目的。
肩は平気なのか!?
「うがっ!?」
僕は少し大袈裟に悲鳴を上げてその場に蹲ってあげた。少しわざとらしかったかな?
「しずや!!」
翔子さんの声が響いた。僕なら大丈夫だと知っているハズなのに、身体に似合わない大声を上げた。
「おい!!御堂!!大丈夫か!?」
翔子さんに抱き抱えられるシーンで何で相田に抱かれなきゃならない!?どこで計算ミスしたよ!?
「な、何やってんだよ!?」
「背後からとか何考えてんだ!?コイツが振り向かなかったら殺してたぞ!?」
オールバックと坊主頭が金髪パーマを羽交締めにし、地面に押し倒して、その動きを止めていた。
「離せぇ!!ソイツだけは殺してやるんだよ!!生意気な目付きしやがって!!オレを見下してんぢゃねぇぞ!!」
金髪パーマは尚も叫び暴れ様としているけど、
「うるせぇよ…てめぇはちょっと黙ってろ!!」
がすっ!!
「ぐぎゃっ!!」
相田が金髪パーマの顔面を蹴り抜いたら、金髪パーマは口を開かなくなった…って云うか金髪パーマは生きてるのか?
気になったので一応[鑑定]を使ってみる。
[荒井士郎、十六歳、高校生。現在失神中。記憶改竄。失神に因り洗脳解除。]
んん!?何か不穏な文言が見えたぞ!?記憶改竄に洗脳解除?洗脳って、失神でも解けるのか!?って云うか、誰に洗脳されてたんだ!?
「おい!!相田!!殺す気か!?」
オールバックが相田に詰め寄った。
「その程度ぢゃ人間は死なねぇよ。それより、そのバカのがオレのダチを殺す気か?何ならお前等も共犯か?」
いつもの相田声ぢゃ無いぞ?本気で怒ってるのか?
「あ、あ…いや…確かに絡んだのはオレ達だったけど、ソイツを殺すとかオレは考えて無いぞ…」
オールバックは相田剣幕に気圧されてか、テンションダダ下がりなんですけど!?
「そぉか?…で、わざわざオレを呼び出して、その用事がオレのダチをどぉにかするって事だったのか!?」
相田は尚も詰め寄る…ってか、僕は相田のダチだったのか…憶えとこ…
その成り行きを眺めてた僕に、
「ソレより大丈夫なの!?怪我とか無い?」
翔子さんが泣きそぉな感じで僕を胸に抱いてくれた。直接見た事も有るけど、この体格なのに意外と大きいよね?
「大丈夫だよ。[頑丈ジュース]も飲んでたから。」
心配が過ぎない様にちゃんと教えてあげる。
「そっか。良かったぁ…」
翔子さんのホッとした瞬間の表情がめちゃくちゃ可愛い!!
この表情が見れただけで、小芝居を打った価値は有ったね!!
「ソレより、あのオールバックは相田の知り合い?」
「さぁ?話に混ざる?」
「うん。ソレが良いかもね。」
何やら怒る相田にしどろもどろになるオールバック。シュールだね…
いや、相田って見た目だけならそこら辺に居る普通の少年って感じで、相手はイカつい不良然とした感じで、普通なら逆でしょ?って感じなんだよね…
「ねぇ、何を話してるか解らないけど、状況だけでも説明して貰えるかなぁ?」
被害者である僕の言葉は、流石に無視出来ないでしょ?
「あぁん?うるせぇぞ小僧!!」
オールバックの背後に控えてた坊主頭が僕の襟首を掴んで引き寄せた。
「ばっ!!やめろ!!」
オールバックが慌てて止めに入ろぉとしたけど、僕は僕を掴む坊主頭の左腕を左腕で握ってあげる。
「コレは暴行罪に当たるから正当防衛だよね?」
ぐぐぐぐぐ…
「あっ!?うがぁ〜!!」
徐々に握力を強め、坊主頭が僕の襟首を離すまで握り締めてやる。ミシミシと骨が軋む感触が左手に伝わって来た。
坊主頭の手が僕の襟首から離れたので僕も手を離してやる。
「くそったれがぁ〜!!」
僕が手を離した瞬間、坊主頭は右の拳で僕の顔面を殴りに来たけど、
ばちん!!
僕の顔に拳が届く前に、相田がその拳を受け止めていた。
「てめぇ、オレの話聞いてたのか?オレのダチに手を出してんぢゃねぇよ!!」
がずっ!!
相田の左フック(空手ぢゃ回し打ちだっけ?)が坊主頭の顔面を打ち抜き、坊主頭はその場に崩れ落ちた。
「…で、吉岡?説明してくれんだよな?オレを呼び出して、オレのダチとその彼女に因縁付けてた理由をよぉ?」
キスをするんぢゃ無いかってくらいに、相田はオールバックに顔を近付け睨み付けた。
うわぁ…相田ってこんなタイプの人間だったんだ…
「あ…そ、その…あ、相田に手伝って貰って倒したいヤツ等が居て、女はお礼にするつもりで…」
えっ?ケンカなの?ケンカの助力を受けたかったって事?
「うわぁ…サイテー…思いっ切り引くわぁ…」
翔子さんがこの上無いくらいにイヤな顔をする。うん。美少女がしちゃダメな表情だね。
「んな!?なんでだよ!?」
ソレが解らないからサイテーなんだよなぁ…
「オレがそぉ云うの嫌いって知ってるだろ?ソレに、この二人を狙ったのは何でだ?」
ん?僕達を狙った?たまたま通りかかったからとかぢゃ無いのかな?
「いや…この二人は、アイツ等の仲間っぽくて…」
僕達が不良の仲間?何を言ってるんだ?
その時、
「あっ、御堂!!今帰りか?」
公園から騒ぎを聞き付けたのか、僕に声をかけて来た人物が居た。
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