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24 収穫祭でパフォーマンス

夏休みは大規模な盗賊団を7つ殲滅して大儲けだった。

俺から逃げ回る卑怯な盗賊など絶対に許せない。

正々堂々と出てこい、って言っても無理だよな。

まあ雷魔法の練習になったし、シロも指向性の威圧が使えるようになったから良い訓練も出来て充実した夏休みだった。


今日から新年度、可愛い竜の赤ちゃん?が8頭。

青竜1頭、緑竜5頭、赤竜2頭。

赤竜がシロより少し小さいだけで、他の6頭はシロと殆ど同じか少し大きい。

シロがいじけるかと思ったが、めっちゃ可愛がっている。

そうだ大きさは関係ない。135㎝でも大丈夫だ。

何となく空しくなった。

ぐぬぬ。


シロはまだ竜騎士を乗せられない竜達を引き連れて飛行訓練。

竜達も仲間と一緒に飛ぶのが嬉しいらしい。

ゆっくりとした速度で方向転換もゆっくり。

シロは勿論、竜達も嬉しい気持ちが溢れている。

俺達は地上で見学。

3年の竜騎士団は19人、だいぶ賑やかになった。


「近接戦闘は大丈夫か?」

「・・・・。」

自信は無い。

今まで以上に成績が下がりそうな予感。

「女性が5人増えて9人か。怪しいな。」

「おっぱい騎士だからな。」

それを言うならおっぱい星人だ。

いやそうじゃない、“スケベ、バチン”がトラウマなだけだ。

俺はおっぱい星人じゃない、と思う。たぶん。

新しく仲間になった女性竜騎士達の胸をちらっと見る。

無理。


当分は新人が入ったので竜の飛行訓練や校外実習が中心、近接戦闘の授業は無い。

それまでに慣れればいい。

女性騎士達をチラ見する。

皆背が高い。

当然胸の位置も高い。

俺の顔の前。

無理。



「本当に大変なのよ。竜騎士のいない貴族家って多いから。」

「判るよ、僕も婿養子の話が山盛り来ているから。」

ボロが心底判るという顔で同意している。

この国では当主が2代続けて竜騎士でない場合は爵位が剥奪される。

当主が竜騎士でない家は、子供が竜騎士になるか竜騎士を当主として迎え入れなければ爵位を剝奪される。

上位貴族なら竜騎士も婚姻に前向きになってくれるが、子爵以下だとなかなか難しい。

貴族としては死活問題なので競争が激しいそうだ。


「うちには婿入りの申し込みが凄いわ。ポコの世話でそれどころじゃないのに。」

この子の朋輩はポコらしい。

「君たちは12歳だからまだましだよ。俺なんか8歳から嫁の申し込みが来ているぞ。ひどいのになると相手は1歳だ。」

侯爵家の嫡男だけに競争が激しいらしい。

確かにどんなロリコンでも1歳は無理だ。


今日は俺たちの前に新しく竜騎士になった女の子達が座っている。

まだ竜騎士になったばかり、竜騎士食堂に慣れていないだろとマテとボロが誘ったのだ。

女の子達は朋輩を得たとたんに婚姻の話が殺到して困っているらしい。

そういえば俺の所には無いな。

平民だからか?

シロを見る。

「ヘンキョウハクノトコロデトマッテイル。」

「ああ、レオは俺以上に申し込みが殺到しているぞ。全部父上が止めているよ。貴族になる気が無いから無駄だって。」

シロの言葉で俺の気持ちが判ったボロが教えてくれた。

「レオならそれこそ王族や公爵家からも来たんじゃない?」

「ああ、相手が相手だからさすがの父上も断り難くて頭を抱えていたな。」

辺境伯には迷惑を掛けているようだ。


「レオは本当に貴族になる気が無いの?」

「無い。」

「即断ね。」

「面倒。」

「レオはシロ一筋だから、シロといる時間が減るのは嫌なのさ。大体レオが書類仕事をしている姿を想像できるか? 晩餐会で踊っている姿を想像出来るか?」

「確かに想像すら出来ないわね。」

確かに書類もダンスも苦手だけど、そこまで言わなくても良くない?

