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小学校

辺りに飛び散る赤い色。ゆっくり、ゆっくり、血の匂いがふわふわと香っていく。それは段々と濃くなって、腹から流れ出た体液は、ぽたぽたと床に小さい水溜りを作った。


はぁ…はぁ…


男性2人の吐息が小さな玄関の中で混じっていく。同じ息でも全く持つ意味は違う。


山界は生々しい焦燥感、火高は張り裂けそうな痛みを感じている。


ーーーーーーーーーー


「では、やはり小学校の頃からちょっと変わった女の子だったと…?」


2日前、刑事の火高と水肩は、先日の事件を整理する傍ら、りせについて調べていた。それはりせが何か事件を起こした訳ではなく、火高の、刑事の勘という独断と偏見によるものだ。

今日はりせとかのはが通っていた中学校の先生に話を聞いている。


「そうなんです。よく覚えてますよ…私は中学1年生の時の担任だったんですけどね。2人とも、他にあんまり誰かと喋っているところは見た事がなくて。でも2人でいる時はとても楽しそうでしたよ。

でもねぇ…やっぱり気になるところもあって…」


「それは、例えば…?」


「覚えていることとすれば…私は国語の担任なので、夏休みに読書感想文の課題を出すんですけど…2人とも変な小説を読んできてましたね…特にりせさん。ドグラ・マグラって知ってます?あの小説、途中に死体の描写があるんですけど、そこだけを読んで読書感想文を書いてたことがあって。

それがあまりにも綺麗とか、美しいとか、でもリアルさを求めるならどう書けばいいとか…なんかね、とにかく詳しくて、中学1年生って感じじゃ無いですよ。ちょっと怖かったですね…」


「ドグラ・マグラって、あの、持ってると友達が段々離れていく小説ですよね?僕も持ってます。」


火高は少し、人間関係に疎いところがある。自ら発言して自分の首を絞めていることに気づいていない。その小学校の先生は、薄ら笑いをして若干引いている。その様子を、水肩は居心地悪そうに見ていた。


「白蛾かのはさんの方は、お母さんが自殺未遂されたらしくて…卒業するまで寝たきりだったみたいですよ…可哀想に…」


火高は、それは白蛾かのはが母親を殺害しようとしたんですよ、とはさすがに言わなかった。水肩は安堵の表情を浮かべる。


「あ、そういえば、りせさんの方のお父さん、元気にされていますか?なんか刑事さんでしたよね?白蛾さんの事件の時にはお世話になりました。

刑事さん、いつも腕とかあざだらけで。顔とかも切り傷とか多くて、大丈夫か聞いたら、この街の安全を守るためならこんなの全然平気です!とか言ってて。すごく明るくていい方でした。

もしまだいらっしゃったら、あの時はありがとうございましたとお伝えください。」


「ああ、刑事部長ですね。今も現役ばりばりですよ!僕も尊敬してます。伝えておきますね。」


と水肩は言った。先生もそれを聞いて安心したように笑っていた。

ありがとうございました、とお辞儀をして車に乗り込む。


「水肩さん、明後日、山界星賀の父親に会いにいくんですよね?僕も行っていいですか?」


「だーめだ。お前はこの事件の担当じゃないだろう。それにお前を連れていくと他の事も知りたがるだろ?山界星賀の兄のことは一旦忘れろ。」


火高は露骨に嫌そうな顔をした。それを見かねた水肩は、


「わかった、わかったよ。でも今まで山界が聴取に応じてくれたことは無いんだ。あんま期待するなよ?」


火高の顔がぱぁっと明るくなった。

新しい章が始まりました。最終章へ繋がる章ですので、りせと僕に関する今までの謎を少しずつ解いていきたいと思います。


作中の読書感想文、何のお話にするか迷ったんですが、今回はりせの中二病感を出すためにドグラ・マグラを入れました。死体の描写が細かくて良いですよね。

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