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13 近接戦闘は苦手です

今日は近接戦闘の授業。

「諸君は遠距離攻撃が基本だが、竜から降りている時に戦いになる場合もある。とっさの時に対応出来るようにしっかりと学んでおきなさい。」

武器無しでの格闘術にも慣れる為、魔力による身体強化は使わずに訓練するらしい。

って、俺めっちゃ不利じゃん。

本当にみんな同い年?

女の子でも150㎝くらいあるし、マテなんか170㎝くらい。

本当に10歳?

俺130㎝、2年で10㎝伸びた。

このペースなら10年で50㎝、20年で1m伸びるから30歳では2m30㎝。

うん、大丈夫だ。間違いない。

「回復魔法士がいるから思い切り殴り合っていいぞ。」

そういう問題じゃないと思う。

身長で相手を決めたのだろうが、俺の相手は女の子。

ちょっと本気になりにくい。

気を抜いたわけではないが、俺の正拳は簡単に交わされ、相手の蹴りを流そうと突き出した掌底が足で逸らされ相手の胸に・。

「スケベ!!!」

1瞬固まった俺に怒りの回し蹴りがクリーンヒット。

見事に蹴り飛ばされる。

た~まや~!

飛行魔法なしで飛ぶってこんな感じなんだ。

天地がクルクルと何度も入れ替わった。

地面に叩き付けられた時には、お星さまが見えました。



今日はお休み。

冒険者ギルドに移動届を出しに行きます。

お仕事があればついでに受けようとシロも一緒。

さすがにギルドの総本部、おっきい。

隣にある竜の待機場も広い。

10頭くらいの竜が寝転んでいる。

「少しここで待っていてね。」

「キュルル」

シロが入っていくと真ん中で寝ていた褐竜がすぐに場所を空けた。

他の竜も慌てたように姿勢を正した。

うん、大丈夫。

問題ないのを確認してギルドに入る。

さすがにギルド本部、入り口に3人も案内人がいる。

「竜騎士の方でしょうか?」

待機場から来たのが見えていたらしく声を掛けられた。

「うん。」

案内されて竜騎士専用の豪華な部屋に入る。

めっちゃ待遇が良い。お姉さんの説明も凄く丁寧。

「拠点登録の変更が終わりました。ご要望を配慮しますと、西に向かう街道の警備、隣町まで往復4時間コースが景色も良く、途中に水遊びが出来る河原もあってよろしいかと思いますがいかがでしょうか?」

「うん。」



お仕事というよりも空の散歩。

シロもめっちゃ喜んでいる。

王都に通じる街道なので馬車が沢山走っている。

街道も大型馬車がすれ違える程広い。

眼下にはなだらかな起伏の広~い緑の草原。帰りにシロとゴロゴロしよう。

シロも草原を見て嬉しそうにしている。

その向こうには小さな川が流れている。あそこが水遊びの所かな。

遠くにはうっそうとした森、そのはるか向こうに延々と連なる山々。

うん、確かに景色が良い。

お姫様の馬車が襲われるイベントは無かった。

警備がしっかりしているので盗賊も少ない?

