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18 魔法袋が新しくなりました

王宮の新年祝賀会に呼ばれた。

有力貴族と王都在住貴族だけが出席するらしい。

反国王派がシロを担ぎ出そうとしているから、という侯爵からの依頼。

ギルドを通しての指名依頼にして欲しかったが駄目だった。

名目はオークキング討伐の褒賞を与えることらしい。

大広間の扉の前で待機した。


「竜騎士レオ殿、朋友シロ殿入られい!」

大音声が響き渡ると扉が開いた。

貴族達が中央の通路を空けて立ち並んでいた。

通路を二人並んで玉座へと進む。

王の前で片膝を付き頭を下げる。

シロもお座りのポーズ。

「面を上げい。」

姿勢を正し、王と正対する。

「この度のオークキング討伐大義。爵位をとらそうと思うがどうじゃ。」

「キゾクニナラナイ。レオハボウケンシャ。ボクモボウケンシャ。」

「「「ウオ~!!!」」」

列席した貴族たちからどよめきが上がる。

まあそうなるな。

「レオも同じ考えじゃな。」

「うん。」

「では褒賞として白金貨5枚を与える。ご苦労であった、これからも励めよ。」

オークキング討伐にしては多すぎる褒賞だが、俺達が王国の冒険者だと知らせるためらしい。

「うん。」

「ガンバル。」

「「「ウオ~!!!」」」

再びどよめきが起こる。

「下がってよい。」

横にいたおっさんに声を掛けられて広間を出た。

めんどくさかったけど白金貨5枚はありがたい。



シロとご馳走を食べに行こう、そう思って控室に戻ると王子達が追いかけてきた。

「シロ凄いな。」

「貴族たちがひっくり返りそうになっていたぞ。」

「ほんと、侯爵から聞いてはいたけど本当にレオより話せるのね。」

比較の対象が俺なのはいかがなものかと思うけど。

「ねえねえ、本当に貴族にはならないの?」

「メンドウ。」

「うん。」

「レオはシロと一緒にいる時間が好きなんだ。書類仕事や式典は嫌いなのさ。今回も白金貨5枚に釣られただけで本当はシロと街道警備という名目で遊んでいたかったらしいぞ。」

チクった奴は誰だ、たぶんマテだな。

1時間以上付き合わされて判った事は、入学式でしゃべった兄ちゃんが皇太子という事と王宮のお菓子が美味しいという事だけだった。

まあ話したのは殆どシロだったけど。



がま口型新魔法袋が完成した。

「どうだ?」

「うん。」

「キニイッタッテ。」

シロが話せることはもう王国中に知れ渡っていた。

「そうか、それは良かった。この口金を使った小物袋を作ったら凄い人気で大忙しだ。ドライヤーも凄い売り上げだ。意匠契約金で今回の製作費を賄ったから今日の支払いは無しだ。意匠の使用料はギルドの口座に振り込んでおいたから確認してくれ。」

