですぐに出来る訳もないか。」

「うん。」

実際に威力だけなら今までの中級魔法の方が遥かに強い。

もっともっと練習したいが、大規模魔法は目立つので練習場所が殆ど無い。

暫くは目立たない魔法の練習と大規模魔法のイメージトレーニングを繰り返すことしか出来そうになかった。



午後の飛行訓練の時間。

シロが少し悲しげな様子。

頭をワシャワシャしてあげると少し元気になった。

気持ちは判る。

シロの視線の先には生まれて半年ちょっとの赤ちゃん竜。

褐竜や青竜は勿論緑竜さえシロよりも遥かに大きくなっている。

心配ない、俺もいつか大きくなる。シロも絶対に大きくなる。

前世はめっちゃ大きな竜だったんだから。

あれ? 俺ってこの世界に来る前も小さくなかった?

うん、前向きに考えよう。

シロの頭をワシャワシャしてあげた。



今日は珍しく魔獣が多い。

街道警備の帰り、いつものように森に入ったが、熊や猪という中型の魔物に何頭も遭遇できたのだ。

「インペイマホウヲツカッタ。」

どういう事?

「イママデハ、ボクノケハイヲカンジテニゲテイタ。」

隠蔽魔法は今までも使っていたが、毒消し魔法を探していた時に同じ闇魔法の本で見つけた隠蔽魔法はめっちゃ効果が高く、魔力だけでなく気配も消せるものだった。

気配や魔力を殆ど漏らさない魔法で、便利そうなのでシロに教えたのだが、こんな使い方があるとは思わなかった。

ある程度強い魔物はシロの気配を感じて逃げていたらしい。

ゴブリンやコボルトは某国の勇者と同じで相手の強さが判らないから逃げなかったようだ。

魔法にはいろいろと使い方があって面白い。

俺も頑張らなくちゃ。


昨日投稿操作のミスで、第5作 ”吾輩は猫(仮)である 第1話” をフライング投稿してしまいました。

竜騎士完結後に第2話を投稿する予定です。

ミスばかりで済みません。

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