竜騎士がしょっちゅう飛んでいるが金目の物を積んでいる馬車が多いので時々は出る。

それでも他の領地に比べれば少ないそうだ。

お金はシロの騎乗具代さえ稼げればそれで良いし、人を使うのも苦手。

もちろん書類仕事なんて真っ平御免。

シロと一緒に冒険者をしていると幸せを感じる。

俺には冒険者が一番似合ってると実感した。


そんなことを考えているともう隣町。

街門の手前で着地、衛士にギルドカードを見せて街に入る。

ギルドで書類の確認をして貰って証明の書類を受け取る。

ついでなので街を歩いてみた。といっても歩いているのはシロ、俺は乗っているだけ。

屋台を見つけたのでシロから降りた。

「2つ下さい。」

サンドウィッチのようなものを見つけた。

「はいよ。」

サンドウィッチを1つシロに渡し、もう一つを食べる。

「おいしい。」

「そうかそうか、嬉しいね。坊ちゃんが白い竜の騎士だな。」

「うん。」

「噂では聞いていたけど本当に奇麗な竜だな。」

「うん。」

褒められて思わず笑顔になってしまう。

「ただでいいから俺がもう一つあげてもいいか?」

「うん。」

おっちゃんがサンドウィッチを差し出すとシロが両手で受け取って口に運んだ。

「可愛いな。また来ることがあったら寄ってくれ。」

「うん。」

隣の屋台でジュースを買って飲む。

シロも木のお椀を両手で持って飲んでいる。

「へ~、器用な竜だな。」

「うん。」

シロは人間のようにお椀を傾げてジュースを口の中に流し込んで飲める。

可愛い。



街を出て王都に向かう。

行きに見つけたなだらかな草原でゴロゴロ遊び。シロに抱えられてくるくる回るとめっちゃ楽しい。シロに乗ればすぐ丘の上に戻れる。何度も何度もゴロゴロしてから川に行く。

シロは川に入って魚を捕って食べている。

俺は靴を脱いでズボンを捲り上げ浅瀬でバチャバチャ。

日が傾いてきたので王都に戻った。

これで銀貨5枚、まあ5万円。

冒険者はやめられない。

でも成竜の騎乗具は普通で500万~1000万。

10年程度で作り替えるのでもっと稼がないと生活費が出ない。

シロの体が大きくなるのが遅くて助かった。



今日は飛行の授業。

さすがに王都内は特別な場合以外の飛行は禁止なので街門から外に出る。

といっても学院は東門の傍なので学院から歩いて20分程。

門を出ると訓練場所の草原まで5分程の飛行。

「30分個人練習だ。自由に飛んでいいぞ。」

俺は図書館で見た30m級大型竜である氷竜との戦いを想定して練習するとシロに伝えた。

「キュルル」

任せて、とシロが胸を張る。

大空に飛び立った。

”正面ブレス“

”左爪“

“右尾“

“左ブレス“

“左尾“

“右爪”

“上尾“

“上ブレス”

状況を設定したイメージを伝えるとシロが即座にそれに応じた回避をする。

イメージを作る速度を上げれば魔法の発動も早くなるので1石二鳥の練習。

だが何度やっても攻撃に移るイメージが出来ない。氷竜の隙が見つからない。

そろそろ時間なので着地した。

「何か意図があって動いたのか?」

「大型竜。」

「大型竜って、氷竜とか雷竜か?」

「氷竜。」

「まじか。」

「うん。」

「確かにそんな動きだったな。だが氷竜のブレスはもっと大きく広がるから回避を大きくしないと避け切れないぞ。」

それは知らなかった。

「うん。」

周りの生徒たちが呆れたように見ていた。



「次は追いかけっこだ。鬼はシロ。シロの翼に触られたものは着地しろ。15分逃げきれれば勝ち。この草原以外に出るのは反則だ。30秒後にシロが離陸するからな。始め!」

草原は直径4~5キロある。10頭の竜が散らばって行った。すでに点にしか見えない竜が多い。

「レオ、発進しろ。」

担任の声で空に舞い上がった。

シロが一直線で遥か右前方の緑竜に向かう。

あっという間に追いついて緑竜の左翼に翼をぶつける。

緑竜がふらついた時には既に次の青竜に向かっていた。

最後に褐竜の右翼にタッチしてシロがスピードを落とした。

「キュルル!」

どうやと胸を張っている。

「うん、凄い。」

俺の喜びを感じてシロも一層喜んでいる。


ゆっくり担任の所に戻った。

「毎年やっているが、全滅は初めてだ。まあシロが相手じゃしょうがないとはいえ、お前らもう少し頭を使え。シロの翼を搔い潜るとか当たる瞬間に急降下するとか。」

「無茶言わないで下さい、相手はシロですよ。旋回半径が小さいのに速度が桁違い、避けられると思います?」

「・・・・、まあ無理だな。」

「でしょう?」

「よし、5分間休憩してから2回戦に行くぞ。鬼はモモ。シロはここで休んでいろ、どうせモモはシロを追いかけない。」

「当たり前です。時間の無駄ですから。」

マテが何で当たり前のことを言うのだと怒っている。

2回戦が始まった。

モモのスピードはさすがだが、小回りの利く緑竜に翼を当てられなくて苦戦している。青竜2頭と茶竜2頭の4頭に終わって5頭取り逃がした。



「まあ例年通りだな。次回も同じ練習をするからそれぞれ対策を考えろ。最後に編隊飛行をやるぞ。」

「キュル」

「ゴググ」

「ググガァ」

「ギュガッ」

シロが竜達と何やら打ち合わせをしている。

「何を話しているんだ?」

「隊列の変形? 速度合わせ?」

入学式のぶっつけ本番で見事な指揮能力を見せたシロだけに担任も気になったようだ。

打ち合わせが終わったようだ。

全員が竜に騎乗した。

「発進!」

担任の声で次々と飛び上がる。

すぐにシロを先頭に3角形の編隊飛行。そのまま地上すれすれまで降下して急上昇。

上空で隊形を4列縦隊に変えてそのまま右旋回から左旋回。

思わずブルーインパルスかよと突っ込みを入れてしまう。

最後に急上昇の後花が開くように旋回して下降、揃って着地した。

担任が呆然としている。

「クルル!」

シロがどうやと胸を張った。


下手な文章ですが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

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