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15 お嬢様を縛りました

昨日疲れたから今日は1日シロとお散歩。

もちろんギルドの依頼は引き受けている。

北の街道警備という名の空中散歩。

前の依頼よりもちょっと遠い分だけ高くて銀貨6枚。

風が少し冷たくなっているので風魔法でバリアを張っている。

まだ抵抗が大きくてシロの速度が少し落ちるので改善中。

いつかは戦闘機のように早く飛びたい。

戦闘機?

戦闘機か。

戦闘機、コクピットの風防をイメージした。

スピードが上がった。

シロが喜んでいる。

魔法って便利。



「キュル?」

何かの異変?

シロが速度を上げる。

山間の街道に馬車が4台止まって、大勢の人が崖の下を覗いて騒いでいる。

シロに気が付いたのかこちらを指さしている人もいる。

着地した。

「なに?」

「馬車が暴走して谷底に落ちたのです。」

覗いてみると谷底の河原に馬車の残骸がある。

「まだ動いている者がいるので何とか助けようとロープを繋いでいる所です。」

「うん。」

シロに乗って谷底に降りる。


馬車の近くに倒れている一人は死んでいた。

少し先に倒れている女性は息がある。

もう一人唸り声をあげているおっさんがいる。

倒れている女性に回復魔法を掛けた。

レディーファースト。

淡い光が体を包むがなかなか消えない。

結構時間が掛かるということはかなりの重傷らしい。

魔力を流し続けるとようやく光が止まった。

呻いていた男にも回復魔法を掛ける。

こちらは少しの時間で済んだ。

他にいないか周りの気配を探るが人の気配はない。

代わりに魔獣の気配がする。

グワァ~!

唸り声をあげて襲い掛かってきたのは3mを超える巨人。

大きな角が2本生えている。図書館で見た魔物図鑑によるとオーガ?

シロの風刃で足が止まった。

さすがに大型魔獣となると皮膚が硬くて首チョンパとはいかない。

全力でマグナム弾を撃つ、撃つ、撃つ。

至近距離でも倒すのに3発掛かった。

もっと練習しないとだめだ。



「竜騎士様?」

さっきまで唸っていた男が声を掛けてきた。

「うん。」

「ありがとうございます。お嬢様は?」

「うん。」

さてどうしよう。

シロは俺以外を乗せるのは嫌がる。

ロープを巻いたらロープを掴んで飛べる?

「キュルル」

飛べるらしい。

「ロープ巻く。」

「お嬢様は?」

「あと。」

女性はまだ気を失ったままだし、男は実験台。

おっさんだから落としてもあまり心が痛まない。

お嬢様を落としたら可哀想、これ常識。

男にロープを巻いてシロが掴めるようにした。

シロがロープを掴んで何度か揺すりながら大丈夫かを確かめている。

飛んだ。

男をぶら下げてジグザグに上昇していく。

重量制限ぎりぎり?

崖の上に男を下ろしてシロが谷底に戻ってきた。



馬車の荷物を魔法袋に入れる。

荷車ではなく移動用の箱馬車なので荷物は少ない。

最後に死んだ男とオーガの死体を入れた。

女性はまだ目を覚まさない。

仕方がないのでロープを巻いた。

女性に縄を掛けるって緊縛プレイ?

