逮捕。
から揚げは魔法の食べ物ですねぇ…
翌日、翔子さんと登校していると、駅前で何やら騒ぎが…なんだろ?
「なに?あの騒ぎ?」
「なんだろ?」
僕は手近に居た人に訊ねてみた。その答えは…
「あの…何か有ったんですか?」
「ん?あぁ、異臭騒ぎだとさ。」
「異臭?」
「なんでも、駅員が気付いた時には、電車内に充満してて、とてもぢゃ無いが、客を乗せられないくらいに臭いが染み付いてたんだと。」
「うわぁ…テロとかぢゃ無いですよね?」
「さぁ?でも、解んねぇぞ?地下鉄サリン事件とか有ったくらいだからなぁ…」
との事だ。しかし、異臭騒ぎだけでこんなになるとは…しかし…
「地下鉄サリン事件?何だろそれ?」
翔子さんの呟きに、僕はスマートホンで検索する。
「あ、あった!!三十年くらい前に有った、テロ事件…宗教絡みのテロだって…」
「宗教?宗教がテロとかするの!?」
「うん…弁護士を狙ってのテロで、かなりの数の人が亡くなってる…」
「そっかぁ…そんな事が有ったんなら、これだけ警戒するのも頷けるね。」
「うん、まぁ、今日は遅刻確定かな?学校に連絡だけはしとこぉか?」
「あ、そぉだね。」
と、僕はそのまま、学校に連絡をする。
『はい。〇〇高校です。』
電話に出たのは女性で…誰だろ?まぁ良いや。
「はい。特進科一年の御堂静也です。実は…」
僕は駅で異臭騒ぎが有って、遅刻する旨を伝えた。
『あぁ、今、ニュースでやってますね。他に当校の生徒は居ますか?』
「はい。同じクラスの水野翔子さんも一緒です。他は…見当たりません。」
『解りました。担任にはこちらからお伝えしますね。』
「はい。ありがとぉございます。」
と、遅刻は了解されたみたいで何よりかな?
しかし…スゴい有り様だなぁ…怒号が飛び交ってるよ…
と、駅近辺を眺めてたら…
「くさっ!!何だこの臭いは!?」
と、一人のオジサンが声を上げた。
その声を引き金に、周りの男性達から異臭がするとの声が上がる。近くに居る女性達は…なんか平気みたいだけど…鼻炎かな?
ん?男の人からだけか!?えっ?まさか…
僕が異臭騒ぎの中心部に目をやると…
居たよ元凶が…もぉキミは引き篭もっててくれるか?
「あ…久田だよ…って事は、コレ、静也くんのせい?」
なんて事を翔子さんが言い出した。
「んな!?なんでそぉなるのさ?僕は何も知らないよ?」
仕方無い…僕は頭の中で一つ思い付いた事を実践する。
思い付いた事…臭いの解除方法…全ての人に敬意を持つ事。ソレが解除方法になる様に設定をする。
『設定変更は受理されました。既に効果を発揮している対象に共有しますか?』
頭の中にそんな声が響いた。
僕は心の中で、はい。を選択する。
『了承。設定変更に因り、臭いが異性のみから全生物に変更されました。』
ってちょっと待って!?全生物!?ソレは…今まで臭って無かった女性も含まれませんか!?
「翔子さん…ごめん…あの臭い…女性も経験する事になったみたい…」
「えっ?あの臭い?」
「あのクソ女から発せられる臭い…」
「うそ…」
「ホントだよ…」
「サイテー…」
「えっ!?ごめんなさい…」
サイテーとか言われたよ…嫌われたかな?
「ま、謝ってくれたから許してあげる。」
「ありがとぉ!!」
笑顔が眩しいけど、次の瞬間、笑顔が顰めっ面になった。
「くさっ!!何この臭い!!」
「僕は結構慣れたから良いけど…初めてだったらキツいよね?」
「慣れるモノなの!?」
「そこそこは…でも、めっちゃ臭うよ…」
と、話してたら、臭いの元凶が騒いでいた。
「離せよ!!何の権利が有って掴んだんだよ!!この変態!!」
よく見ると、駅員さんに捕まってるね…
「何の権利って…そんな臭いをばら撒かれてたら溜まったモンぢゃ無いんだが?」
って…駅員さん、正直過ぎないか?あんな事言って大丈夫なの?
「うわぁ〜…駅員さん正直だなぁ…」
翔子さんも正直正直だよね?
「まぁ、気持ちは解らないでも無いけど…もっとオブラートに包めば良いのに…」
「包んでも仕方無いでしょ?」
「まぁ、そぉなんだけど…」
と、翔子さんと話してたら、警察が…いや!!物々し過ぎない!?
「ご苦労様です!!」
って警察?の人が駅員さんに挨拶していた。アレ?言い方は丁寧だけど、正確には「お疲れ様です。」だろ?国語をちゃんと勉強して来たら?
「あれ?逮捕して無い?大丈夫なのかなぁ?」
あ、ホントだ。手錠までされてるぞ?なんでだ!?テロリストとかと思われたか!?
「えっ?えっ!?ウソ?アレ大丈夫なの?」
「…どぉだろ?牢屋に入っても余りの臭いにいぢめられたりして…」
久田美久はぎゃぁぎゃぁ喚きながら、連行されて行った。
多分だけど、テロリストか何かだと思われたかもね…裏事情とか聞かれるのかもね…
「静也くんは大丈夫?」
「ん?何が?」
「あれ、絶対静也くんを巻き込むわよ?」
「巻き込まれても、何も証拠は出ないよ?とんだ濡れ衣だよ。」
「確かにそぉね…」
と、クソ女が連行された直後から、異臭騒ぎが収まっていき、三十分くらいしたら、
『皆様には大変ご迷惑をおかけ致しました。異臭は収まりましたので、安全確認が出来次第運行を再開致します。今暫くお待ち下さい。』
と、アナウンスが有った。
「盛大に遅刻だね。」
「ま、学校には連絡したんだから、遅刻扱いにはならないかもね。」
暫くして運行が、再開され、僕と翔子さんは運行遅延証明書を貰って学校に行った。
学校に着いたのは、昼休みの時間だった。
あれ?予想して無かった展開だぞ!?




