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ピクニックの目的は飯

 結局ガーディアンに逃げられたようだが、もともとガーディアンを想定しての行脚じゃないはずだと自分を叱責すると、俺は青い空を見上げた。


 この星の一日は二十四時間ではない。


 自転による一回転で数えると一日は二十六時間であるのだが、日没と日の出という概念で考えると、日没から日の出の時間が短くて八時間、そして、長ければ十八時間と月の満ち欠けのように巡っている。

 季節で違う訳では無く、純粋に公転の軌道と恒星に対する軸の傾きによる結果でしかない。

 大体、この星には季節など無いのだ。


 俺達が不時着した今日は軌道から計算すれば夜が十八時間というピークの日に当たり、あと二時間しないで長い長い夜を迎える事となるだろう。


 人里迄二日かかるという理由は、活動可能時間が八時間も無い、という点につきるのである。


 暗闇にこそ数々の工作活動を行って来た我が部隊でもあるが、現在の俺達にはこの星は全く未知の世界であり、さらに、今の俺達が歩かざるを得ない道は海岸線でも、砂州という不確かな白い砂で出来たリボンだ。

 そして、現在は干潮であるからして、俺達はこの砂州を歩けるのだ。

 よって、満潮が来ても沈まず、八機のバーガスと重装甲車である指揮車を留め置き、さらに空気清浄機付きのテントを張れる場所に辿り着く事が本日のお題そのものと言える。


「急げ。日が暮れたらテントも張れない。死にたくなければ急げ!」


「テントを張っても、キャンプファイヤもないんじゃあ、がっかりですよ。」


「そうそう。ごはんもキューブ型に固められた単なる強化栄養食でしょう。」


 イアンとドローという軽口コンビが回線でぼやき合ったが、そこにワッツ教官の恐ろし気な声が何も入らない所を見ると、彼はきっと運転をドローにさせて寝ているのだろう。

 彼はそういう男だ。


「少佐。里の者の食料は何でしょうか。」


「あぁ少尉。年に二回はイングジラル鉱石の採取船が降りてくるからね。その時に俺達の手持ちの固形栄養食のようなものを手に入れているのかもね。」


「ぞっとしませんね。さっさと制圧して採取船をジャックしましょう。」


 そういえば、彼女の人生の楽しみは旨い食事だと聞いた事がある。

 人里でもまともな飯にあり付けなかったら、リンドン少尉が恐ろしい人食い熊になるだろうと、人里で第一にすべきことは、まず栄養食でない人の飯という名の食糧確保だと肝に銘じた。


 びくびくしながら。


 最初にリンドン少尉に血祭りにあげられるのは、きっと自分だと俺は確信しているからである。


「ほら、ピッチをあげろ。とっととテントを張ってだらけるぞ!」


 命短し俺ならば、一分一秒も無駄にできないでは無いか。

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