膝に矢を受けてしまってな……
ゼロ「オレ、思ったんだけどさ。」
うp主「なんだい?」
ゼロ「ヴェルさんがオレに斬りかかった時に使ってた剣ってどこいったんだ?」
うp主「あぁ、『エクスカリバー』のこと?」
ゼロ「そうそう……はぁッ!?!?」
うp主「アレは君の弟くんが回収したよ。」
ゼロ「いや待て待て待て!?アレ『エクスカリバー』だったのか!?『悪魔』が伝説の聖なる剣なんて持ってたのか!?」
うp主「それじゃあ!今日も元気にいってみよ〜!!」
ゼロ「聞けよオイッ!!」
「……もうしゃーねぇからこれで行くぞ。」
「う、うん……」
結論。
飛べないらしい。
だから、オレがヴェルさんを背負って行くことになった。
なんかやけにヴェルさんの心拍数が高いんだが……
「なぁ、ヴェルさん。」
「んぇッ!?な、何?」
「心拍数『0』にしようか?」
「私に死んでほしいの?」
「大丈夫なのね?背負って飛ぶのよくアニメとかで見るけど、実際やってみると結構キツイって聞いたことあるのね。」
「アソパソマソとかか?オレは『機械』だから疲れるとかキツイとかそういうのねぇよ。んじゃあ行くぞ。」
そう言うとゼロは少ししゃがんだかと思うと、思いっきり上に飛び上がった。
どんどん地面が遠くなり、いつも見上げている木も今は見下ろしている。
レイアは少しはばたいてからふわっと浮き上がり、そのまま翼をはばたかせてゼロに追いついた。
そして、そのまま出発。
……とはいかなかった。
「きゃあああああ!!!落ちる!高い!怖い怖い怖い!!!」
「のあっと!?おい!落ち着け!暴れるな!マジで落ちるぞお前!!!」
「ど、どうしたのね……」
「見りゃわかんだろ!?この通りだ!」
「落ちる!降ろして!死ぬ死ぬ死ぬ!!!」
「わかった!わかったから!目を塞ぐな!首を締めるな!」
「うあああああ!!!うあああああ!!!」
「ってあああ!!!もう地面との『距離『0』』!!!」
ゼロがそう言った瞬間、レイアの目の前から姿が消えた。
「……え?あれ?のね?」
下を見ると真下にゼロとヴェルがいた。
「高いいいいいい!!!落ちるううううう!!!」
「もう地面だから!大丈夫だから!とりあえず手をどけろォ!!!」
「結局歩くのか……」
「ごめんなさい……」
『飛べない』『体力ない』『走っても遅い』
の三拍子揃ったヴェルさんと行くには歩くしかないようだ……
「ヴェルさんが高所恐怖症だったとはな……」
「ごめんなさい……」
「こうなったら全力で歩くのね!全力で!」
「ぜ、全力で『歩く』……?」
「もういいからいくぞ。この方向にあるはずだから……」
やっとオレ達は進むことができた。
「へぶッ!?」
ヴェルさん転んだ……
「森の中はけっこうジャングルみたいな感じなんだな。」
「実はレイアも森の中には初めて入るのね。」
「なんだ、お前が一番詳しいかと思ったが……」
「いつもは飛んでるからわざわざ森の中を歩きまわることはないのね。」
「そういうもんか?……で、ヴェルさんはさっきから何やってるんだ?」
ヴェルはさきほどからときどき立ち止まっては草やキノコを摘んでいる。
「あ、いや、ちょっといつものくせで、食べられそうなものを採集しているのよ。」
「「ふ〜ん。」」
「もうちょっと興味もってよ……」
まぁ、300年近く引きこもっていたとはいえ、サバイバル生活だったらしいからなぁ……
さすがヴェルさんって感じ。
「あ、そこにもある。」
「いやちょっと待てい!ヴェルさん!」
「ッ!?え、え?」
「いやいやいや……どっからどう見ても罠だろコレ……」
木の実やキノコなどが山のように積まれており、その周りをロープで囲われている。
「こんなの、今どきの野生動物だって引っかかんねぇぞ……」
「そういえば、森の中に住んでいる種族もいるとか聞いたことが……」
と、レイアがヴェルのそばに来た瞬間、
カチャッ……
清々しいほどに罠にかかった音がした。
「「「ん?」」」
「……ってなのォォォオオオッ!?!?」ヒュルルル……
レイアは片足を吊り上げられて宙ぶらりんに……
まぁ、よく見る罠にかかった状態になったのである。
ちなみにレイアが身につけている鎧はドレスのような見た目のため、まぁ、いろいろと見えるのである……
「何やってんだよ……」
「いやいやいや!?こっちにも仕掛けてあるとか思わないのね!」
さっきの見え見えの罠は全然動いていない。
どうやらその罠自体が囮だったようだ……
「ったく……それぐらい自分でなんとかできるだろ?」
「いや……これ、結構キツいのね……足に手が届かないのね……!」
「身体固ぇなお前。」
「なんか、『機械』のあんたには言われたくないのね……」
「えっと……魔法で焼き切ればいいんじゃない?」
「あ!その手があったのね!ナイスヴェル!」
と、その時。
ヒュン!グサッ!!
