黒幕を追え。
ポッと出のヤツが黒幕とか…最初から名前出しとけよ!!
僕に対するいぢめの黒幕、坂下当太…僕は記憶を引っ張り出すけど、全く憶えが無い…多分、見てはいたんだろぉけど、記憶に残って無い…云うなれば、セリフも無く、動作もほとんど無い背景系のモブなんだろな…そんな人が、何故僕を狙うか…多分だけど、久田に告白して、フられたのは良いとして、その理由が僕って点ぢゃ無いかな?僕さえ居なければ…みたいに考えて、嫌がらせと排除の一挙両得とか考えて、いぢめって手段になったんぢゃ無いかと思う…
コレはコレで相手から見れば、妙案だったのかも知れないけど、それは悪手だね。相手は必ずしも、自分の妄想通りには動かないって教えてあげないと!!
でも、そこまで久田に執着していたヤツが、鳴りを潜めているのが少し気持ち悪いな…
もしかしてだけど…
「ねぇ、その坂下当太って、久田以外の女の子とも肉体関係を持ったりしてた?」
「…はい。私以外にも…私以後に吉田の手先になった娘は全員処女を奪われているかと思います…」
なるほど…御し難いアホなのかもね…
「静也くん、どぉかしたの?」
翔子さんが可愛く覗き込んで来た。
「ん?あぁ…その、坂下当太ってヤツは、もぉ久田には執着していないと思ってね。」
「なんで?」
「久田の初めての相手になったカタルシスはあっただろぉけど、その後、すぐに吉田に渡しているし、資金源として使いまくってた。更には他の娘にも手を出している事からも、久田への執着は無く、女の子に対する執着って云うのかな?初めての相手になるカタルシスが今の坂下当太を支配していると考えるのが妥当かなって…」
僕の説明に、翔子さんと久田は考え込んでいる。
「静也様、男性は初めての相手になりたいモノなのでしょぉか?」
久田は本気で解らないと云った感じだな。
「ぢゃぁさ、美久は誰とでも…その…出来る?自分から抱いて欲しいって思う相手以外に抱かれたい?」
「そんなのイヤに決まってます。」
「多分そぉ云う事ぢゃ無いのかな?」
「どぉ云う事なのでしょぉか?」
久田は心底解らないって感じだが、下ネタになりそぉなので、女同士に任せよぉ…
しかし…坂下当太かぁ…みんなの記憶から姿を消してるんだよなぁ…手掛かりは…久田だけか…どぉにかして引き摺り出せないか?
今の坂下当太は久田には執着してないだろぉな…これ、無理に探さなくても良くないか?いや、被害者を悪戯に増やすワケにもいかないか…なにか…
「なぁ、久田。」
僕は一つ気になった事が有って、久田美久に訊ねた。
「はい。なんでしょぉか?」
「坂下当太に犯された全員に何か共通点とか無いか?」
「共通点ですか…?みんな、そこそこ以上に美人で、胸も大きく、あっ!!好きな人が居ました!!中にはお付き合いしている人が居た娘も…」
「それかもね…好きな相手が居るにも関わらず、横取りするって結構興奮するかも…しかも自分が初めてになったりとかしたら…」
と、僕が意見を述べたら、
「…えっ?なにそれ?横取り?自分に心が無い女の子を抱いて楽しいの!?」
翔子さんが、心底不思議そぉに聞いて来た。
「うん、多分ね。しかも初めての相手ともなると…結構興奮するかも…って思うんだよね…」
「…なんかそれ、引くんだけど…」
「うん、僕も理解の範疇越えるけど、そこに興奮するのかも…しかも、催眠か何かで自分に意識を向けたりとかしたら…」
僕の言葉に久田が反応する。
「確かに…もし、お付き合いしてる相手が居たとして、その相手が悔しがってるとか考えると…女の子の方も、全部初めてとかだったら…」
「うん。自分の方が優ってるって感覚に陥る事も有り、コンプレックスだらけの男だとしたら、どこかで優越感を欲するから、丁度良い鬱憤の吐け口になり得るかも…性欲も満たせて、優越感にらも浸れるってワケだね。」
「「うわぁ…引くわぁ〜…」」
見事に翔子さんと久田の声が重なった。僕も同じ意見だけど…男として、解らなくも無いってのが有るからなぁ…
「あはははっ!!気持ちは解るよ。」
と、二人に同調した振りをする。
「そぉです!!こぉ云うのは人を選ぶのです。とは云え、静也様にならして欲しいと思っても、静也様は絶対なさらない事です。」
うおっ!?なんか大きな信頼が来たけど!?
「ん〜…しろと言われてもしたく無いかな?」
「ん?なんでよ?男なら喜ぶ所ぢゃ無いの?」
キョトンとした感じで翔子さんが聞いて来た。
「えっ!?翔子さんはさぁ云う事をする男が良いの?だったらするけど…」
「イヤに決まってるぢゃない!!」
「ならしないよ。」
「あっ!!」
僕はにっこり微笑み翔子さんを見ると、翔子さんは頬を真っ赤にして頬を膨らませそっぽを向いた。
「あら?可愛らしい。静也様はこんな可愛らしい女性が好きなのですね?私に出来るかしら?」
「し、しなくて良いよ!!」
翔子さんは大声を張り上げ、テーブルをばんばん叩いて抗議している。
そんな仕草すら可愛く見えるから得だよなぁ。
まぁ、翔子さんをからかうのはこの辺で止めて、
「問題は、坂下当太をどぉ探すかだね…」
僕の呟きに、翔子さんも久田も真面目な表情になった。




