いま〜いま、あるところに(「むか〜しむかし、あるところに」風に)
うp主「我輩は気付いてしまった……。」
ゼロ「何に?」
うp主「我輩は語彙力はあるということに……!」
ゼロ「ほう。」
うp主「そして、表現力がないということに……!」
ゼロ「ダメやん。」
「すまん。ホントすまん。」
ゼロが能力を解除して頭を下げている。
もうどれくらい時間が経っただろうか。
すっかり忘れていたが、外の嵐はもうすでに止んでいる。
「大丈夫……大丈夫だから……」
……見られて……ないよね……?
自分で「大丈夫」って言っといてなんだけど、本当に大丈夫だよね?
「……でもヴェルさん……。ヴェルさんの服装も服装だと思うんだが……。なんだよ、そのデッカイスリットは……」
「わ、私だって好きでこの服装になってるわけじゃないわよ!……生まれつきこの服装だったし……」
「やっぱり、どの世界行っても『女悪魔』は露出高いんだな……ちなみに、お前より露出高い奴っているのか?」
「「ほぼ全裸じゃん」ってツッコミたくなるのもいる、って聞いたことはある……」
「ダメだこの世界……」
ぐぅ〜〜〜………
と、ゼロが世界の感想を述べた時に、誰かのお腹の虫が……
って、私だ……
……そういえば、お腹空いてるんだった……。(ものすごく)
「ん?なんだ?腹減ってんのか?」
「ま、まぁ……それであなたに襲いかかったんだし……」
「……どうやって食うつもりだったんだ?」
「……どうやって食べようとしてたんだろ……?……でもいいわ、今日もその辺の雑草で……」
「雑草って……まさか、「肉食ったことない」とか言わないよな?」
ゼロが半ば冗談まじりで、心配そうに訊いてきた。
「さ、さすがにそれはないわよ!確か、4ヶ月くらい前にたまたま迷いこんできた子鹿は……」
「わかった……!オレが悪かったから……!これ以上悲しくしないでくれ……!」
「エェ……」
「……ってことは、もしかして今まで……」
「……ざ、雑草だけど……」
「…………。」
やめて、そんなあわれそうに私を見るのをやめて、私まで悲しくなってくるから……
「ここら辺はそんなに動物いないのか?」
「まぁ、なぜかあまりいないわね……」
「……よーし!じゃあ、オレがなんか捕ってきてやろう!!10分待ってろ!今すぐ捕ってくる!!!」
「え?あ、ちょっ!?」
そう言ってゼロはものすごいスピードでどこかに飛んでいってしまった。
「……さすが『ドラゴン』……。もう暗いし、火をおこしておこう……」
火おこし。
普通の人は木と木を擦り合わせて摩擦で燃やそうと考えるらしい。
でも、ここは魔法が使える。
薪を集める。
火属性の魔法で着火。
以上。
薪はもう集めてあるから、3分で終わる。
…………暇だ。
「よくよく考えてみたら、今まで誰かと喋ったことあまりなかったわね……」
今までずっと一人でいろいろやってきた。
『誰かと一緒に』というのは『大悪魔』として生まれてから一度もない。
そうゆう意味でもゼロはレアかもしれない。
と、ゼロのレア度を高くしていると、空から風を切る音が近づいてきた。
「たっだいまァ!!!」
「・・・。」
えっと?
