母の試練。
お母さんは何の目的で誘ったんでしょぉか?
「ふぅ…宿題終わりぃ!!何か飲む?」
「えっ?あ…うん…って、もぉ終わったの!?」
「ん?あぁ、簡単なモノだったからね。」
と、僕は冷蔵庫に向かいながら答えた。
「かなり難しい内容だと思うんだけど…」
「ん〜…両親の英才教育?それも違うか…ゲーム感覚で勉強する事が普通になってたからかなぁ…クイズ形式で、勉強ってより、遊び感覚で知識を身に付けたんだよね…一つの問題の答えを探すって感じでやってたら、アレもコレも気になって…そんな感じだったんだよね。」
「へぇ〜…そんな勉強方法が有るんだ…」
「うん、学校なんて、勉強しろの一点張りだから、ソレがイヤな人は勉強嫌いになるのも頷けるよ。勉強は強要するもんぢゃ無いって、教育機関はいつになったら気付くんだろぉね…いや、教育機関ぢゃ無く、親世代かな?」
僕は炭酸のオレンジジュースを出しながら応えてみた。
「ふわぁ〜…そんな御両親だったんだ…ウチは勉強しなさいって言うばっかだったよ…」
コトっ、っとジュースの入ったコップを水野さんの前に置いた。
「ソレが普通の家だと思うよ。あ、そのジュースはあのクソまずいジュースぢゃ無いから平気だよ。」
水野さんは一瞬止まって、
「あはははっ!!そんな心配して無いよ!!」
と、可愛いクセに豪快に笑ってくれた。
「あははは…やっと笑ってくれたね。今までも笑顔はたまに作ってくれてたけど、なんか作り物っぽかったから心配してたんだ。」
「えっ?そんな感じだった?」
「うん、ちょっと不安だったんだよね…」
「そっか…うん、そぉだったのかもね…転校するまでは不登校だったし…転校しても友達とか作らなかったからなぁ…」
「そっか…あれ?そぉすると、僕と仲良くしてくれてるのはなんで?」
「えっ?そこ聞くの?」
「そりゃぁ…まぉ、気にはなるかな?」
と、話してたら玄関から人の気配が…
「…って、母さんが帰って来たかな?」
「えっ!?ちょっ!?」
僕はすぐに出迎えに行って、水野さんは置き去りだね。
「母さんお帰り。」
「ただいまぁ!!…うん、結構顔色良いわね。もぉいぢめとか無いよね?」
「うん、もぉ完全に…とは云え無いけど、大丈夫だよ。」
母さんから買い物を受け取りながら応える。
「うわっ、結構多いね…」
「当然でしょ!?久々に息子にご飯を作れるんだもん!!今日は期待しててね!!」
「うん。」
「ついでにお友達も来てるんだから!!うんと美味しいモノを作るわよ!!」
なんか良く解らないけど、やる気満々だな…
「程々にね?」
「解ってるわよ…それより…一緒に帰ってた娘はどんな娘?」
「一言で云うと…」
「云うと?」
「スゴく良い娘だよ。」
「そぉ!!なら良いわ。」
と、母さんとリビングに行くと、
「あ…あの!!お邪魔してます!!」
って、水野さんは立ち上がり綺麗な御辞儀をした。
「そんな堅くならないで、お誘いしたのは私の方なんだから。さ、楽にしてて…あ、御両親が心配されると悪いから電話はしててね。」
「えっ?」
「晩御飯、食べて行って。」
「はっ、はい!!」
と、思わずって感じで返事をしてた。
そして、慌てて電話をして、今夜はご飯は要らないと言っていた。
「良かったら泊まってく?明日は土曜でお休みでしょ?」
「あ、はい!!えっ?いえ、流石にそこまでは…」
「そぉ?ま、着替えも無いものね…いや、下着は洗濯して、朝までには乾く様にするし、着替えは…静也の服を適当に…ぢゃダメ!?」
って、母さんに言われ、水野さんは茹で蛸みたいに真っ赤になっちゃってるよ…
そりゃ、下着も着けずに…ってのは女の子にはちょっと厳しいよね?
「母さん、ソレは流石にセクハラになるよ?」
「あら?そぉ?」
「僕だって一応男なんだからさ…」
「あれ?さっき腕組んでたからそぉ云う関係かと勝手に思ってたわ…」
「そぉ云う関係?」
「うん…えとね…」
と、話してたら水野さんが、
「まだです!!まだ、そぉ云う関係にはなれてません!!」
なんて言っている。何の事だ?
ソレから母さんの話し相手は水野さんに移った。
「あら?“まだなれて無い”のね?」
「は、はい!!」
「貴女はなりたいの?」
「はい!!」
「そぉ、解ったわ。私は応援するわ。よろしくね翔子ちゃん。」
「は、はい!!よろしくお願いします!!」
と、二人はがっちり握手してニッコニコしてる…なんなんだ一体?
まぁ、あの二人なら僕に害を成すとかは考えられ無いから良いけど…
「そぉだ!!翔子ちゃん、お料理手伝ってくれるかしら?」
「はい!!喜んで!!」
「ぢゃぁ、お願いね。ほら、静也は先にお風呂入って来なさい。」
「はぁい。」
と、僕は料理が出来るまで、お風呂に入る事にする。なんでか水野さんと母さんが仲良くしてるし…女って良く解ん無いや…
しかし、未だに水野さんの下着が見えた瞬間の映像が脳裏に浮かんで来る。
「まったく、あんな小さいクセにけしからん!!僕でも狼になるぞ!!」
僕は左腕にゴミ袋を被せて、水が入らない様にしている。一ヶ月このまま…痛みは我慢出来る程度にしている。痛みを感じ無いのは危険だからね。
なんとか身体も洗えて、少しぬるめのお湯に浸かる。ホントは熱いお風呂が好きなんだけど、ギプスの下で汗ってのも気持ち悪いからね…
「静也ぁ!!出来たわよぉ〜!!」
「はぁい!!」
と、母さんの声がして、風呂から上がり、ダイニングに行くと…
「あの…この量を、三人で?」
「少なかったかしら?」
「多過ぎるよ!!満漢全席でももっと少ないよ!!」
「あら?そぉ?ぢゃぁ、何日か食べられるわね!!」
「まぁ…腐らなければ…」
「なら大丈夫よ!!三日は保つわ!!あ、翔子ちゃん、少し持って帰る?」
「あ…はい…そぉさせて貰います…」
と、その日はお腹いっぱい…食べ過ぎなくらい食べて、すぐそことは云え、女の子を夜に一人で帰らせられ無いからマンションの入り口まで送る。
「スゴいお母さんだね…」
「うん、ま、三十三歳だしね。」
「えっ!?若いなぁ…とは思ってたけど、そんなに若かったの!?」
「うん、大学も二十歳で入試受けて、色んな人に口説かれて、全部フってたらしいし…」
「美人さんだもんねぇ…あれ?一条のお嬢様なんだよね?」
「うん、だね。」
「…にしては、出産早く無い?」
「ま、政略婚だからね…」
「えっ!?」
「お祖父様が父さんを味方にしたかったみたいでね…」
と、話してたらすぐにお別れの時間になり、また明日と分かれた…また明日!?
そぉ云う関係とはどんな関係なんでしょぉか?




