意見交換会。
なんか変な状況になって来ましたね。
「坂下当太…一応クラスメイトだったわ…でも、目立たないヤツでした…」
ポツリポツリと久田が話し出した…
「静也様を誰かがいぢめてる時、視界にちょろちょろ入ってる…そんな存在…誰もが気に留めない…そんなヤツを演じていた…」
ん?なんか声が震えてる?いや、身体も震えてるぞ?
「アイツの顔を見て、思い出したの!!私を最初に強姦したのは吉田ぢゃ無くアイツだったの!!」
久田は、大粒の涙を流しながら、歯を喰い縛り、立ち上がった…
朝の話は、ホームルームで終わりを告げ、昼休み、屋上で昼食を摂りながら、僕、翔子さん、久田の三人で話していた。
「ん?どぉ云う事?」
涙を流し震える久田に問いかけた。
「アイツが…アイツが、私達を操ってたヤツなんです!!」
話が少しだけ見えた…
「その坂下当太はなんで、君を操ったんだ?」
そぉ、坂下当太と云うヤツが居たとして、ソイツが何の目的で、どんな方法で人を操ってたのか…それが解らない…
「私の記憶が正しければ…ですが…」
ソコからは美味しい翔子さんのお弁当の味を損なう程度にクソまずい話だった…
中学二年になった時、久田は坂下に告白されたのだが、「私の全ては御堂静也様のモノ…貴方の気持ちには応えられないわ。ごめんなさいね。」と断ったんだそぉだ…
ソレから数日、坂下は学校を休んで、久々に登校した時、吉田に久田は呼び出され、そこに坂下も居たらしい…そして…気が付いたら、久田は純潔を散らされていたと語った…
「…そんな…ぢゃぁ、貴女に落ち度は…」
「多分、無かったと思う…ただ、コレが真実ならね…そして、あの時、既に吉田は坂下に操られていたと考えると、合点がいくの…」
なるほど…久田も撮影されていたハズだが、ソコにはその坂下は映って無かったんだろぉ…影すらも…しかし、久田の初めての相手は吉田だと[鑑定」した時には出ていた…恐らく、本人もそぉ思っていたからだと考えると、辻褄が合う…人物の[鑑定]では本人が自覚していない事は不明扱いになるのでは無いか…そぉなると、思い込んでいる事が判ると云う事だ。
静かに泣く久田を、翔子さんが抱き寄せ、頭を撫でてあげている。
呪縛の解けた久田は、元々の人格に戻っているのか、頗る素直な好感の持てるヤツになっていた。
昼休みが終わった合図のチャイムが鳴り、午後の授業を受け、放課後、僕と翔子さんと久田は、僕の家に集まり、昼の話の続きをした。
「えと…どこまで聞いたっけ?」
翔子さんは、飲み物やお茶菓子を用意しながら話を切り出した…アレ?ココって僕んちで、翔子さんがなんで、お茶菓子とかの場所知ってるんだ!?
「そぉですね…私を強姦したのが坂下当太だと云う所はお話ししましたよね?」
「うん、その後は静也くんが調べた通りの事になったんでしょ?」
「はい…ただ、坂下は、何人か強姦していると考えるのが妥当だと思うの…常時五人は吉田の駒として居たから…毎月一人ずつ入れ替わっていたの…クラスにも二人…他のクラスや学年にも…全校の女子生徒の何割かはヤツ等の毒牙にかかっていたと思うわ…坂下の呪縛が解けても騒がなかったのは、売春をしていたのを知られたく無かったから…その一点だと思います…」
久田の話から推察すると、坂下の呪縛…洗脳?は解ける類のヤツみたいだな…現に久田は解けている…僕と翔子さんの[神眼]だったら、ちょっとやそっとぢゃ解けないもんね。久田のは鏡を見ると自己暗示をする様になってた節がある事から、坂下の能力は[神眼]とは違うと云えるか…それに、松木のあの反応からして、松木も少なからず操られていたと思う…多分、自分に関する記憶の消去とかだな…
自分をみんなの意識外に置き、みんなを利用して、僕に対するいぢめを扇動した張本人…まぁ、僕を標的にしたのは、久田に対する嫌がらせみたいなモノかな?
「…ん!!静也くんってば!!ちゃんと聞いてる?」
翔子さんに揺らされ、思考の海から現実に戻された。
「あ…ごめん、かなり考え事に集中し過ぎてたよ…」
「もぉ…しっかりしてよね?」
「…はい…で、全ての黒幕が坂下当太だとして…なんで高木君達は平気だったんだろ?」
僕は一つの疑問を投げかけた。
僕に対するいぢめが、僕に対する嫌がらせだったとしたら、高木君たちにもその能力?を使っててもおかしくは無いハズなんだけど…
「学校での彼等はいつも静也様と一緒に居たからではないでしょぉか?意図的に静也様から距離を置いていた様に見えましたし、学校に来ていない時は接点も無かったでしょぉから…」
なるほど…黒幕が近付くリスクをしっかり考えていたのか…なかなかに慎重なヤツだな…
「なるほどね…となると、追い詰めるのはかなり難しいかも…意外と慎重な性格っぽいから…」
「確かにそぉですわ。でも、水野さん。」
「ん?わたし?わたしがどぉしたの?」
「はい、アイツがターゲットに貴女を選ぶ可能性がかなり高いと思います…今、静也様に一番近い女の子は貴女ですから…」
「んな!?」
翔子さんは驚いて目を丸くしている。
「…ですが、このままずっと静也様の近くに居れば、あからさまに近付く事は無いと思います。」
「…なんだぁ…そっかぁ…びっくりさせないでよね。」
「すみません…ですが、警戒だけはずっとしていて下さい!!」
久田は本当に、親身になって翔子さんを心配してくれているみたいだな…ホント、良いヤツだったんだな…
坂下当太…どんなヤツなんでしょぉか?




