『お金』って、偉大なんだなぁって……
ゼロ「そういや、この国ってなんて名前の国なんだ?」
レイア「何言ってるのね?さっきからみんな言ってるのね。」
ゼロ「……まさか、『クニ』って名前の国だとかふざけたこと言わねぇよな?」
レイア「だからそう言ってるのね。」
うp主「そうだそうだー。」
ゼロ「オラァア!!!」
うp主「うわらばッ!?!?」
「あ、あの……えっと……お客様は店を買われるおつもりですか?」
「「「どうしてこうなった……」」」
いきなり結果だけ出されても困惑するだけなので過程を説明しよう。
レイアが、「あ、ヴェルの金貨があるのね。」と取り出したが、歯型つきの金貨は価値があるわけないので、ヴェルさんに新しく出してもらうことにした。
それで、目についたレストランらしき店に寄ったのだが……
まぁとりあえず、見た(?)方が早い。
時を戻そう……
「この人たちにスパゲティを食わしてやりたいのね!!!構いまs…痛ッ!?」
「さっそく目立とうとすな。」
とりあえず、レイアにチョップした。
出てきた店員が「いらっしゃいませ〜」とオレ達をまじまじ見ると、
「ふ〜む、お客様も十分目立ってるかと。」
「お前もお前で遠慮ねぇな……つーか、ここはメイド喫茶か?なんでメイド服なんだよ……」
すると、メイド服の店員の後ろをバニーガールの店員がステーキを運んでいった。
と思うと、セーラー服の店員が食器を片付けている。
「せめて店で統一しろよ……」
「全員普段着です。」
「いや、さすがにおかしいだろ……」
ヴェルさんは初めてのお店でキョロキョロ見回している。
「とてもいい匂いがするわね。」
「そうですねぇ〜。」
「ちょっと……強く叩きすぎなのね……頭割れるかと思ったのね……」
「本気出してねぇだけマシだ。本気出したらお前真っ二つになってるからな。」
「それではメニューをお決め下さい。」
と、店員からメニューを渡された。
……いや待て待て待て。
「なんかいろいろ通じるところに腹立つが、それはひとまず置いといて……ここはファストフード店じゃねぇだろ?レストランならまずは席に誘導するもんじゃねぇのか?」
店員は言い忘れていたと手を叩き、続けた。
「実はここ、なにかと食い逃げが多くてですね。それで店長と副店長が……」
「もういっそのことタダしちゃおうかな?」
「店長はバカですか?後払いではなく、先払いにするのはどうです?」
「それだ〜!!!」
「……ってことがありまして。まぁ、一週間前に始めたばっかりですが。」
「じゃあ、あえて食い逃げしてやろうか?」
「やめた方がいいですよ?ここの店長は元刑事だったらしいですから。」
「そのくせ食い逃げされてんだな。ちゃんと払うよ。ほらお前ら選べ。オレはいらねぇから。」
「コレ一応私が払うんだよね……?」
「う〜ん、迷うのね……」
「カレー……でもやっぱりぃ、レストランですからハンバーグですかねぇ……」
「よし、決めたのね!!」
「はい、承ります。」
「こっからここまで全部なのね。」
「マイコーかよ……だから目立つなっつってんだろうが……」
「一皿ずつでよろしいでしょうか?」
「そして、サラッと受け流すお前もスゲェよ。もうお前気に入ったわ。」
「合計で15万8000円になります。」
「全部頼んだわりに、安いんだか高いんだか……つーか、単位が『円』なのもいろいろと……」
「と、いうわけで!ヴェル!出番なのね!!」
「無敵の黒魔法でなんとかして下さいよぉ〜!」
「え?無敵?無敵なのかなぁ……じゃあ……」
ヴェルさんは目を瞑り、右手の人差し指を立て、そのままゆっくり回した。
ヴェルさんの指先に黒い霧が集まり、ひとつのコインが形成された。
そして、「チャリン!」ではなく……
ゴンッ!!!
