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みずうみ
静かな湖
大きな月
手漕ぎボートに
湖より沈黙するふたり
風さえも前髪を揺らさない
固く閉じたくちびるは
ため息も許さない
ふたりの白い服が
月明かりにぼやけてひかる
ずっと見つめ合っていても
静寂は深くなるばかり
目をそらさぬまま
水面に触れた指先で
生まれた波紋に想いが響いて広がってゆく
それは無音のまま消え
黙ったままのふたりに
魚が跳ねる水音が
きっかけを与える
そんな妄想が
湖に沈むまで
黙ったままのふたりの想いが
湖に沈むまで