対峙
俺は鏡で自分の顔を眺め、とっても情けないと落ち込んでいた。
二十七歳の男が五歳児のように大泣きをして、十六歳の外見の女性によしよしと、ずっと頭を撫でられて慰められていたのだ。
未だに目元は泣いた事が丸わかりなほどに、赤く腫れぼったくなっている。
あぁ、なんて情けない男だろう。
彼女を守ると口にして、彼女が俺の覚悟に対して一言も返さなかったのも当たり前だ。
俺だって昨夜の俺に守ると言われたら、絶対に信じたりなどしないであろう。
それから、あの状態だった俺は、エスペランザ達の船が海を航行して港にやってくるという情報さえガーディアン、いや、ファビエンヌに言えなかった。
泣きながら君を守ると言った男が、数秒後に仲間のお船を守って下さいなど、どんなに混乱していても、いや、混乱しているからこそ言えないでは無いか。
「あぁ、どうしよう。あぁ、船。」
「私が伝えましたから大丈夫ですよ。」
俺が映っている鏡にワッツの姿も映り込んだ。
「ありがとう。」
「いえ。感謝はこちらからです。昨夜のあなたを知れば、姫様はここを離れる覚悟を決めるでしょう。一緒にオファニム星に戻れます。」
「――ファビエンヌはオファニムに戻っても大丈夫なのか?」
ワッツはにっこりと笑って肩を竦めた。
そうして勝手に潜り込んだ俺の洗面所から勝手に出て行ったが、俺は副官だった男の背中にナイフを突き立てる場面を想像していた。
ファビエンヌを殺す者がいたら、俺がそいつを殺すのだ。