「タダイマ……?」
「オイオイ、ヴェルさんは「おかえり」だろ……?もしかして『挨拶』もしたことねぇのか?」
「あぁ、挨拶ね……。私、今まで誰かと話すということがあまりなかったから……」
「……ちなみに今、何歳なんだ?」
「え?えと、300年くらいは生きてると思うけど……」
「ずっと『ぼっち』か……」
「『ぼっち』いわないでよ……」
まぁ、確かにそうだけど……
「すまんすまん。まぁそんなことより、ほらよ。捕ってきたぜ。」
ゼロの右手には立派な角を生やした、それはそれは大きな鹿が掴まれていた。
「十数年ぶりに見たわ……こんな大きな鹿……」
私が目をキラキラさせてゼロに尊敬の眼差しを送るとゼロは「マジカヨ」といった表情で少し呆れていた。
だってホントだもん。
しょうがないじゃん。
私は鹿をよく見ようと立ち上がるが、
「……あ、あれ?……」
急な目眩が襲い、またへなへなと座り込んでしまう。
とうとうここまで弱体化したかと、ため息が出る。
「オイオイ……大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ……これぐらい……」
また、立ち上がろうとすると、またゼロが肩を押さえた。
「いいや、絶対だいじょばない。ヴェルさんは座って待ってろ。」
「え?いや、そんな……」
「そんなフラッフラじゃあ、見てるこっちが危なっかしい。まぁ、安静にして待ってろ。」
「…………。」
……私は『大悪魔』として生まれてからずっとこの洞穴に住んでいる。
無駄な戦闘はしたくないと外に出ようとは全く思わなかった。
結果的にそのまま弱体化していって、今では走り回ることは到底できない。
「……う〜ん、料理には詳しくねぇが、『くさみ』ってこれのことか?」
それにしても、ゼロはホントにいろいろしてくれる。
ゼロのレア度をさらに上げていっていると、私の前に木の皿とスプーンが置かれた。
……って、ちょっと待って。
「……え?いや、何コレ……?」
「あ〜、コレは『皿』と『スプーン』ってやつ……」
「いや、それはさすがにわかる。」
「え!?わかるのか!?」
「わかるわよ!ってそうじゃなくて、なぜお皿とスプーンがあるの!?」
「あ?そんなもん、そこら辺の木に百裂拳ぶちかませば自然にできるだろ?」
「えぇ……。じゃあ、お皿の上にのってるのは?」
「途中で採ったリンゴをすりおろしたやつだ。よくよく考えてみたら、いきなり動物の肉ってのも腹に悪いんじゃねぇかと思ってな。」
「そ、それはどうも……」
な、なんだろう……
とても胸が痛い……
なんかもう、いろいろと次元が凄すぎて……
気遣いがとても優しすぎて……
「……あむっ……」
……おいしい。
とってもおいしい。
リンゴってこんなにおいしいんだ……
と、ふいにお皿に水滴が落ちる。
自分の目から落ちている……つまり涙だと気づくのに少し時間がかかった。
でもおかしい。
痛みや恐怖で涙が出ることはあるけど、これは初めてだ。
いや、この感情がそもそも初めてかもしれない。
ポロポロとどんどん落ちていく涙に自分でも驚いていた。
「まぁ、味が悪かったら言って……ってどどどどどした!?!?」
ゼロももちろん驚いて私の方を向く。
「わ、私……うぅ……こんなに……ひっぐ……優しく、された……こと、えっぐ……なくて……ぐすっ……」
私は無意識に本音を打ち明けていた。
「私……ほ、本当は……うっぐ寂しかった……ずっと、独りで……えっぐ……本当に、ひっぐ……さ、寂しかった……!うぅ……」
「…………。」
……なるほど、私は本当は300年間ずっと寂しかったらしい……
ただただ怖くて……外に出れなかった……
「ひっぐ、えっぐ……うぅ……うわぁぁぁぁぁん!!!」
私はそのままゼロに抱きついていた。
「うおう!?…………よしよし、今まで本当に頑張った。うんうん……」
「うわぁぁぁぁぁん!!!『大悪魔』なんかに生まれてごめんなさぁいぃ!!!」
「ちょ、オイオイ、自分を否定するようなこと言うなって……」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
うp主「なんか変な終わりかたしちゃったなぁ……」
???「んなもん知らねぇよ。」
ゼロ「コイツ最初っから出てきやがったぞ。」
うp主「終わったといえば、縄文時代も終わりましたなぁ。」
???・ゼロ「「何時代の話してんだよ?」」
うp主「宇宙世紀」
???「つーか、なんでオレなんだよ?まだ出てきてねぇだろうが。」
ゼロ「確かに。なぜ毎回オレの弟が出る?」
うp主「なんとなくだ。」
???「エターナルフォースブリザード!!!」
うp主「ぬぅぁぁあああ!!!」
???「次回『ゼロ散る……』」
ゼロ「なぜ弟たちはオレを殺したがる?」
うp主「次回をお楽しみにね!」