これははたしてプロローグなのだろうか?
これでプロローグは終わりを迎えるのだった……
ここから読んでいる人はこれの前のプロローグから読むことをオススメします……
だだっ広い部屋に大きな丸いテーブル。
照明はついておらず、灯りといえばテーブルの中心にひとつ。
そのテーブルの周りには真っ黒いローブを深くかぶった15人。
その後ろには『ゴゴゴゴゴ……』という文字が漂っていそうな……
「まさか「あと5分」が20回くらい続くとは思わなかったぞ……」
「正確には23回。2時間遅れはまだマシな方だと思うぜ?」
1人は少し疲れた表情をしており、その隣は「やれやれだぜ」といった感じのようだ……
「あーっと……やっと静かになったし、全員いるか確認しよう。」
するとまとめ役がオホンと咳払い。
「番号!」
「あいつ7!」
「あいつ10!」
「そいつ5!」
「こいつ3!」
「あいつ14!」
「自分のを言え!」
「番号!」
「1!…から」
「じゅうよーん!」
「略すな!」
「番号!」
「2−1」
「4/2」
「9÷3」
「2の2乗」
「√25」
「ややこしいわ!」
「ば、番号…。」
「1」
「2」
「3」
「4」
「5」
「6」
「7」
「8」
「9」
「10…」
「「「「「「「「「「10人アニメー!」」」」」」」」」」
「……。」
「いや、ツッコんでよ!博士!」
すると博士と呼ばれた1人が「はぁ」とため息をつき、
「もうこのやりとり何回目だよ……つーか、なんでゼロもあんなにノリノリなんだよ……」
ゼロと呼ばれた1人は軽く
「今ので514回だな。楽しいからいいじゃねぇか。」
「もうそんな回数なのか……」
博士がまたため息をつきながら頭を抱えていると
「なぁ、博士ー。会議始めないのかー?」
「オレ達で勝手に決めちまうぞー?」
と周りから聞こえてくる。
誰のせいだよまったく……
博士は椅子に座りなおして、
「んじゃあ、もうオレが数えるよ……。1、2、3、4……全員いるな?よし。」
今度は皆真面目になり、静かになったようだ……。
「では、改めて会議を始める。今回もオレが世界を決めておいた。」
するとテーブルの中心の灯りが文字通り消え、
立体映像というやつだろうか?
かわりにちょっとしたジオラマのようなものが現れた。
「うーむ……いつも通りファンタジー系か……」
「勇者と魔王は……存在する。まぁ、王道だな。」
「この世界は、結構役職とか種族が決まってるみたいだな。」
「言語は〜……日本語で〜OK〜」
皆が世界の分析に取り掛かった。
それぞれ自分が行けそうか確認していると、
「お!こいつが魔王か!」
と、声があがった。
「ダニィ!」
「お!どれどれ?」
「僕にも見せてー!」
皆嬉しそうにその魔王の画像を見るが……
「……えーっと……」
一斉に残念そうな表情になり、
「なぁ、兄弟……コイツ、どう思う?」
「「「「「「「「「「「「「すっげぇザコそう……」」」」」」」」」」」」」
「やめたげてよー……つーか、お前達いつも魔王見て言ってるけど、これのどこがザコそうなんだよ……」
漆黒の身体にキバや爪、全身を覆うような翼、そして禍々しいオーラ……
普通なら考えるだけで恐ろしいと思うのだが……
「いやさ……ありきたりな見た目のやつは弱いって相場は決まってるのさ……」
「そもそも、魔王はこの見た目じゃないといけないのか?この見た目じゃないと魔王じゃないのか?」
「この感じの見た目の魔王はもう238回見たな。」
ちなみにゼロ達14人はその238の魔王を倒しているどころか、その他の魔王もほとんど倒してしまっている……。
「うわぁ……チート」って?
そりゃあ博士がそう作ったんだからしょうがない。
「……誰行く?」
と、1人が訊くと皆黙り込んでしまう。
「こんな危険な世界行きたくない!」
……という理由ではなく
「こんなつまらなそうな世界行きたくない……」
という理由だろう……。
するとゼロがため息まじりに、
「じゃあオレが行くよ……」
「「「「「「「「「「「「「さすがアニキ!」」」」」」」」」」」」」
「……。」
「い、いいのかゼロ?」
「あぁ……オレも最近暇だし、それに……」
「それに?」
「オレ、名前出ちゃったし……」
…………。
「なんか……ゴメン……」
「いいよいいよ、あいつらもアレだから……」
ゼロが指差した方を見ると
「よし、さっきの話の続きをしよう!」
「それで〜あの後は〜?」
「よし!いけ!ってあら!?あららららら!?オーマイゴッ!!」
「おっしゃあ!!」
…………。
「ははは……いつも通りだな……。」
「だろ?……んじゃ、行ってくるぜ。」
「おう、いってらー。」
異世界に行く方法……。
普通ならば召喚魔法などでしか行けないが、普通ではないこの『空間』からはいたって簡単。
この『空間』ところどころに『ワープホール』のようなものがあり、そこをくぐるだけ……。
今は博士がその『ワープホール』を研究し、改造したおかげでどの世界に通じるのかわかるようになり、『ホール』というよりは『ゲート』の形になっている。
「W-2168……このゲートだな……」
『ゲート』は全て白い扉でできており、番号がふられてある。
『W-2168』というのはさきほど調べていた世界の仮の名前。
『仮の名前』というのは世界によってはちゃんと名前がついている世界もあるためだ。
「暇つぶしになればいいんだがなぁ……。んじゃあ行くか。」
ゼロは、その扉を開けた……
次は真面目に1話を出したい……