不意討ち。
誰の差し金なんでしょぉか?
「おい!!大丈夫か!?」
「てめぇ〜やり過ぎだろがぁ!!」
僕に腕を握り潰された男の仲間が口々に僕を非難する。まったくお笑い種だね。
「何を言ってるの?僕にいきなり三人で襲いかかって来ておいて、返り討ちに遭ったら相手が悪いとか云うつもり?」
僕の正論に彼等は…
「なっ!?か、返り討ちにも程が有るだろぉが!!」
正当防衛で押し通すつもりが、過剰防衛を指摘されちゃったよ…
「だって仕方無いでしょ?僕は殴られたくないし、君達は僕を殴りたい…ま、誰かに頼まれたにしろ、やらされてるにしろ、因縁を吹っかけて、こんな所に連れ込んだんだからさ…最悪、死んでも文句は言えないんぢゃないかな?ま、殺したりはしないけどね。」
「うぐっ…きょ…今日は見逃してやる!!」
「お前、顔を憶えたからな!!」
「いつか復讐してやる!!」
って、僕の言葉を聞いて、走って逃げよぉとした三人を、[速度ジュース]の力を使って回り込む。
「うわっ!?」
「えっ!?えっ!?」
「う…嘘だろ…」
回り込んだ僕を見て、三人が後退る。
「ねぇ、今後も僕を着け狙うとか言ってる人を見逃すとでも思ってるの?考えなくても解るよね?」
僕はニッコリ微笑んで教えてあげる。
三人は歯噛みをし、悔しそぉにその場に膝を着いた。
「二度と貴方の前に現れません!!見逃して下さい!!」
「二度と迷惑をかけないと約束します!!」
「早く病院に行かせて下さい!!」
あっ…一人は完全に泣いてるよ…[超力]で腕を握り潰されたらそぉなるかな?
「そっか…ぢゃぁ、今ここで起きた事は誰にも言わないで欲しいな。約束出来る?」
僕の問いに三人は涙目になりながら「はい!!」と良い返事をしてくれた。
「そっか。一安心だね。ソレで…黒幕は誰かな?」
この問いには何も答えてはくれなかった…曰く、
「…どこにでも居る様なヤツでした。」
「影の薄いヤツです…」
「一人十万円ずつ渡されて頼まれて…名前も知らないし、顔もハッキリ憶えて無いです。」
何なんだそれは?まったく…頭の弱い人はこれだから…
「そっか…二度と僕の前に現れないでね?」
「「「はい!!」」」
と、僕は三人を見逃してやった。
しかし…憶えられない容姿に薄い影…その上でお金が有る。そんなのに狙われる覚えが無いんだけどなぁ…何処の誰だよ!?
そんな事を考えながら帰って、テレビのニュースを見ていた。
連続強姦撮影事件を発端に警察の腐敗が報道される中、この件の黒幕に付いては誰の記憶にも残っていなかったと云う不可解な事が有ったとの事だ。
警視庁が威信をかけて探ると豪語していたのが妙に頭に残った…
そして翌日、朝食を終えた時、
ピンポンピンポンピンポンピンポン!!
玄関の呼び鈴がけたたましく鳴り響いた。
何事かと玄関に向かう。
「はぁい!!」
がちゃっ…
「静也くん平気!?何もされてない!?」
「ずっと心配しておりましま。彼女の目は獲物を狙う肉食獣でしたから…」
「気持ち良い事からしてないなら良いんだけど…」
翔子さん、久田、宮乃杜が朝から訪ねて来た。久田は少し噛んだか?
「えと…朝から何の事かな?」
僕の頭が彼女達に追い付いて無いのか、何の事を言っているのか解らずに聞いてしまった。
「んな!?何の事って、昨日、滝上瑞穂さんを送って行ったでしょ!?何がされなかった!?」
あぁ…そぉ云う事か…
「特に何も…あっ…」
僕は有る事を思い出していた。
「あっ!!ほら!!何か有ったんだ!!」
翔子さんの喰い付きが激しいな…
「えと…僕も荷物取って来るから、歩きながら話そっか?」
僕は三人を玄関で待たせて、すぐに鞄を取り、学校に行く準備を済ませ、
「お待たせ。ぢゃぁ行こっか?」
僕は鍵を締めて、翔子さん達と駅に向かった。
「…で、どぉなの?あの娘に「ぢゃぁ、お礼は私ね!!」とか言われてたりしないの?」
うん。強ち的外れぢゃ無いのが怖い…女の感!?恐るべし!!
「ソレより、皆んなが無事で良かったよ。特に、久田は高木君達とどぉだった?」
「話を逸らすな!!」
「いたたたた!!」
僕が気になってる事を聞こぉとしたら、翔子さんに耳を引っ張られたよ…
「僕の方はほぼ何も無かったから、別に…」
「ホントにぃ?」
翔子さんの疑いの目はどこまでも続きそぉだな…
「御堂くん…ちゃんと答えなさい。」
「ほっぺにキスされました。」
はっ!?背後からの宮乃杜の不意討ちの言霊にやられて、勝手に口が開いていた。
「んな!?ほっぺに!?」
「なんてうらまやしい…」
翔子さんの驚きの声と、久田の微妙に変な日本語が耳に残った…
「あ、いや…その…不意を突かれて…ね?」
「ホントに?」
翔子さんの追求は止まらない…
「…はい…」
僕は正直に答えた。
「ふぅ…ま、そぉ云う事にしとくわ。静也くんが魅力的なのが悪いんだからね?」
僕が魅力的ねぇ…あっ!![魅力ジュース]っての飲んだからその影響か!?
「魅力的…確かにそぉですね…静也様のお祖父様は、かの一条の総帥ですので、将来は安泰でしょぉから、そこを狙う女も後を経たないでしょぉし、静也様本人も、優しく誠実なお方ですので、異性を引き付けますし、後は女慣れをすれば完璧でしょぉね。」
と、久田が僕を褒め讃えてる!?雪でも降るのか!?
「何か失礼な事、考えてませんか?」
「いや、何も?」
うん。女の感は侮れないね。
「それより、高木君達とはどぉだったんだ?」
気になってた事を聞いてみた。
「はい、彼等も事情を知って下さっていたみたいで、大きな摩擦も無く、ソレだけに止まらず、私の心配もして下さってました。」
なるほど、三人は基本的に優しいからね。
「なら良かったよ…」
コレで僕の心配事の一つは無くなったな。
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