道場。
水野さんは何を仕掛けるわでしょぉか?
「あっ!!そぉだ!!良かったら今からウチに来ないか?」
いきなり芦田がそんな事を言い出した。
「ん?なんか有るのか?」
戸次君が問うと、
「ん?いや、帰ったら稽古するんだよ。体験してかね?」
戸次君の僕は納得したけど、
「稽古?何かの道場とかか?」
「ん?あぁ、一応空手の道場なんだよ。」
高木君は初対面だから知らなかったか。
「へぇ…面白そぉだな…オレは少し興味が有るぞ!!」
あ、コレ行く事になる流れだよ…
僕と戸次君は顔をみあわせ、頷き合う。
「ぢゃぁ、行ってみるか。高木、正面からのタイマンだけなら、芦田はオレより強いから気を付けろよ?」
「なに!?お前より強いのかよ!?」
「あぉ、一捻りだぞ。」
と、誇張ぢゃ無い事を強調して、芦田を持ち上げていた。
「そぉは言うけどさ、そのオレをシバき上げたヤツがココに居るんだけど?」
芦田は僕を指差した。
「…ウソ…だろ?」
戸次君が若干引いている。
まぁ、確かに見た目は、ヒョロくて、男の割には小さい方なんだよね…その体格からは想像は出来ないんだろね。
「…ホントだよ。水野を貶したら抵抗する間も無くな。」
芦田の説明を聞いた高木君は、
「あぁ…そりゃそぉだろ。水野さんの事になると、御堂は見境無くなるからなぁ…」
「ちょっと!!僕を何だと思ってるのさ?」
「水野さんしか見えてないヤツ?」
「…否定はしないけど…」
なんか釈然としないなぁ…
「ま、冗談は置いといて…空手かぁ…実は興味有ったんだよなぁ…」
高木君は興味が有ったのか…
「僕はそこまでは無いけど、オジサンに誘われてるんだよね…腕が治ったらだけど。」
そぉ、僕は見学に行く理由が有る。ソレに、やっぱり鍛えておくに越した事は無い…試合とか出るつもりは無い。注目されて、色んな能力がバレるのは勘弁して欲しいからね。試合に出てもソッコーで負ける事を目指そぉ!!
「なら丁度良いや!!行ってみよぉぜ!!」
高木君はノリノリで芦田の誘いに乗るみたいだな。仕方無い付き合うか…僕は翔子さんにメールを打った。
[今から、みんなで芦田の家に行く事になったから、晩御飯は一人で食べるよ。]
っと、これで良いだろ。
ピロン!!
って、もぉ返信来たよ…どれどれ…
[りょうかぁい!!スーパーで買い物して帰るから、その近くになったら要連絡!!]
…どぉあっても一緒に食べるつもりかな?なんか嬉しいな。
「…んで、御堂は、水野さんに報告か?尻に敷かれまくりだな。」
と、戸次君がチャチャを入れて来る。
「うん。まぁ、ソレが幸せなのかも知れないよ。ソレに、翔子さんは軽いから敷かれても、平気だよ。」
「…ソレもノロケか?」
何故か芦田にツッコまれた。
「そぉかもね。」
こんな時は肯定してやるに限る。
「はぁ…ご馳走様だな。」
と、呆れられた所で、
「それより、早く行こぉぜ!!」
なんか高木君がはしゃいで、子供みたいになっちやつてるよ…水野さんが見てたらからかうかもね。
そんな感じで、四人でバスに乗り、二十分程揺られ、芦田の家に着いた…
「えと…これ…ビルだよな?」
「…ビル…だね…」
高木君と僕は、十階建てくらいのビルを見上げていた。
「やっぱ、空手って儲かるんだなぁ…」
戸次君もしみじみと言っている。
「いや、空手で儲かったワケぢゃ無いぞ?ソレに、コレはオフィスビルで、中に道場と家が入ってるだけだし、ウチはココの家賃収入がメインだから…」
なるほど…最近は、地方に事務所を構える会社も多いって話だし、そんな事も有るのかもね…
「ほら、そんなトコに突っ立って無いで、コッチだぞ。」
一階の一角が道場になっているみたいだ。更衣室も男女と有るし、奥がシャワー室になっているらしい。
「シャワー室って何人くらい入れるんだ?」
「ん?あぁ、十人ずつ入れるぞ。因みに、トイレは男女三人分ずつだ。」
僕の質問に、芦田は快く答えてくれる。
「中々良い設備なんだな…」
「ま、それだけが売りなんだよ。」
高木君の呟きにも応える律儀さは流石だよね。
そんな事をしていたら、
「アレ?なんで戸次が!?って御堂も居るし…コッチの彼は?」
僕達に声をかけて来たのは、相田だった。
そっか、相田もココに通ってるって言ってたっけ?
「コッチは僕の親友の高木君だ。相田よりは確実に強いよ。」
と、僕は高木君を紹介する。
「えっ?まぢで?」
驚く相田に、芦田が追い討ちをかける。
「戸次とタイマン張れるらしいぞ。」
「うわぁ…狭い地域でそんなに強いヤツ要らねぇから!!」
怒鳴るか落ち込むか、どっちかにしなよ…
と、騒いでいたら、
「おい、そんな所に突っ立ってたら、周りの邪魔だぞ!!」
と、芦田父が現れた。
「ん?静也君ぢゃないか!!見学に来たのか?ま、この時間は小学生がメインだから、混ざるのは無しだぞ?」
「あははは、この腕ぢゃ、あまり運動は出来ませんから。」
「ソレもそぉだな。ところで、庸一はどぉしたんだ?」
「えっ?あぁ…その付き合いと云うか…」
庸一と言われたのは、戸次君だった。
「なんだ?ケンカなんぞつまらん事より、空手をしろと言ってたろぉが。」
ゴツン!!
「いってぇ〜…いきなり何すんだ!?」
拳骨を落とされた戸次君は頭を押さえて座り込んでしまった。
「力を使うのは、クソヤロー相手限定だ!!解ったな!!」
「オレはクソヤローかよ?」
「しっかり修練しないヤツはクソヤローだ!!」
なんか因縁がありそぉだね…
相田は手を骨折してますが、それでも、出来る範囲の稽古はしているらしいです。




