笑い話。
割とご近所さんだったんですね。
駅で芦田と話していたら、
「アレ?芦田ぢゃねぇか!!久し。って御堂!?あれ?いつもの可愛い娘と一緒ぢのねぇの?ケンカでもしたのか?」
そんな声に振り返ると、
「あっ、戸次君。」
「ん?戸次か…御堂と知り合いだったのか?」
「ん?あぁ、オレの高校で知り合ったヤツのツレなんだよ。お前等は?」
「オレ達は高校の同級で、入学数日でボコられた。」
「えっ?え〜!?お前が!?何人でやられたんだ!?」
「いや…一人だけだけど?しかも、左腕怪我してる状態で…」
「…いやいやいや!!有り得ねぇだろ!!空手日本一になったお前が怪我人にボコられるとか!!誰だよ!?お前をボコったのは!?」
「ソレがあるんだよ!!こんなナリしてて、キレたら水野さんにしか止められないんだよ!!あの時は死ぬかと思ったよ…」
芦田は笑いながらぼくの肩を抱き、トンデモ無い事を言う。
「なんか、その言い様だと、僕が見境無いヤツっぽく聞こえるんだけど?」
「見境無いだろ?水野さんの事になったら。」
「ゔっ!?た…確かにそこだけはそぉかもだけど…」
なんで僕が責められてる!?
「なんだ?高木達が言ってた通りなのか!?かなりベタ惚れなんだな!!」
なんか変な方向に話が向かったから、僕は話を変えてみる。
「そ、それより、二人はどんな関係なのさ?」
「ん?あぁ、中学の時からのツレだ。」
おっ!?戸次君が釣れたぞ!!よし!!
「へぇ〜…中学時代の芦田ってどんな感じだったの?」
「ん?そぉだなぁ…フられまくってたよな?」
戸次君がそんな事を言った。
「んな!?おい!!御堂はそんな事聞いて無いだろ!!」
すかさず芦田がツッコんだ。
「いや…そぉ云う所も聞きたいな。」
「おっ?解ってんぢゃねぇか!!」
と、芦田があの手この手で好きな娘にアプローチしては自爆しまくった事を、戸次君は面白可笑しく話してくれた。
その間、芦田はずっと言い訳に徹していた。
うんうん、楽しい中学時代だったんだなぁ…
「…その上で、曲がった事が大嫌いなヤツなんだよなぁ…他人だけぢゃ無く、自分自身にも厳しいヤツなんだよ。」
「なるほど。ソレは解るなぁ…正義漢って感じで先走りする所とかあるよねぇ。」
「そぉそぉ、ソレで被害に遭ったヤツもかなり居てな…」
と、なんとか話題を僕から外らせる事に成功したけど、
「…なぁ、この場はオレに対するいぢめか何かか?」
って、半分泣きそぉになった芦田が、僕達に訴えかけて来る。
「えっ?コレがいぢめなの?なら、僕がされてたのはなんなんだろ?」
「「あっ…」」
僕の呟きに、戸次君と芦田の声が重なった。
そっか、二人共僕がいぢめを受けていた事を知ってるし、自殺手前だった事も報道されてたから、知ってて当然か…
「…なんてね。もぉ気にしてないからネタにも出来るんだよね。あの教師を警察に引き渡したのは僕だしね。」
と、少しおどけて、笑い話になる様にしむけた。
「ビックリさせんなよ…一瞬空気凍ったぞ!?」
「あははは、ごめんね。」
戸次君は僕の気持ちを汲んでくれたみたいだ。
「ホント、ビビらせんなよな!!」
バンバンと芦田は僕の左肩を叩いて来た。
「いたたたた…誰さんに蹴り折られた腕に響くってば!!」
あっ!!また空気が…!?
「あ…いやその…すまん…」
ほら!!芦田が落ち込んぢゃったよ!!
「あははは、冗談だよ。もぉほとんど痛みは感じて無いから。」
ホントに痛みは感じ無い。怪我とかの修復を出来る能力を作ったからね。
「…ホント、そぉ云う冗談は心臓に悪いから勘弁してくれよ…」
「うん、そぉだね。今度から気を付けるよ。」
ホント、僕も人付き合いが下手になってるな…気を付けなきゃ。
「そぉ言やぁ、昨日、かなりの美人が高木達に頭下げてたぞ。」
「ん?かなりの美人?」
戸次君の言葉に芦田が質問をした。
「あぁ、すらっとしてて、出るトコ出てて、絞まるトコ絞まってて、清楚な感じのかなりの美人だった…」
戸次君は、ぽわっと思い出して少しニヤけてた。
「なんだその締まりの無いツラは!?気持ち悪いぞ!?」
「…んだよ!?仕方無ぇだろ!!めちゃくちゃ美人だったんだからよ!!」
なんか少し気になるな…どんな美人さんだったんだろ?
「ま、どんなに美人でも翔子さんには敵わないでしょ。」
あっ!!思ってた事がつい口に出ちゃったよ!!
「ん?あぁ…どぉだろな?人それぞれって所だろ?それに、水野さんは美人ってより可愛いが先に来るだろ?身長が身長だし…」
戸次君がそんな事を言う…
「身長の事は、本人に言うと怒られちゃうよ?」
「ゔっ!!ソレは流石に…気を付けるよ。」
僕の説明に、戸次君は素直に従ってくれた。
「ふぅ…さっきまで冷え込んでた空気が一気に炎天下になったぞ!?この温度差で体調崩すかも…」
芦田が仕返しとばかりにニヤニヤしながらそんな事を言った。
「あぁ…言われてみたらそんな感じだなぁ…どっかの誰かさんが惚気るから…」
って、戸次君も乗っかるなよ!!
「そぉそぉ、学校でも、めちゃめちゃいちゃいちゃしてんだもんなぁ…昼は二人で消えてるし…」
「ちょっ!?その辺詳しく!!」
って、芦田ぁ〜!!何を言い出すんだよ!?
「そぉだなぁ…入学してニ週間経って無いけど、二人の間には入らない空気っての?そんなのがあるぞ。相田なんか、血の涙流す勢いだったもんな。」
「あははは!!そぉ云や、アイツは小柄な娘が好きだったよな!!」
「ソレで、キモがられてフられるんだよなぁ!!」
と、戸次君と芦田は笑い合っていた。
「ねぇ、相田って誰?」
うん、思い当たらないぞ?
「えっ?同じクラスぢゃねぇか?お前を殴って骨折したヤツ…」
「あぁ…!!あのカルシウム足りて無いヤツね。」
芦田の言葉で思い出したよ…
「なに!?相田に殴られたのか!?アイツも空手の有段者だったろ!?」
戸次君が驚いていた。
あの時、[頑丈]をフルにしてたのは失敗だったかな?
そんな感じで盛り上がってたら、翔子さんと久田が歩いて来たのが見えた。
芦田と相田がどっかでごっちゃになってる気がする今日この頃…




