目醒め。
高木の話は何なんでしょ?
「高木君!?何でココに!?」
こんな夜中に来るとか、どぉなってるんだ?
「ん?あぁ、たまたま侑さん達が襲われてる所に行き当たってな、涼音さんが襲われそぉだったから割って入って通報したって流れで、今まで取り調べを受けてたんだわ。」
相手は近所の不良グループで、侑さんとも顔見知り。あくまで侑さんへの逆恨みな感じの顔見知りなそぉで、お礼参り…みたいな?そんな感じらしい。
「…でも、アレだよな…アイツ等痛みを感じないのか、蹴っても殴っても怯まなかったよな…」
「そぉそぉ!!力もアホみたいに強かったぞ!!二人がかりで羽交締めして涼音さんから引き剥がすのだけで精一杯だったもんな!!」
鈴木君と佐藤君は頷きながら相手の事を話していた。
いやいや、子供に殴られても痛いよ?それでも怯まないって…
「…御堂…ちょっと良いか?」
高木君に呼ばれ、二人で近くの階段の踊り場に来た。
「一体どぉしたの?」
僕は何か不穏な感じを受け、聞いてみた。
「侑さんを襲ってた連中なんだが…理性が飛んでた様に見えたんだ…」
理性が飛んでた?変な薬でもしてたのかな?
「具体的には?」
どんな感じだったか気になってしまった…
「会話は成立したんだが、佐藤達の言ってた通り、殴っても蹴っても無意味な感じだったんだ…まるでゾンビだったぞ。」
ゾンビて…でも、それって、僕達がこの前逮捕される原因になったアレと同じか?となると…
「…坂下当太…」
僕は思わず口にしていた。
「本当にそぉ思うのか?」
僕の呟きに高木君がそぉ聞いて来た。
「証拠は無い…けど、容疑者として最有力だと思うのは事実だよ。」
坂下が犯人とは言えない。見て無いし証拠が無い以上、断定は出来ない…
「最有力候補か…何かあったらオレ達の所為にされてたけど、違う立場になるとは思わなかったな…」
高木君達が何も知らない事すら擦り付けられて悪役にされたりも有った。
それに異を唱えて嫌われたのも懐かしい思い出だ。
「そんな僕達が何もかも坂下の所為にしよぉとしてるのはなんだか滑稽だね。」
僕が少し自重気味にそぉ言うと、
「だな…これまでの事も、全部坂下の描いた絵図通りだったりしてな。」
と、高木君も冗談の様にそぉ言った。
そして、集中治療室前に戻る間に、僕は一つの[能力]を作っていた。
コレは後で絶対に必要になるからね。
集中治療室の前に行くと、
「…で、容態の方は…?」
翔子さんのお父さんは力無く医者に詰め寄っていた。
「命に別状は無いと思われますが、頭を強く打っている様に有りますので、障害が残らないとは言い切れません…」
頭はやっぱり大事な部位だから仕方無いか…でも、障害は残らない様にする為にさっき[能力]を作ったんだから。
「あの…中に入れますか?」
今度は翔子さんのお母さんが聞いていた。
「…はい。数分程度でしたら…」
医者は鎮痛な面持ちで答えていた。
ん?もしかして、かなり容態は悪いとか?なら丁度良い。新たに作った[能力]が役に立つ。
医師の案内に因り、僕達は全員集中治療室に入る事が出来た。
「侑!!早く起きて!!」
「お兄ちゃん!!目を開けてよ!!」
「…アニキ…」
「…侑…起きてくれ…」
家族全員が何かに祈る様に、侑さんの近くで声をかけていた。高木君達や涼ねぇも近くに寄って、侑さんの心配をしている様だ。
[時間朔行]を発動!!
[時間遡行]…コレはさっき作った[能力]で、僕が触れた相手、物の時間を逆戻しさせる事が出来る能力で、最大で一日分…一人に一生涯でかけられるのは、合計で二十四時間分以内と制限も有るけど、自然治癒が難しい脳への障害すら掻き消せる優れ物だ。
ま、ソレもあの変な声に教えられたんだけどね。
それで、僕はコッソリ侑さんの足に触れ、[時間遡行]を発動し、七時間程、侑さんの時間を巻き戻した。
そして、巻き戻した時間分の記憶も失われるけど、脳や身体に取り返しの付かない障害が残るより断然ましだ。
「…ん…んん…ん?」
誰かの疑問に感じる声が聞こえた。
「…えと…あれ?オレ、何してたっけ?ココ、ドコだ?あれ?親父に母ちゃん?翔子に侑二?なんで皆んな一緒に居るんだ?」
そぉ、侑さんが目を醒ました!!
その声を聞いた皆んなは騒ぎ立て、さっきまで静まり返っていた集中治療室内は騒然となった。
「んな!?ば、バカな…ちょっ、ちょっと良いですか!?」
医師は慌てて侑さんの身体を診出した。
「えっ?えっ?なに!?」
侑さんは状況を飲み込めて居ない様で、医師の行動に不信感すら持っている様だった。
「ちょっ、皆さん静かにして下さい!!静かに出来ないのでしたら出て行って下さい!!」
医師の怒声に、皆んなが静まり返った。
それから医師は聴診器を当てたり、身体に異常は無いか、触診したりして、
「どこか痛みは有りますか?」
と侑さんに聞いていた。
「はぁ?何?オレ、ケガとかしてたの?」
お礼参りみたいなのに遭った事すら忘れているかの様な侑さんの態度に医師も不思議がっている。
「あのねぇ…貴方は大怪我をしてココに運ばれて来たんですよ?レントゲンやMRIで見た所、脳に異常が出ていてもおかしく無い状態なんですよ!?解りますか?植物状態になっていてもおかしくなかったんですよ!!」
何やら本当に深刻な状態だったみたいで、僕達は診察の邪魔になりそぉだったので、誰からとも無く集中治療室を後にした。
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