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短編集

伝えられない、その想い

作者: 都辻空
掲載日:2024/01/26

 バイトの休憩中。

 スマホの画面に表示されたのは、高校時代の同級生の名前だった。


 高槻(たかつき)功太郎(こうたろう)


 数秒思案した私は、スマホのバーを受信の文字へスライドさせる。


「……もしもし?」


『……あ、(さつき)? 久しぶり』


 高校を卒業して早五ヶ月。

 うん。相変わらず声だけは良い奴だ。


『俺、今どこにいるかわかるか?』


 いきなり何を言い出すんだ、こいつは。


「前情報もないのに、わかるわけないでしょ」


『今度オープンする、うちのレジャー施設なんだけどさ』


 耳元では、プレオープンで招待されているとかなんとか、そんな言葉が続いていた。


(はあ……またか)


 私は溜め息を堪えて言葉を絞り出す。


「あっそう。良かったわね」


『なんだよ、ノリ悪いな』


 それは自分が一番よくわかっている。


「こっちはバイトで忙しいの」


 もうすぐ休憩が終わるからと嘘をついて、私は電話を切った。

 暗くなったスマホの画面に、自分の顔が映りこむ。


「……」


 ダメだ。

 私はスマホをポケットにしまった。


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