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メイド姿のサイドール「マリ」は僕を「リトル様、おかえりなさいませ」と呼んだ。
ビューティーサロンの老舗プチキューティ。その芸能人向け入り口のドアに僕は立った。僕の虹彩を認証し、ドアが自動で開く。
「瑛太、入ります」と挨拶し、僕はアルバイトらしく一礼して入室した。
「リトル様、おかえりなさいませ」
メイド姿のサイドール「マリ」が僕に深々とお辞儀をする。今日の僕のアルバイト上のロールは女の子ということになる。
このアルバイトは、僕の母の伝手で紹介されている。
パット見、ほっそりとした美女メイドにしかみえない「マリ」だが、六本木という土地柄、時として面倒事に巻き込まれることなるビューティーサロンのボディーガードを兼ねている。何しろ戦闘サイボーグの上級国際認証も受けているサイドールなのだ。「マリ」の柔らかな肌の下にはアフリカ象が踏んでも壊れない強靭な身体がある。