2 2作目
処女作をフリーゲームサイトに投稿したが、反応はなかった。DLそのものはして貰えたが、いい反応も悪い反応もなかったのだ。
普通なら落ち込むところだろうが、小野塚はホッと安堵していた。
いくつかあるフリゲ投稿サイトの中で、とあるサイトの管理人が苦言を呈するくらい、今はお客様感覚のユーザーが多い。そんな中、批判も多い収録素材のみのゲームだったので、酷い反応も覚悟していた。
初心者が作ったショボい作品なんて、スルーか批判が関の山。だから、反応が無い事に安堵したのだった。
安心した小野塚は2作目を作っていた。今度は選択肢を入れ、3つのENDがあるようにした。使っているのがPRG製作ソフトなので、戦闘も入れたかったが、戦闘制作は難易度が高い。まだ1作しか完成してない自分が手を出すのは早いと判断した。
完成作品を増やし、制作実績を作りたかった。人の為ではなく、自分の為に。俺はもうサンプルゲームを遊ぶ為に製作ソフトを買っているのではないと、自分に証明出来るようになる為に。
2作目もクロートゥルを操作する。師匠の命令をこなしていくお使いゲームだ。PRGにそれが入ってると不評なのだが、最初からお使いを押し出しておけば大丈夫だろうと考えている。
3つのENDの内容はこうだ。
・ベスト。お使いを完璧にこなし、褒められ新しい魔法を教えて貰え、魔法使いとして成長が出来る。
・ベター。いくつかお使いを失敗し、師匠に叱られて終わる。
・バッド。全てのお使いを失敗し、叱られた上に罰を受ける。
罰を受けるENDを作っている時に、クロートゥルの愚痴が聞こえた。
『それなくていいだろ。成功と失敗。二択でいこうぜ。』
小野塚は空耳だろうかと考えた。それか、作家がたまに言う、キャラクターが勝手に動く現象。後者ではないかと考えた。
暫く手を止めてみたが、再びクロートゥルの声が聞こえてくる事はなかった。
そうして2作目は完成した。今度もせめてスルーか、悪い反応が無いといいなと思いながら、フリーゲーム投稿サイトへ投稿する……。勿論、いい反応を貰えるなら、それに越した事はない。だが期待すると落ち込むので、考えないようにしている。
そうやって、小野塚は少しずつ成長しながら、定期的にフリゲを制作する、普通の製作者になっていく筈だったのだ。
思わせぶりな終わりばっかりなので、次はちゃんとした展開にしたいです。