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 辿り着いた大きな港は、コンクリートでは無い金属的な物質で出来た広々とした埠頭に、同じ物質で出来た平べったいが大きな建物が付随しているというものであった。


 建物にある窓が完全に嵌め込みの密封式であるという仕様に、彼らも俺が昨夜出会った虫への恐怖を抱いているだろう事と、密閉式の建物であるこの埠頭そのものが以前は宇宙ステーションだったのではないのかと窺わせた。


 化け物のいる所で湾岸工事をするよりも、大きな建造物をそのまま星に落とした方が良いと考えるのは当たり前だ。

 特にフォルネウス星の大気ならば、推進設備のない建造物でもほとんどそのまま海の上に落とせることだろう。


「これが本当に元宇宙ステーションならば、俺達の船の修理可能なドッグぐらいはあるだろうな。それにはまず、先住民との友好かな。エスペランザ、目の前の全体像を送れるか?」


「全体像は無いですね。六ショット分の区画映像だけです。ドローンは飛ばしてすぐに撃ち落とされました。白旗をハタハタを靡かせてみたのですけどね。」


「そんな目立つドローンは良い標的でしょうが。」


「ははは。白旗は冗談ですよ。そして、冗談ではなく、彼らは完全に敵対者だと思います。殲滅されますか?」


「思いますで、君はさらっと怖い事を言う。」


 俺はエスペランザが送ってきた映像を目にして、一当てどころかエスペランザが口にした殲滅行為をしなければいけない可能性に覚悟を決めた。

 港にいる者達は、俺達の戦争相手であったエノク星住人と同じような人体改造を施しているというものであった。


 オファニム星が滅んだあと、他星の人間はオファニムの技術をも手に入れたのであるが、その人体にナノマシンを入れるという技術を人体強化と不老不死の願いを叶えられると思い込んだのである。


 よって、多くの人間がナノマシンによって無駄に死に、ナノマシンを体内に入れたことで生き延びた者達の中から人食いという化け物まで生まれだし、そして、それでも不老不死に拘る者達は終には八割の生存を叶える技術を編み出した。


 しかし、確かに不老不死の身体になれるが、それは人間で無くなった印だ。


 青白い体になるだけならば俺だって機械化を望んだかもしれないが、体毛の全消失に、体の一部が触手化あるいは軟体化してしまうのであれば、いくら不老不死でも、いや、不老不死だからこそ御免こうむりたいものでしかない。


 エスペランザが映し出した写真に写る者達は皆、ナノマシン化された人間の様相が全身に現れていた。

 口元がナメクジのようになっている者、腹から触手のような消化器官を突き出している者、手や足が通常の曲がり方をしていない者、だ。


「昨夜見たガーディアンはあんなにも美しかったのに。」


 星の輝きを持つ髪の毛をさらさらとなびかせ、青白い肌は銀粉をまぶしたかのように煌き――。


「俺も見ました。あれは何ですか?あんなにも美しい生き物は初めてですよ!」


 エスペランザの興奮した声に俺は白昼夢から現実に引き戻された。


「君がどうして知っているんだ?」


「え、イアンとジョッシュがメールで写真を送ってきましたから。」


「俺にもそれを送ってくれないか?」


「え、イアンもジョッシュもそっちでしょう。」


「俺は君から欲しいんだ。」


「私が送ってあげますから、さっさと攻撃計画を立ててください。」


「攻撃って、リンドン少尉。血の気が多い君が立てたら?」


「いいですよ。動く者皆殲滅でいいですか?」


「俺が悪かった。まず俺が友好的にこんにちわをするから、それに対しての返礼如何で君が隊に命令を与えてくれ。」


「ワッツ中尉の意見はどうですか?」


「聞かなくていいよ。彼も君と同じに取りあえず殲滅選択組だ。」


「まぁ、素敵。」


 リンドン少尉は俺との通信を切ると部下達を散開させ始め、いつでも攻撃できる陣形を取らせ始めた。

 恐らくも何も、エスペランザにはミサイルの準備もさせている事だろう。

 俺は友好のためにかけた二日が無駄にならないように願いつつ、そして、防御服のない人間がフォルネウス星の外気を数分浴びることで重金属中毒や内臓疾患に陥りませんようにとも神頼みしつつ港の方へと一人歩いていき、バーガスの操縦席の蓋を開けた。

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