情けは人の為ならず
掲載日:2022/11/30
可愛い人が好きだ。
可愛い人は気分が上がるから。
見るだけで幸せな気持ちになる。
だから、見るだけでいい。
そう思っていた。
でも、目の前で可愛い人が困っている。
ショッピングモールの廊下スペースで、座っている。
白い廊下に、荷物をぶちまけている。
カバンを、真っ逆さまにして振る姿。
それを初めて見た。
人はちらほらいるが、みんな見ないフリをしてる。
可愛い人と目が合った。
合ってしまった。
「どうしたんですか?」
「スマホを落としたみたいで」
「どういうスマホですか?」
「派手な」
「あっ、あれはどうですか?」
自販機のそばに派手な箱があった。
「これですこれです」
「良かったです」
「ありがとうございました」
「あっはい」
「あの。もしかして、ドタキャンされました?」
「あっはい」
「さっき見かけたときに、スマホ見ながら、険しい顔をしていたので」
「そうです。よく分かりましたね」
「お礼に、私がここの案内をしてあげましょうか?」
「いいんですか?」
「はい」
親切にしたら、可愛い顔を長時間そばで見られるんだ。
嬉しい。