ちょっと落ち込んだ。


「まあ今は朋輩と過ごすのが一番大事だから、ご両親に何とかして貰うしかないな。」

「そうよね。」

貴族は大変らしい。

貴族の事を知るたびに貴族が嫌になるってどうなんだ。

それにしてもシロは奇麗に食べるな。

俺の皿の周りにはパンくずや零した汁が一杯なのに。

「ヒャクニジュッテントゴテンノチガイ。」

「ぐぬぬ。」



「神殿が収穫祭参加を依頼してきた。」

学院長に呼び出されたらこれ。

去年問題になったんじゃないの?

「うん?」

「貴族達と折り合いがついたらしい。」

「?」

「モニュメントを作る町内会がこぞって白竜を作ろうとしていることに慌てた国王派貴族が、白竜は各神殿5体までと制限するよう要請したらしい。まあ王と神殿の関係は微妙だから命令は出来なくて要請になった。神殿側はシロの参加を国王の指名依頼としてギルドに出すなら白竜を5体に制限しても良い、ということで両者が妥協した。」

いやいや俺は何も聞いていないし、揉めている所に出る気はないんですが。

「はあぁ?」

「指名依頼の報酬は王宮書庫の閲覧許可証だそうだ。」

「やる!」

大切なのは臨機応変。


「すまぬな。ところで、シロがモニュメントの上に着地することは出来るか?」

「?」

「出来ればモニュメントの頭に乗って欲しいという要望があるそうだ。」

着地は出来るけど、離陸は出来ない。

「タメシテミル。ヘンジハアスデイイカ?」

シロが自信ありげに言う。

どうするんだ?

“ヒコウマホウデリリクスルノヲオシエテクレタラデキルトオモウ”

俺の飛行魔法は浮くところから始めたから垂直離陸が出来るが、シロは助走をつけて飛び立つところから始めたから助走が無いと離陸出来ない。

なら俺が教えればいい?

「あくまでも出来ればだから無理はしなくていいぞ。」

「うん。」


というわけで、ちょこっと王都の外にお出かけ。

シロに乗ったまま飛行魔法で浮遊、って重い。

懸命に頑張って50㎝程浮いた。

落ちた。

「ダイタイカンジハツカメタ。ヤスンデカラモウイッカイ。」

「うん。」


少し休憩して再チャレンジ。

2回目だと少し慣れたのか魔力の消費も少ない。

50㎝程浮いてしばらく維持。

着地。

「どう?」

「デキル。」

シロが俺を乗せたまま垂直に離陸。

すぐに着地。

休憩後に再チャレンジ。

4回目で垂直離陸から水平飛行に移行出来た。

何度か練習するうちに楽にできるようになったらしい。

やはり魔法は練習が大事。


いよいよ本番。

東西南北にある神殿の収穫祭2日目に飛ぶことになった。

3年の竜騎士19騎が神殿付近でパフォーマンス。

まだ未熟な竜もいるので基本的な編隊飛行。

上空から見て驚いた。

20ほどあるモニュメントのうち、白竜は確かに5体で他は殆どが黒竜。

でも、白竜は黒竜の倍ほどもある。

これってどうなのよ。

なんとなくまた揉めそうな予感。


雑念を振り払ってゆっくりと進む白竜の頭に着地。

角が芯柱らしく思ったより広いし、安定している。

観衆からは歓声と大きな拍手。

シロは翼を振ったり、首を傾げる得意のポーズで観衆に応えている。

しばらく進んだところでゆっくりと垂直離陸。

観衆からは再び大きな拍手。

上空を旋回していた仲間の竜騎士に合流して全員で編隊飛行を披露。

そして次の白竜へ。

これを5回。

さすがに疲れた。

白竜のモニュメントが5体で良かった。

他の竜騎士は1回につきそれぞれが金貨1枚、約10万円が貰えた。

学生にとって金貨の価値は大きい。みんなお祭りのお小遣いが出来たと大喜びだった。


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