亀甲縛りはダメだよね。

でも途中で落とさないよう頑丈に結んだらエロくなってしまった。

見なかったことにしよう。

シロがさっきと同様に少し持ち上げて安全を確かめている。

シロは賢い。

シロが飛んだ。

軽いからかさっきより早い。


俺も飛行魔法で上がれるが師匠から止められているのでシロを待った。

師匠には飛行魔法という魔法は無いと断言されている。

飛んでいるのは俺の勘違い、飛んでいるように見えるのは師匠の勘違いらしい。

魔力の流れを見ると、竜は飛行魔法で飛んでいるように見えた。

それを真似したら俺も飛べるようになった。

だったら俺の魔力の流れをシロに伝えれば、そう思って頑張ったらシロも風魔法が使えるようになったのだ。

師匠に言うと、飛竜は魔法を使えないからそれはお前の勘違いだと即断されたけど。

そんなことを考えていたら、崖上に女性を下ろしたシロが戻ってきた。

収納忘れがないかもう一度確かめて崖の上に飛んだ。

「「「ありがとうございました。」」」

おっさんたちが頭を下げている。

女性も目を覚ましたようで一緒に頭を下げている。

「うん。」

頷いて荷物と男の死体を魔法袋から出した。

「ありがとうございました。支払いはいかほどでしょうか。」

「いい。」

時間が無いので何か言っているおっさんを無視、シロに乗って飛び立った。

早くしないと間に合わない。

急いで北の街に行き証明書類を貰って王都に戻った。

うん、間に合った。

お仕事は無事完了。

依頼達成率100%継続中。



今は校外実習の時間。

竜騎士が行う仕事を実際に体験する授業。

街道の上を飛びながら盗賊や魔獣を警戒する、って昨日と一緒じゃん。

「はぁ。」

11頭で編隊を組んで街道を北に飛ぶ、ってコースも昨日と一緒。

昨日と違うのは山の方まで行かずに途中で引き返した事。

「もしも強い魔獣や盗賊を見つけた時は、すぐに戻ってギルドに連絡する。竜騎士の大事な仕事は索敵と連絡、戦いではないぞ。」

昨日オーガと戦ったんですけど。

怒られそうなので内緒にした。



今日はお休み。

シロに乗って大通りから少し入ったところにある工房に来ている。

マテに教えて貰った錬金工房。

俺の魔法袋を見てマテも魔法袋が欲しくなって侯爵にねだったらしい。

侯爵は宝物庫にあった破損した魔法袋を修繕してマテに与えた。

もともとマテが侯爵家を継ぐときに与えるつもりだったそうだ。

叙爵の時にマテの好みに合わせたデザインにするため破損したままにしていたらしい。

魔法袋は極めて貴重な魔道具で、30年ほど前にオークションに出品されたときは白金貨27枚、前世なら2億7000万で王家が落札したそうだ。

マテの魔法袋はめっちゃかっこいいし使い易い。

俺の魔法袋は正直言ってデザインもダサいし出し入れがしにくい。

聞いてみると修繕費が白金貨2枚、2000万円とのこと。

シロが大きくなった時には騎乗具を作り替える必要があるために節約してお金を溜めていたが、当分は今の騎乗具で問題ないのでお金は何とかなりそう。

とりあえず見積もりだけでもして貰おうとマテに錬金工房の紹介状を書いて貰った。



「外側は全部作り替えが必要だが肝心の内袋は全く問題が無い。それで、この図面の口金をつけるのか?」

「うん。」

「この口金の丸い球はなんじゃ?」

「閉じるパチン。パチン開く」

図面を持って球を合わせて口を開ける仕草と閉じる仕草をした。

要するにがま口。

「すこし待て。試作品を作ってみる。」

親父さんが奥に引っ込んでしまったので店の中の商品を眺めた。

魔道具の専門店なのでいろいろな魔道具がある。

水を出す魔道具、火をつける魔道具、湯を沸かす魔道具、風を出す魔道具。魔剣に魔槍。

暇なので鑑定魔法で詳しく調べてみる。

魔石から魔法陣に魔力を流して魔法を発動させる仕組みだ。

薄い石の板に刻まれている魔法陣は現代語を使っているので文字数がめっちゃ多く、かなり繊細な作業で作られている。俺の使っている魔法陣は古代語というか漢字なので文字数が少なくて簡単。

暇なので土魔法で薄い粘土の板を作り、魔法陣を描いてから高温でセラミックにした。

2枚の魔法陣を重ねてアイテムボックスに収納していた魔石を出して繋いでみた。

熱い風が出る。どんどん熱くなる。

火魔法の魔法陣に過熱防止の機能を加える。

丁度いい温度になった。

「これは何だ?」

いつの間に戻ってきたのか、親父さんが興味津々に聞いてくる。

「髪、乾かす。」

「親方、これ貴族の女性に絶対売れます。」

「おう、売れるな。この仕組み、登録させて貰ってもいいか? 勿論レオ殿の名で登録してきちんと使用料を払う。侯爵家の紹介だ、きちんとやる。」

「うん。」

「それでこの試作品だがこんな感じか?」

もう試作品が出来ていた。

留め金を何度か確かめる。

パチン、パチン。

「玉、もっとツルツル。」

「これは金袋や小物袋にも使えるからこれも登録させて貰っていいか?」

「うん。」

「魔法袋は侯爵家と同じ白金貨2枚で引き受けよう。2か月ほどかかるがいいか?」

「うん。」

「出来上がったら連絡する。」

「うん。」

夢中になって作っていたらもう夕方。

1日つぶれてしまった。

明日はしっかりと稼がなきゃ。


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