「いったぁぁああ!?!?」
どこからか槍のようなものが飛んできて、ものの見事にレイアの尻尾を貫通した。
「え!?な、何!?」
「なんかあっちの方から飛んできたな。」
ゼロが槍がとんできた方を向くと、
ヒュヒュン!
タタタタタッ!!!
今度は別の方向から何本もの矢が飛んできた。
「ヒィィィイイイッ!!!!!」
ヴェルに向かって飛んできたが、間一髪ヴェルには刺さらなかった。
「……こりゃ囲まれてるパティーンだな……」
「ゼ、ゼロ!なんとかして!!」
「わかったから、とりあえずオレにしがみつくのやめてくんない?」
生命反応は四方八方に確認できる。
もちろん木の上もだ。
ヒュヒュヒュヒュヒュン!!!
一斉に何かを飛ばしてくる音が聞こえる。
その音と同時にゼロは呟いた。
「時間速度『0』」
「ヒィィィイイイ!!!」
瞬間、何も聞こえなくなった。
「……あ、あれ?」
世の中の色も少し暗く見える。
ゼロとヴェルに向かって飛んできている矢は、全て空中で止まっている。
レイアも人形ようにピクリとも動かない。
「え?……え!?ど、どうなってるの!?」
「ヴェルさんがオレにくっついてるからだ。」
「うわ!動いた!?」
「オレの能力だから当たり前だろうが!?」
「……あ、これって……」
「そ。オレがヴェルさんに会ったときに使った能力だ。」
「これが……」
「まぁ、せっかくだ。ヴェルさんもこの空間体験してみるか?」
「……え?」
「よし、じゃあ手ェ離すなよ?」
「あ、ちょっと……」
すると、ゼロはそのまま軽くジャンプした。
そして空中で止まった。
「浮いてる……」
「このぐらいの高さは大丈夫なのか?」
「ま、まぁなんとか……」
「オレもよくは知らんがな。なぜかこの空間では空中浮遊できる。」
ゼロはレイアの近くまで行くと、ロープを切った。
「手刀ッ!!」ブチッ!!
素手で。
「スゴッ……」
そして、すぐ側にあった木の枝をかき分けて入ると、そこには弓を構えた数人がいた。
「……全員『人間』のようだな。地味にこの世界では初めて見るな。」
「そういえばそうね……」
「服装的には国の『人間』じゃねぇな。この森の部族か何かか?」
「私にはよくわからないけど……そうなのかな?」
全員まるで水着のような下着のような感じの軽い服装で、刺青のようなメイクも体のところどころに確認できる。
「ふんッ!」ゲシゲシゲシッ!!
ゼロはその人達を軽く蹴飛ばした。
「えぇ……」
それを全ての木で行ったあと、また地面に降りた。
茂みの中にもやはり弓を構えた数人。
槍をもっている人もいる。
「……思ったんだが、なんで全員女なんだ?」
「言われてみれば確かに……」
ゼロはその茂みに隠れている全員の首根っこを掴んで、周りにたくさん仕掛けられている罠の上に移動させた。
「最後に、危ねぇもんは全部回収だ。」
ゼロはみんなの持っている武器や空中に浮いている矢や槍を回収した。
全体を見回して確認し終わると言った。
「んじゃあヴェルさん、最後の決めゼリフといこうか。」
「え?決めゼリフ?」
「そして時は動き出す……」
「何それ知らない……」
ゼロが指をならした瞬間。
何もかもが動き始めた。
「し、尻尾に槍gグッ!?!?」グサッ!!
「「「…ッ!?うわぁぁぁあああ!?!?」」」
「「「…え?な、なにィィィイイイ!?!?」」」カチャッ!!ヒュルルル……
「わ、罠に掛かっていたのはッ……!」
「「「私たちだったッ……!?」」」
一度にいろいろな音と声が聞こえたため、ここだけ見るととてもカオスな状況である。
地面に角が深々と刺さり、相変わらずスカートが捲れ上がっているレイア。
地面に背中を強打して悶絶している十数人。
さきほどのレイアのように足を吊り上げられて混乱している十数人。
とにかく、ゼロとヴェル以外は頭の上に『?』がいくつも浮かび上がっていた……
???「メメタァ……」
ゼロ「今回はお前か。」
???「なぁ、うp主?」
うp主「はいはい?」
???「オレの個性的なところってなんだと思うよ?」
うp主「そうだなぁ……えいえい!怒った?」
???「怒ってないよ。」
うp主「そういうところだよ。」
ゼロ「いや、雑すぎるだろうが。」
???「なるほど。」
ゼロ「いや、お前も納得するな。」
???「というわけで。」
次回『止まるんじゃねぇぞ……』
???「お前らが止まらねぇ限り、」
うp主「その先にオレはいるぞぉ!」
ゼロ「だからよぉ……」
全員「「「「「「「「「「止まるんじゃねぇぞ……」」」」」」」」」」
ゼロ「……ちょっと待て、今のヤツら誰だ。」
シャドウ「ちなみにレイアのパンティの色はだな……」
ゼロ「オゥラァア!!!」
シャドウ「薄ピンクゥ……!!」(吹っ飛ばされながら……)