神眼。
どんな話で盛り上がったのか…?
翌日…いつも通り学校に行くと、雰囲気が違っていた…
「あっ…あの娘来てるね…」
目敏く、翔子さんは一人の女生徒を見付けた…久田美久だ…
その左腕は、僕とお揃いの三角巾をしている…そして…
「何とか言えよ!!てめぇ!!ずっとウソだったてぇのかよ!!」
いつも久田と一緒に居た女達が、久田を囲み、何やら問い詰めていた…
「さっきのが本当って事かよ!?」
めちゃくちゃ責められて無いか?あの周りの女達も掌がひっくり返ってるし…儚い友情だったね…
「はい。本当に済みませんでした…」
久田は謝るしか出来ていない…ソレもそぉだろぉ。催眠状態だったんだから、ほぼほぼ自分の意思ぢゃ無いって事だ…でも…三年間もの期間、催眠状態を維持させる程の催眠術が、果たして可能なのか…ココが疑問だし、誰が催眠術をかけたのか…そして、僕は、こんな事が可能な方法を一つ知っている…あのジュースだ。しかし、こんな悪質な使い方をしたって事が許せない…そのせいで死者も出てるし、何人もの人を泣かしてるし、そして、そんな悪意のあるジュースを飲んだ人が居る可能性がある…コレは危険過ぎる…久田からその毒を完全に取り除かないと、また同じ事を繰り返さないとも限らない…早急に特定するべきだな…久田が覚えていたら良いけど、望みは薄いか…
「難しい表情してどぉしたの?」
僕が少し考え事をしていたら、翔子さんに声をかけられた。
「ん?あぁ…催眠術って怖いなって…」
「あぁ…鏡を見たら自己暗示が入るってヤツね。あの娘も悲惨だわね…自分の意思とは別に、恨みを買って…」
「ソレだけぢゃ無いよ。アイツは三度の妊娠と堕胎、性病の感染、本来取るべき態度と真逆の事をして、僕を死に追いやろぉとまでしてた…」
「うん…ソレで今更静也くんに抱かれたいとか…」
「ソコは関係無いとは思うけど…」
「ソコが一番大事だよ!!」
「あ…はい…」
めっちゃスゴい剣幕で詰め寄られたよ…それより…ついに久田は暴力を振るわれた。まぁ、女同士だから、僕がとやかく言えないし、言うつもりも無いんだけど…
馬乗りになって…久田はされるがままだな…禊のつもりなのかな?
そんな中、チャイムが鳴り、柴田先生が教室に来た。
「おい!!先に戻れぇ〜!!」
何事も無かった様にホームルームが始まり、昼休み、いつもの様に屋上で翔子さんの持って来たお弁当に舌鼓を打つ。
「ご馳走様でした。」
「お粗末さまでした。」
と、ご飯の後、
「翔子さんに一つ、イヤな思いをさせるけど、引き受けてくれると良いんだけど…」
僕は意を決して話し出した。
「ん?イヤな思いを?」
「うん、気になる事があるんだけど…」
僕は、授業中に考えた事を話した。
「…なるほど…確かに恐ろしい事ね…防ぐ手立てがほとんど思い浮かばないわ…」
「ん?ソコはお互いに[神眼ジュース]の力を行使すれば良いと思うけど?」
「良いの?」
翔子さんは驚いて聞き返して来た。
「うん。お互いに予防するって点ぢゃ、それが一番確実だと思うから…」
神眼ジュースの能力は深層心理から操る事が出来る強力な能力だ。
僕は翔子さんを信頼してるし、翔子さんも同じだと嬉しいけど…
「…良いわ。お互いにかけ合いましょ。但し、それだけよ?変な使い方しないでね?」
「変な使い方?」
「う…浮気しても怒るなとかの命令はしないでって事!!」
「…そんな事、考え付きもしなかったよ…」
僕の返事を聞き、翔子さんは真っ赤になっちゃったよ。ホント可愛いな…
ソレからお互いに神眼を使い、お互いの神眼意外は受け付けない様にと、上書きの阻止をした。
どんな命令をされたのかは、解らないけど、特に変わった感じはしないかな?
「「変な命令とかしてないよね?」」
二人で確認し合った…ま、そんな気配は無いからなんとかなるかな?
その日の放課後、
「ねぇ、久田美久。ちょっと付き合って。」
「えっ?あ…はい…」
依頼通り、翔子さんが久田を誘ってくれたけど…
「ちょっと!!チビは引っ込んでて!!」
「そぉよ!!コイツには色々躾けなきゃならないんだからね!!」
と、翔子さんの地雷を踏み抜く愚か者が…
「あん?今、誰を何だって言ったの?」
ほらね…翔子さんが、オレが見ちゃダメな表情をしちゃってるぢゃん…
「アンタにチビは引っ込めって…」
あ…火事場に可燃ガスぶちまけちゃったよ!?
「今日の所は、わたしに譲っておいて。」
あっ、我慢して[神眼]使ったな?
「わ…解ったわ…」
って、さっきまでの勢いが無くなって、素直に、翔子さんに従った。
「ちょっ!?何言ってるの?」
「良いのよ…明日も明後日も有るから…」
翔子さんに操られてる女生徒は、ちゃんと翔子さんの意思通りに動いて、ツレを連れて教室を出て行った。
「えと…取り敢えず行こっか?」
表面上は落ち着いてるけど、こめかみをピクピクさせながら、翔子さんは久田を連れて教室を出て行った。
「アレ?今日は水野さんと一緒ぢゃねぇの?」
芦田が話しかけて来た。
「ん?あぁ…たまにはさ。」
「たまにはねぇ…ところで、二人って昔からの知り合い?」
「ん?何で?」
「だって…付き合ってんぢゃないのか?」
んが!?なんだよソレ!?
「いやいや、そんな関係ぢゃ無いと思うよ?入学してから知り合って、仲良くはしてるし、良く一緒には居るし、好意はあるけど、そんなんぢゃ…」
自分で言っててなんか恥ずかしいけど、事実だけを伝える。
「なんだよ?まだ付き合って無かったのか?勿体ねぇなぁ…身長低くて可愛い娘で、何をしても可愛いって評判で、彼女にしたいって言ってるヤツ多いんだぞ?」
「まぢで!?」
「あぁ、早く付き合い出さないと、捨てられても知れないぞ?」
「うぐっ…そ…そぉだね…なるべく早く考えとくよ…」
「ボヤボヤしてたら、誰かに持ってかれるぞ。」
「ソレは無い方が良いな…」
と、僕は帰る準備をする。」
「帰るのか?途中まで一緒に行かね?」
「ん?あぁ、良いよ。」
芦田と話してたら、割と近所だった事が解った。ま、同じ駅を使ってるって感じなだけで、駅の南北の差だけだった。
水野翔子は、絶対に浮気防止とか、自分に惚れろとかしたんだろぉなぁ…




