2.転生後のあれこれ
転生魔法により世界を去った俺は今ではもう子供の姿となった。
ただ、気になる点が1つ。
それは、昔の記憶が無いことだ。
昔と言っても、転生する前の記憶のことだ。思い出そうとしても、断片的にしか思い出せない。
そればかりか、使えるはずだった魔法も使えないというか、覚えてないのに使えるわけがないのだ。
覚えてることは、妻と転生した事と、前世の名が悠斗であることだけだ。その他の知識は思い出せない状態でいる。
さて、過去の話だけでは無く今の話もしよう。
俺は今、クライネルト家の次男ユート・クライネルトとなった。どうやら、ユートと言う名前は引き継いだようだ。
妻は、どうしているのか分からない。そもそも何処に居るのかを知らないのだ。
俺がこの調子だと、妻の方も記憶が無いのだろう。
俺と転生した事は覚えてるが、所在や生まれは全く分からない。きっとそうなってるに違いない。
俺はこの時から、妻には悪いが自分を育てることを決意した。まず、俺はこの世界の歴史や魔法について、調べることにした。この世界は、現在も戦争中で、経済状況はほぼ最悪と言えるほどだと分かっている。
そして、魔法については詠唱による術式と魔法名のみを言って放つ、無詠唱というものがある。これだけ、聞くと無詠唱の方が強いと思うのも分かるが、実は詠唱した方が強いのだ。
まず、この世界で魔法を打つには力を込めるための詠唱、そしてそれを打つための魔法名が必要となるため、魔法名のみを言う無詠唱には、力を込めるための過程がないため、大幅に出力が落ちるのだ。
これが、詠唱をした方が強いと言われる所以だ。
其れから、どんどん練習に励んだが何時になっても魔法を使える気配がない。何故なのだろうと自分で調べてみると、魔法を使うには適性がいるらしい。
つまり、適性があれば阿呆でも魔法は打てるが、適性が無ければ死ぬほど努力しても魔法は打てないという事だ。
因みに適性は俺には一つもなかった。
努力は無駄に終わったという事だ。
さっきから、調べたと言っているが、実は俺の兄である、
ハルト・クライネルトが余りに優秀過ぎて、俺は空気扱いされてしまっているんだ。
曰く、無詠唱で放つ魔法はまるで詠唱を済ませたかのような威力を出す。
曰く、彼の元にはお金となる幸運が降り注ぐ。
曰く、次期当主は彼で決定であると。
誰もがそういった。正直俺もそれは、誰がどう贔屓目で見たとしても変わらない事実だと思った。
気がつけば家の中では両親にも疎まれ、同じ貴族の子供には、兄に全てを持っていかれた能無し、つまる所『無能』
と呼ばれていた。
なので、分からないことがあろうと其れを教えてくれる人を雇おうともせずに、まるで貴様にやるお金は無いのだと言外に言っているのだとさえ思った。
兄は、俺を家族だとも思っておらず話しかけても無視が当たり前だった。
俺は、こんな日々がずっと続くのだと思っていた……
♢♢♢
時が経ち、俺は15歳になった。そんなある時、歴史と魔法に関しての文献を読んでいるうちに、ある事に気がついた。それは、前世の記憶がどんどん戻ってきていることだ。今では、魔法を使えるし、両親のことなど全く気にしていない。
というか、勘当して欲しいと思ってしまうほどだ。
そんな不謹慎なことを考えていると、突如身体に電撃のような痛みが走る。
これは、なんだ?!と困惑しながら辺りを見渡すが何も起
きていない。
では何が起きたのか?と考えたところ、どうやら勇者の力が3%ほど回復したようだ。何故わかったのかと言うと、ステータスを見たからである。
最近になるまで知らなかったのだが、ステータスを見たいと思えば、表示されるようになっていたっぽい。教えてもらう師がいない俺にとっては当たり前のことでさえ、知らないこととなってしまうのだ。
それと、適性の無かった魔法だが現代の魔法は俺が使う魔法に全てポイントのようなものがいっているようで、不可能という事だった。
其れから、勇者魔法と言うのも存在している。勇者魔法は、ステータスを倍にしたり状態異常を回復したりするものだ。此方は、勇者の力が全然復活出来てないので、使えないようだ。
勇者の力は、復活しても死にかけない限り発動しないと心に決めて、今日も修行に勤しむ。妻の位置は、俺の十八番のオリジナル魔法で既に探り当てた。これから、両親に旅立つ事を言って今すぐにでも会いに行くつもりだ。
この時、俺は知らなかった。現代の魔法が昔の魔法では到底歯がたたないことを……
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