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逃げの一手
俺は目の前で展開されている光景に脅えしか抱かなかった。
もう一体の化け物の突然の出現に驚いたその時、俺目掛けて飛び出して来た小型の化け物をそいつはその金属のように硬い脚で貫き、なんと、自分が刺し貫いた仲間を喰らい始めたのだ。
「退却、退却、目的地へ全員一斉に全速力。急げ!」
バーガス達は本物のヤシガニのようにわさわさと一斉にジャングルの緑の中へと姿を消したが、その群れの中では、命令した俺こそ人一倍早い動作で逃げ出しているというみっともない姿であっただろう。
俺は本能的に悟ったのだ。
突然現れたあの化け物の方には、俺は絶対に勝てやしないだろう、と。
お礼を言うべきだった?と気が付いたのは、二時間ほどジャングルを歩き続けた俺達がジャングルの切れ間に差し掛かった時である。
俺達を出迎えたのは、再びの白い海岸線と青い空と青い海という開けた光景、そして、ネオンのような輝き方をするという巨大な化け物の正面顔だ。
それは喜びを現しているかのごときとってもキラキラしていて、俺の機体も輝かせられるのであれば、地獄の底を覗き見た様な気分をうつうつと現してやりたいと望んだほどだ。




