話し合い。
加害者家族と被害者家族のお食事会…どんな内容なんだろ?
「いやぁ…相手が御堂先生の息子さんとその友人だったとは思いもしませんでしたよ。」
芦田父はそんな事を言い笑い出した。
「ははははは…私も、学校に来るまで気付きませんでしたよ。相手の名前を知らなかったモノで…」
父さんも左腕の骨折の原因が解って複雑な表情をしている。
そして、恐れていた事が…
「…で、そちらのお嬢さんに暴言を吐いた所で、御子息に殴り飛ばされたらしいんですよ。」
「んな!?ソレは…静也?本当か?」
って、そんな話になってしまった。
「えと…はい…つい許せなくなって…」
と、僕が応えたら、
「あの時はびっくりしたよ。いきなりガツンって行ったからね。」
と、翔子さんがいきなり話に入って来で、少し興奮した感じで雄弁に語り出した。
「…で、芦田くんなんて、何も出来ないまま伸びちゃって…」
と、話し終わって、ハっと気付いたみたいだ。僕のした行為が、下手をしたら、殺人未遂になる可能性が有ると。
「はっはっは、無邪気な娘さんですね。そぉだ。御堂静也君。良かったらウチの道場で稽古しないか?」
と、何やら不穏なお誘いが…
「ほぉ?どの様な道場で?」
って、父さんが喰い付くのか!?
「はい、空手道場ですよ。とは云え、組み技や武器術も教えてますよ。」
「ほぉ?どちらかと云うと、総合武道みたいな感じですか?」
「えぇ、子供の頃から、合気道や柔術、躰道とかをしてまして、最終的に空手道場にも通って、全部を統合した感じの武道になってしまいましたよ。」
「ソレはそれは興味深い。時間が在ればもっと詳しくお聞きしたい所ですが、そろそろ戻らないといけませんので…私はコレで。」
「おっ?そぉですか?では、今日はお開きですね。静也君。良かったら今度、見学にでも来てくれ。」
「はい…腕が治ってから考えさせて頂きます。」
「あぁ、待ってるぞ。」
と、芦田父と話したあと、店を出て、帰る前に、
「二人には、騙されてたとは云え、酷い事をして、本当にごめん!!」
と、改めて芦田が頭を下げて来た。
「えと…こっちこそいきなり殴り付けてごめん…」
「いや、ソレは…オレが未熟だっただけだから…」
と、お互いに今回の件は水に流し、改めて友人付き合いをする方向で、その日は別れた。
そして、僕と翔子さんは当初の予定通りテーマパークに向かう。
「しかし、父さんが、空手に興味を示すとか思わなかったなぁ…」
「そぉ?男の人だから、強さに憧れる事もあるんぢゃない?」
「う〜ん…どぉだろ?子供のとき以来、ほとんど一緒に居なかったから、その辺解ん無いや…」
「あ、そっか…御両親共忙しいもんね…」
「うん。流石に少し寂しかったって感じもあったけどね。」
「そっか。そぉだよな…中学時代って、結構多感な時期だもんね…」
「まぁね…それでも、悪い事をほとんどしなかったのは、小学生の頃に、ちゃんと両親から愛情を貰ってたからかもね。」
「優しいんだね。」
「そぉだね。最高の両親だよ。」
「ん?優しいのは静也くんだよ?ちゃんとお父さんとお母さんを優しい人って喧伝出来てるんだから。」
「えっ?普通でしよ?ソレに、翔子さんも知ってる通りの両親だから。」
「うん。忙し過ぎる以外は良い御両親だよね?」
「あ、そこ一番かな。」
二人で笑っていたら、電車もテーマパークの駅に着いた。
「さ、降りよ。」
翔子さんに手を引かれ、電車を降り、二人でテーマパークの方に歩いて行く。翔子さんには手を引かれたままだ。って云うか…いつの間にか恋人繋ぎをさせられていた。
「予定より、かなり遅れたね。」
「そぉだね…でも、翔子さんとなら少しでも充分楽しめるでしょ?」
「えっ!?うん!!任せて!!」
何を?とは聞かないでおく。
「しかし…芦田って、かなり律儀なヤツなんだね。」
「うん、そぉだね…なんか見た目は不良っぽい感じだったのに、性格は高木くん達寄りなのかもね。」
「うんうん、そんなかんじだよね。謝罪だけで良かったのに、親にも報告してたとか…」
「あ、ソレ思った!!その上慰謝料とか…」
「ま、本人も下手したら殺人未遂で逮捕とかあり得るからね…」
「そっかぁ…空手の有段者だっけ?」
「らしいよ。」
「あっ、誘われて無かった?」
「腕が治ったら…って話だけど、付き合いで何回か通うかな…」
「そぉだね。わたしも行ってみよぉかなぁ…」
「ぢゃぁ、二人で行ってみる?」
「うん。」
と、話してたら、テーマパークに着いた。
なるほど…カップルばっかりだな…所々家族連れも居るけど、七割くらいがカップルだ。皆さん、デートは楽しいですか?
見てるだけでその熱に当てられそぉだよ。
「ね!!まずはプリクラ撮ろ!!」
翔子さんは良い笑顔で少しはしゃいでいる様に見える。翔子さんが楽しいならソレで良いか。
「プリクラなんて初めてだからよく解んないよ?」
「大丈夫!!任せて!!」
プリクラの機械の前には、そこそこの人数が並んでて、僕達はその順番待ちの最中に話をしている。
「うん、そぉだね。初心者はお任せしとくのが無難だね。」
「うん!!」
と、僕達の順番が来て、三回撮影するのか…結構テンポが早いな…
「ほらほら、こっち向いて!!」
翔子さんの方を向かされ、
「ほら、屈む。」
屈まされ…
「ぎゅっ!!」
って、抱き付くのか!?
「あはは!!そんな固くならないの。ほら、今度は後ろに来て、そぉそぉ…ほら、右手はこぉ!!」
と、右腕を翔子さんの首に巻き付けさせられる。
「ほら、出来た!!一つは静也くんね。」
と、渡されたプリクラは…あ、コレ、シールなんだ…ソレに…コレは…
「あははは!!静也くん緊張し過ぎだよぉ〜」
僕の笑顔が引き攣ってたよ…
デート回の予定だったのに、何故か先送り…




