訪問者。
女の子の日…不安定になるってホント?←セクハラで訴えない様に。
情緒不安定って感じだった翔子さんを、なんとか宥め、やっと夕飯にあり着いた。
「あっ…意外と美味しい…」
「うん!!僕もお弁当屋さん初めてだったけど、なかなかいけるかな?ま、いつも最高のご飯食べてるから、ソコまでは感動が無いけど。」
「そっか…確かにお義母様のご飯美味しいもんねぇ。」
「ん?あぁ、確かに母さんのも美味しいけど、僕が言ってるのは、翔子さんのご飯だよ?」
「えっ?、わたしの!?」
「うん、まぁ、母さんは凝り性で、なんでも極めたくなるらしいから、比べるのはナンセンスなんだよねぇ…でも、母さんのご飯より、翔子さんのご飯のが好きだなぁ…」
素朴な感じが。
「そ…そんなに褒めても、お弁当しか出ないよ?」
「お弁当!?ソレは最高なんだけど!?あっ…でも、美味し過ぎて、太るかも…少し量が少ないかな?ってくらいが一番嬉しいかも…」
「そぉ?うん、太られると確かにイヤかも…気を付けるね。」
と、なんとも穏やかな夕飯を二人で食べて、少し勉強もする。宿題をさっさと済ませ、僕は六法全書の書き取りを、翔子さんは…まだ宿題があるみたい…
「なんでそんなに早く終わるのよ?裏技とか使ってない?」
「ん?あぁ…えと…大学入試問題までなら、小学校の内に終わらせてるからね…このくらいなら、キーボードのブラインドタッチみたいな感じかな?」
「はぁ…わたしもそんな風に言ってみたいよ…」
翔子さんはぐでっとしながらそぉ呟いた。
「ボヤかないの。せっかく可愛いのに台無しになるよ?」
「えっ?か…そんな事言って誤魔化さないの!!」
ぷくっと頬を膨らませて外方を向く翔子さんはやっぱり可愛い。
ソレを幸せな気分で眺めてたら、
びんぽ〜ん…
と、呼び鈴が鳴らされた。
「誰だろ?」
「ままかな?わたしが出るよ!!」
と、翔子さんのお母さんと思って、翔子さんが玄関に向かった。
「あれ?えと…どなたでしょぉか?」
翔子さんの声が玄関から響いた。知らない人みたいだな…
僕も玄関に向かう。
玄関には父さんと同年代くらいの男女が一人ずつ…その後ろに…久田美久!?なんでだ!?いや…それより…僕が付けた、あの変な臭いが無い…だと!?どぉ云う事だ?
「えと…どの様なご用件でしょぉか?」
僕は男性の方に話しかけた。
「久田美久の父で、久田光重と申します。御堂静也様ですね?」
さま!?なんだこの人は!?
「あ…はい…」
僕が応えたら、
「この度は、我が娘が大変なご迷惑をおかけした事、心よりお詫び申し上げます!!」
バッ!!と勢い良く久田光重さんは頭を下げた!?しかも測った様に、綺麗な直角だ!!女の人も同様に綺麗なお辞儀をしている。
「あ…えと…済みません、玄関先ではアレなんで、上がって貰えますか?散らかってますけど…」
「はい、お言葉に甘えます。」
なんなんだこれ?
玄関から、三人を迎え入れ、居間に場所を変え、席に座る様に促すと、翔子さんがお茶を淹れてくれた。いやいや!!何してはるんでっか!?
「えと…それで、本日はどの様なご用件で?」
「はい…話せば少々永くなるのですが…」
短くしてください。とは言えず、二十分くらいの話を聞いた。要約すると、中学に上がったくらいから様子が変わり、高校になって急に臭くなったから、色んな専門家に診て貰って、催眠術に因るカウンセリングで、重度の催眠状態だと判明、そのかけられている催眠術を解いた結果、臭いも消え、落ち着いて話をした結果、吉村義隆に強姦されていた事、操り人形になっていた事、何度も堕胎している事、現在性病に罹っている事等々が彼女を蝕み、精神崩壊手前だったらしい。そして、自殺未遂…「死ぬなら、自分のして来た事を被害者に詫びてからだ!!」と父親に諭され、今に至る…と云う事らしい…
改めて、久田美久を鑑定してみる。
[久田美久、十五歳、女子高生。
吉村義隆の策略により催眠状態だった。催眠術は、鏡を見る度に、自己暗示に因る催眠状態を維持し続けていた。
敬愛する者、御堂静也。
殺したい者、吉村義隆。
度重なる催眠に因り、精神を崩壊させる寸前。]
って、かなりヤバいぢゃねぇか!!これ見る限り、コイツも被害者ぢゃん!?つか、敬愛ってなんだよ!?立場逆転してんぢゃん!?なにこれ!?どんなドッキリだよ!?
「なるほど、話は解りました。ソレで、僕にどの様なご用件なのでしょぉか?」
「取り敢えず、本日はお詫びを申し上げたく…」
「そぉですか…僕も、自殺を計った人間として、彼女の苦しみは理解しますが…詫びただけで済まされる問題でも無いので、両親のいる時に出直して貰えると助かります。」
うん、今日はかなり混乱してるから、また後日にって言いたかったんだけど、両親とかほとんど家に居ないっての!!
と、思ってたら、ガチャって玄関で物音が…なんだろ?
「ちょっと失礼…」
と僕は断りを入れて、玄関に向かう。
「おぉ、帰ってたか。ただいま。」
って父さんがなんてタイミングで帰って来てんのさ!?
「客か?」
「ん〜…かなり混乱させられてて…父さんが話しを聞いてみて…僕ぢゃちょっと判断出来ないんだよ…」
「ん?そぉか?良く解らんが、話だけか?」
「なんか複雑なんだよね。」
「…そぉか…」
と、父さんとリビングに戻った。
父親の参加でどぉなるのかな?




