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恋のスープ
恋のスープに浸かっていたら
嬉しさと悲しさの振り幅が大きすぎて
零れ落ちた
恋のスープに濡れた全身がベタベタと粘っこい
甘い腐敗臭に辟易する
それに二日酔いみたいに頭が痛い
何が入っていたのか確かめるために舐めてみた
舌を刺激する変わった味
なのに意外と後を引くから
また恋のスープに入ろうかと迷う
「熱いシャワーを浴びてパリッとしたシャツに袖を通したら生まれ変われるよ」
頭の中で声がする
それもいいかもしれない
でも零れ落ちたことが少しだけ残念
衝動的って
夢とか幸せにつながっている気がする
一拍ひるんだだけで
何光年も離れて行ってしまった経験がこびりついている
恋のスープにふやけた指先はたよりない
その無防備さがなんとも愛おしかったりする