と、鈍い音を立てて、ヴェルさんの尻尾の上に落ちた……
「いったぁぁぁあああああッ!!!!!」
そして、今にいたる訳である。
「し、尻尾……千切れるかと思った……」
出てきたのは、金貨といえば金貨だが、大きさがあきらかに違う。
なんというか、陸上競技の円盤投げに使われる円盤みたいな……
いや、それよりもひとまわり大きいかもしれない。
片面にはなにやら結構複雑な魔法陣の紋章。
もう片面にはガッシリした体格の男が……って、ジョ○ョ立ちしてるぞコレ……
まぁ、そんなものが出てきたのである。
「し、しかもこのズッシリとした質感!純金ですよ……!この店どころか、ちょっとした会社も買えますよ!?」
「ヴェルさん……もしかしてオレ達の中で一番最強なんじゃねぇか……?」
「「神様、仏様、あぁ、ヴェル様……」」
「えぇ……」
「つーか、ヴェルさん、こんなデッカイ金貨なんて出せたのか?」
「いや、私も初めて見た……」
「謎多きヴェルさんの黒魔法だな……まぁ、とにかくこれなら払えるだろ。食わせてやってくれ。」
「そう言われましても、おつりが圧倒的に足りないですね……」
「悪いヴェルさん、もう一回出してくれ……」
「う、うん……」
「花京院の魂もかけるのね。」
「ポーカーしてねぇよ。」
「本来なら現金かキャッシュレスでしか取り扱ってませんが、今回は特別に承ります。え〜、おつりの34万2000円になります。」
「おつりで万札が出るの初めて見たぞ……つーか、普通に福沢諭吉なのもおかしいし……」
「近々、変わるらしいですけどね。」
「知ってるには知ってるけども……」
「なんか私の『黒魔法』怖くなってきた……」
「というかぁ、よく50万円の価値だってわかりましたねぇ。」
「言われてみりゃあ確かに。」
「この金貨の紋章は『50万円の金貨にしかつけられない』って決まってるんです。お客様が持ってる大きな金貨の方も1000万円の紋章ですし。」
「確かに、よく見たら違うな。」
「ゼロ、よく片手で持てるね……」
「オレ『機械』だから。」
「レイアだって、それぐらい。」
「そうか、ほい。」
ゼロはレイアにパスしたが、レイアは距離感を掴めずにそのまま落としてしまった。
ドン!!
「足がぁぁあああ〜〜!!!」
片足でピョンピョン跳ねるレイアを横目に店員は続ける。
「それに私、前は宝石とか貴金属を扱う店にいたんです。」
「どうりで詳しいわけだ。でも、なんでレストランの店員なんかになってんだ?絶対そっちの方が稼ぎいいだろ?」
「いやぁ〜なんかムシャクシャして、ダイヤをハンマーでぶっ叩いちゃいまして。」
「いったい何があったんだよ……」
「……っと、そうでした。席にご案内しますね〜……」
「ありがとうございました〜またお越しくださいませ〜♪」
「厨房から「二度と来るな!」って聞こえけどな〜。」
結局、メニューの端から端までを三周して追加料金を払った。
「どんだけ食うんだよお前ら……」とゼロがツッコんだのは言うまでもない。
「いや〜食った食ったなのね〜。」
「お前、意外とベジタリアンなんだな。サラダしか食ってなかったじゃねぇか。」
「肉より野菜の方が好きなのね。」
「お前ホントに『ドラゴン』か?」
「一度やってみたかったんですよねぇ〜帰れま10。」
「全部頼んだら帰れま10の意味ねぇだろ……」
ちなみに一位を訊いたら『お客様、『ピザ』じゃなくて『ピッツァ』です!ピザ』らしい。
名前に関してはもうツッコむ気にもならん。
「三日連続で満腹になれるなんて、こんな幸せはないわ……」
「お、そうだな。」(^ω^)
「それにしても、どうするのね?このバカデッカイ金貨。」
レイアが両手で金貨、いや、金の円盤を持ちながら言う。
「そうだな……とりあえずオレが持っておくか?」
「じゃあそうしてもらうのね。」
ゼロは受け取ると、空間にまた黒い穴が空き、その中に放り投げてしまった。
「シャドウ、これ持っといてくれ。」
『ん?どうしたアニk…イデッ!?』
「「「えぇッ!?」」」
「安心しろって、預かってもらってるだけだ。」
「ど、どこに繋がってるの?」
「オレの住んでる世界。」
「えぇ!?ゼロさん、異世界人なんですかぁ!?」
「そういや言ってなかったな。カクカクシカジカそういうことだ。」
「なるほどウマウマそういうことだったんですね。」
「いや、わかんのかよ。」
「今のもゼロの能力なのね?」
「いや、正確にはオレの弟の能力だ。」
「ゼロの弟さんはどんな能力なの?」
「だから、うp主にいろいろ言われてるから……」
ゼロ達が話しながら歩いていると、
「むむ?そこのお主。」
「んぁ?」
突然声をかけられた。
ゼロは「オレか?」と自分に指を差す。
「そうじゃ。お主じゃよ、お主。」
