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見学。

どんな因縁が有るんだろ?

「「「「「はいっ!!やぁ!!はいっ!!やぁ!!」」」」」


小学生の男女、十数人が芦田のやら通りに、気合いを入れて、正拳突きをしている。

芦田父さんはソレを見て回っている。


「意外と女の子も多いんだね。」

「みたいだな…ソレに、みんな気合いガンガン入ってるし、みんな強くなりそぉだな。」


高木君とボソボソ話しながら、練習風景を見ていると、


「あ〜…見てたらなんかウズウズして来たな…」


と、戸次君はソワソワし出した。


「…おい、高木、ちょっとケンカしよぉぜ!!」


うん、バカな事言い出したよ…


「なんでケンカしなきゃならないんだよ?」

「あのなぁ…子供達の気合いの入った稽古を見たら、身体が熱くなるだろ?だから、ソレを鎮める為に…」

「ヤダよ!!お前、ぜってぇ加減しないだろ!!」

「お前相手に加減とか、必要ねぇだろ?何回殺し合いに近いケンカしたと思ってんだよ?」

「アホか!!今のお前とそんな気になんねぇよ!!」


そっか…前は色んな勘違いがあって、敵同士だったけど、誤解が解けて仲良しになったんだっけ?


「んな!?そんな弱気でどぉする!?空手とか、全く知らないヤツとドツキ合う競技だぞ!?」


まぁ、確かにそぉなんだろぉけど…

ごすっ!!

騒いでいた戸次君の後頭部に、芦田父さんの右脚の蹴りが綺麗に入った。

回し蹴り…ぢゃ無いよね?戸次君は僕達の右側…戸次君からしたら、左を向いていた。その後頭部に戸次君の右側から歩いて来た、芦田父さんが右脚で後頭部を蹴ったんだ。後ろ回し蹴りってヤツでも無いよね?


「うるせぇぞ小僧!!中学に入ってからケンカしかしなくなったヤツは、今のも避けれんか?」


ん?言葉の端々から受ける印象と、ココまでの情報からすると…


「いってぇなじじぃ!!」


がすっ!!

右足を芦田父さんの方に動かし文句を言う戸次君の右足を、芦田父さんは踏み抜いていた。


「うぎゃぁ〜!!」


あっ…泣いた…


「喚くな喚くな。骨は折れて無いだろ。どぉだ?また稽古始めてみるか?ん?」

「てめぇ…ぶちのめす!!」

「そぉかそぉか、今日から始めるか?明日からか?」

「今からだ!!」


そぉ叫んだ瞬間、戸次君は芦田父さんの股を蹴り…抜けない!?

戸次君の早い左足の蹴りを、芦田父さんは半歩右側に動いて躱していた。

ウッソでしょ!?人間って、あんな事出来る生き物なのか!?

僕は目を見張る。

芦田父さんは蹴り上げられた脚を更に下から押し上げる様に蹴り上げた!?

ごいん!!


「ふんごぉ〜!!」


足を蹴り上げられた戸次君は、蹴りの勢いそのままに、後ろにコケて、後頭部を床に打ち付けていた…

いや…アレは地面がコンクリートやアスファルトとかだったら頭が割れて死んでるでしょ!?

なんて危険な事を平然とするんだ!?芦田父さん!!


「ほれほれ、どぉした?オレをぶちのめすんぢゃ無かったのか?」


って、足先で戸次君の頭をツンツンしながらアオリ倒してるよ…


「あの…師範…で良いのかな?それ以上は…コイツ…死にますよ?」

「ふん!!人間はそんなヤワに出来て無いぞ。ホーレホーレ!!悔しかったらかかって来てみろぉ〜」


うわぉ…人格疑うなぁ…一昨日と全く別人な感じなんだけど…


「オレ、ココで空手する気無くなって来たぞ…」

「奇遇だね…僕もそぉ感じてるよ…」


ボソボソと高木君と僕が話していたら、

ガツン!!


「オヤジ!!なにやってんだよ!!子供達が見てるだろぉが!!」


芦田が文句を言いながら、自分の父親の後頭部を殴り付けていた。

イヤイヤ、良いのかこの親子!?いや、この道場!?


「てめぇ…背後から不意打ちたぁ成長しやがったな!!」


ん?成長?


「アホな事言ってんなよ!!子供達を指導するか、出て行くか、どっちかにしてくれ!!」

「…そぉだな…よし!!仕事に精を出すか。お前等は見てるだけな。」


と、芦田親子は子供達の指導に戻った。


「あのおっさんに、背後からからとは云え、一発入れるとか、あの芦田ってヤツ、かなり強いんだろな…」

「どぉだろ…まぁ、蹴りで僕の骨を折ったのは確かだけど…それに、空手とケンカぢゃ、勝手が違うかもね。」

「まぁそぉだな…でも、弱くは無いだろ?」

「うん。多分ね…でも、あのおじさんのが遥かに強い感じがするよ。」

「あぁ、ソレはオレも思った。あの戸次がまるで相手になって無かったからな…」


その、話題に上がった戸次君は、トイレに行っている。ま、あれだけ強かに後頭部を打ち付けたから、冷やしてるのかもね…

ソレから、小学生の稽古が終わるまで見学してたけど、戸次君に対してしてた様なスパルタ?な指導は一切行わず、懇切丁寧に指導をしていた。


「おぉ〜痛ぇ…」


後頭部を押さえながら戸次君が道場に戻って来た。


「大丈夫?」


僕が訊くと、


「あぁ…なんとかな…ったく、これ以上バカになったらどぉしてくれるんだ…」


って、答えてくれた。頭を打っただけでバカにはなりません。まぁ、首の骨とか折れて無い様で安心かな?


「大丈夫だ。それ以上はバカにはならないだろ?安心しろ。」


って…なんで高木君もそんな事言うかなぁ…

僕達が見学している間、相田はずっと、柔軟体操とかしていた。あっちもあっちで、そこそこ以上には強いんだろね…

そんな感じで、僕達は道場見学を止めて、帰路についた。

後で電話して、久田の情報を貰うかな…

とんでもない道場だったんですね…

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