「うん。」

「また新しいものを作ったらうちに声を掛けてくれ。」

「うん。」

今日は俺が話をつけた、どうや。

壊れかけの魔法袋がなおせることも判った。

残りも捨てないで取っておこう。



「レオ、新型のバッグ手に入れたんだ。」

「よく買えたな。俺も欲しかったんだけど予約が一杯で断られた。」

「俺は家と親しい工房だからもうすぐ届けて貰えるぞ。」

マテとボロに羨ましがられた。

「うん。」

「レオガカンガエタ。」

「そうなの?」

「うん。」

通訳がいると便利だ。



今日も空のお散歩。

「おっ、シロだ。シロが飛んでいるぞ。」

声が聞こえたので下を見ると馬車を護衛する冒険者たちが手を振ってくれた。

シロも翼を動かしてそれに応える。

すっかり人気者になった。

「トウゼンダ。」

「うん。」

バリアを流線形にしてから風が気にならないし暖房の魔法を使えるようになったので快適。

他の竜騎士達は寒いのであまり街道警備を引き受けないからギルドにも感謝されている。

良いことずくめの今日この頃。

「トウゾク。」

そんなことを考えていると出るんだよね。

冬は竜騎士の出動が少ないので盗賊のシーズン。

シロが速度を上げて1直線に飛ぶ。

見えてきた。



3台の馬車に3~40人の盗賊が襲い掛かっている。

混戦になっているので狙いにくいが定石どおりに離れたところで指揮を執っている親分らしい男から片付ける。

10連アイスランス1発で子分3人と共に馬から落ちて呻いている。

あとはホーミングアイスランス。

狙いをつけた盗賊にきっちりと当たる。

鎧で弾かれても反動で落馬するから問題は無い。

シロが狙いやすいように巧妙に方向を変えながら飛んでくれる。

劣勢に気が付いた盗賊が逃げ出したので着地。

怪我をしている冒険者に回復魔法を掛けていく。

「レオ殿、感謝する。」

「うん。」

「シロもありがとうな。」

「ウン。」

「「「ありがとうございました。」」」

商人達は無事だったようだ。

「シタイヲヤク、ウレルモノヲトッテシタイヲアツメル。」

「「「はい。」」」

うん、通訳は便利だ。

冒険者と商人が手分けして盗賊を縛り上げ死体から防具を剥ぎ取って1か所に纏めた。

シロがブレスで焼く。

「トウゾクノシマツハマカセル。」

シロに乗って盗賊のアジトに向かった。

逃げた盗賊にはマーキングがしてあるので追うのは簡単。

アジトを殲滅したがたいした稼ぎにはならなかった。

王都に来てからもう20以上の盗賊団を殲滅した。

討伐した盗賊の持ち物は討伐者のものだからだいぶ稼がして貰ったが最近は殆どいない。

最近は有力な盗賊は殆どが王都付近から姿を消したらしく、情報を碌に集めないごろつき盗賊団が縄張りが空いていると勘違いしてやってくるだけとギルマスが言っていた。

殲滅しすぎたのかな。

「ミンナヨロコンデイル。ヨイコト。」

「うん。」

そうだよね。納得した。

冬は丘からゴロゴロが出来ない。

ゴロゴロすると枯草だらけになるから。

残念だけど真っ直ぐに帰った。



来週は学院の野外研修。

普通科の1年生は5人で班を作る。

1クラス6班、5クラスで30班。

1クラスに2人の竜騎士が付きそう。

5クラスで10人。

俺は全体の統括。

俺が偉いんじゃなくてシロが偉いらしい。

まあそうなるな。

今日は担当するクラスの生徒と竜騎士の打ち合わせ。

俺は学院長室で学年主任と主任補佐との打ち合わせ。

まあ実際に聞くのも話すのもシロだけど。

「問題を起こしそうなのは1組です。マテ君が担当しているので大丈夫とは思いますが、大貴族の子息が多いので気をつけて下さい。大貴族の子息でありながらまだ竜と感応出来ていない生徒ですのでひがみや嫉妬で指示に従わない可能性があります。」

「うん。」

大貴族の子息でも竜騎士になれなかったら領地の無い法衣貴族となるのが普通らしい。

貴族は大変だ。俺は楽でいい。盗賊が減って稼ぎは少ないけど。

「4組は貴族の子息と平民の間がぎくしゃくしています。班が分裂することも可能性としてはあります。担任もついて行くのですが反発している生徒が多いので心配です。」

「うん。」

とりあえず状況はきちんと理解した、シロが。うん、大丈夫だ。


読んでくれてありがとうございます。

投稿初心者なので毎日新しい発見が一杯でワタワタしています。

校正が上手く出来ないので暫くはこのままです。

読者の数が増えるとめっちゃ嬉しくなって頑張れます。

これからも読んでやって下さい。


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