声をかけたのは、メガネをかけ、露出もそこそこの派手な服を着て、魔女みたいな帽子をかぶった若い見た目の女性だった。
そしてよく見ると、翼と尻尾が生えている。
女性はメガネを上げ下げしながらこちらを凝視している。
ヴェル達は小声で心配そうにゼロに話しかける。
「ねぇゼロ、大丈夫?」
「バレたとかぁそういうのじゃぁないですよねぇ?」
「レイアのせいだったらごめんなのね……逃げるならたぶん今のうち……」
「大丈夫だって。呼ばれたのはオレだ。お前らはここで待ってろ。」
ゼロは店に向かった。
少し年季の入った古着屋だ。
だが、売られている服はカラフルだったり、独特なデザインだったりと、どことなく中古に見えないようなものばかりで、逆に新しく見える店だった。
「で?何だババァ?」
「バ、ババァとな!?わしはまだピチピチの300歳じゃぞ!?」
「15年しか動いてないオレにとっちゃ十分ババァだよ。」
「ゼロって15歳だったの!?!?」
「ゼロって15歳だったのね!?!?」
「ゼロさんって15歳だったんですかぁ!?!?」
「とまぁ、それはさておき、お主の服……いったいどうなっておるんじゃ?」
「……は?」
「いや、お主の服……なんというか、『服の中にまた同じ服が見える』というかの……」
「あぁ……確かにオレもいつも不思議に思ってる。」
するとゼロは上着を豪快にビリッ!と音を立てて脱ぎ捨てた。
そして、その下には全く同じ服を着ている。
ゼロはそのまま何回も脱ぎ捨てたが、姿は全く変わらない。
「この通りだ。納得したか?ババァ。」
「だからババァと言うのをやめんか!!」
「だったら名乗れ!!オレはゼロ・リドリーだ。」
「わしは『トゥミィ・ヴァーラ』じゃ。」
「んじゃババァラ。」
「『ババァラ』てお主……」
「よくオレの服の構造がカオスだっつーことわかったな。」
「あぁ、それはコレのおかげじゃよ。」
そう言うとトゥミィはメガネを外した。
「ついこないだ拾ったものなんじゃが、なかなかおもしろいメガネでのう。それをかけて連れの三人を見てみるといいぞ。」
「ぁん?」
ゼロはメガネを渡され、言われた通りヴェル達を見た。
「・・・。」
「どうじゃ?特にお主のような男には『ロマンそのもの』じゃろう?」
「あ〜……なるほどねぇ……うんうん。」
ゼロは丁寧にメガネを折り畳み、
「ぬおりゃあああッ!!!!!」
グッシャアッ!!
豪快に叩きつけた。
「何しとるんじゃワレェ!?!?」
「こっちのセリフじゃボケェ!?何てモン見せとんじゃテメェ!?何か見えちゃいけないモンまで見えちまったぞコルァ!?」
「はは〜ん、さては童貞じゃなお主?照れとるんじゃろ?」
「だぁ〜れが思春期の男子中学生だッ!!」
「まぁたまた〜照れおって〜♪……というか、弁償せんか!!!」
「ブッ飛ばすぞテメェ!!!」(怒)
それを遠くで見ていたヴェル達もあわててゼロを抑える。
「お、落ち着いてゼロ!?急に叫んだと思ったらどうしたの!?」
「いったいどうしたっていうのね!?……って力強ッ!?」
「いったい何に怒ったんですかぁ……ん?このメガネはぁ……?」
「あぁ、コヤツがそのメガネを急に割るもんじゃから。誰でも怒るじゃろう?」
「どういうメガネだったのね?」
「なんと服が透けて見えてしまうという……」
「えぇッ!?……///」
「「それ、詳しく……」」
するとゼロはトゥミィの頭を片手で掴み、
ガシッ!!
「へ?」
「『ブッ飛ばす』と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているッ!!!」
思いっきり投げ飛ばした。
「なんじゃとぉぉぉおおお!?!?」
「警察です。どうかされましたk……」
「どけるのじゃぁぁぁあああ!!!」
「「ゴフゥアッ!?!?」」
そして、駆けつけた警察官二人に見事にクリティカルヒットし、
ドッゴォーンッ!!!
そのまま突っ込んでいったコンビニが大爆裂したのだった。
街中に驚愕がこだましたのは想像に難くないであろう……
「「「「「えぇぇぇえええぇぇぇえええ!?!?」」」」」
ヴェル「え、どこ?ここ……」
うp主「やぁ、ヴェルさん。」
ヴェル「え、誰!?」
ゼロ「うp主だ。」
ヴェル「ゼロ!?いやうp主って誰!?」
うp主「我輩だ。」
ヴェル「わかるけどわからない!!」
ゼロ「この世界の産みの親みたいなヤツだよ。」
ヴェル「じゃあ、神様ってこと?」
ゼロ「こんなヤツが神様でたまるか。」
うp主「おぉ、ひどいひどい。」
ヴェル「本当に誰……」
うp主「というわけで、」
次回『あなたを詐欺罪と器物損害罪で訴えます!』
ゼロ「お前が言うのかよ。」
うp主「覚悟はいいか?できるまで待ってやる。」
ヴェル「優しいわね……」