第3話〜暗部への序章
7月20日俺は夏休み2日目という事でいつもより遅く起きた。目覚まし時計を見ると8時45分であった。とりあえずリビングまで歩いて行った。
「おはよう御座います。」
萩谷の礼儀である
「おはようございますー。」
誰だ?と思ったが、そういえば俺がこの2人の面倒を見ることを忘れてた
「おはよう」
寝坊した分元気に声が出せた。
「朝食はまだなの?」
「ねぇ、自分達で食べようとか思わないの?」
「冷蔵庫の中にはマヨネーズと粉チーズとアイスしかないし、ワゴンの上にはポテチとインスタントスープしかなかったもん!」
そう言えばそうだった昨日2人を歓迎するのではしゃいだお陰で萩谷におつかいさせるのを忘れたのだった。
「悪りー悪りーそういえば朝食買うの忘れたわ。ハハハ」
「酷いよ。私たちに朝食なしで過ごせっていうの?」
「はいはいすいませんでした。んじゃ飯食いに行くか。」
「やったー」
萩谷に「掃除をしてくれ」と言い家を出た。俺が向かったのは行きつきけのラーメン屋であった。待ち構えてたのは店長の亀山であった。
「ヘイいらっしゃーい。おぉ、島じゃねーか。一週間ぶりだなぁ。」
そうだ、店長は島久だから、‘島’と俺の事を呼んでいるんだ。
「あぁそうだな。いつもの奴にメンマ多めで。」
「ヘイ。おいおい何女2人連れて来てるんだ?」
「あぁ、こいつらは昨日爆発事件があっただろう?そこの学校の奴らだよ。」
「おぉ友達連れて来てサンキューなぁ。まぁいいか注文はどうするんだ?」
「おい、どうするんだ?」
「何でもいいよ〜」
「いや、注文しないとダメだから」
「んじゃ私は醤油ラーメンにして下さい。」
「あっ。じゃ私も同じのを」
「ヘイ」
しばらくしてから暇な時間が来た。何を話せばいいのか分からなくなったと思った時にいつものメニューの豚骨ラーメンと餃子が来た。ふと体を90度向けたら、テレビでニュースをやっているのが目に入った。
「あと2日で人工衛星『プロテクター』が打ち上げられます。今回打ち上げられる人工衛星は世界一のスーパーコンピュータを搭載しており、それにより何よりも正確に算出されたデータで天気予報をお伝えする事が出来ます。」
「おい店長。俺は今初めて知ったけど、この『プロテクター』ってやつさぁ、なんかもう少し詳しい情報知ってねぇか?あんたも一応研究所の一員だろ?」
「えっ?店長さんって研究者なの?」
空と早希が聞いてみた。
「一応な。あまり研究所には行ってないけど、少量の情報くらいは知ってるぞ。」
「興味あるな。教えてくれ。」
「その『プロテクター』って奴にはスーパーコンピュータが搭載されてるって言ってただろう?そのスーパーコンピュータが凄過ぎるんだよ。あるコマンドを実行したら全てその通りに動くんだよ。」
「おい。待てその意味を考えてみろ。コマンドを実行すると全てその通りに動くって事は、東京を攻撃しろってコマンドを打ったら東京が攻撃されるんじゃねぇのか?」
「確かに。でも、人工衛星にそんな攻撃出来る武器なんて搭載されてないだろ。」
「でも、考えてみろ。この打ち上げ計画を執行しているところだなんてテレビで発表していなかっただろ?」
「確かに…でも、島はどうすんだ?」
「俺はそれを突き止めに行くよ。」
「お前本気かよ?」
店長は他の2人にラーメンを置いた。
「えぇー⁉︎大丈夫なの?」
空は昔から無茶しようとしてる俺の事をいつも心配をしてくれていた。
「あぁ心配すんな。夜までには帰る筈だ。昼飯は適当に食べとけいいよな?」
「ねぇ、私も同行していい?」
早希が唐突に聞いて来た。
「いや、危険だぞ。俺はこれから暗部がたむろしているところに行こうと考えてる。」
「私、この町での最強ランキング3位なのよ。覚悟はあるわ。」
「んじゃ、分かった。でも、お前何で無茶してまで行こうと考えてるんだ?」
突如早希の顔が赤くなった。
「べ、べ、別にあんたについて行きたいって訳じゃないからね…」
「あっそ。まぁ強力してくれるならサンキューな。ご馳走さま。てな訳で空、ここに金は置いておくから払っといてねよろしく。」
「ねぇ……夜までには帰って来てね。」
「あぁ勿論だ。いや、多分。」
「おい島!気をつけろよ…。」
俺はラーメン屋を出ていったら適当に廃ビルをハシゴしていった。暗部がいそうなところを探しているのだ。そしてとうとう3個目の廃ビルで暗部を見つけられた。
「おう、久しぶりじゃねーか正田君」
「おうこれはこれは誰かと思えばジキルハイドじゃねーか。」
「えっ?ジキルハイドって誰?」
「俺の事さ。今は普通の状態だけど、戦闘する時になると凄く怖くなるらしい。用は俺は二重人格なの。」
「フハハハハッ。その女は誰なのか、お前も恋というものをしてんのか?」
「違うわ」
「まぁいいか。んで今日は何しにここに来やがったんだ?」
「『プロテクター』って人工衛星が打ち上げられるだろう?それに搭載されるスーパーコンピュータについての情報収集だ。」
「例えばどんな情報を求めてる?」
「そうだなぁ。例えばそのスーパーコンピュータにコマンドを打ったら東京を攻撃するとか、そんなことはあんのかなぁってな。」
「俺は何も教えねーよ。」
「お前、俺を恐れていないんだな。まぁ面識なかったし、拷問に耐えられるかなぁ?」
いきなり俺の口調は変わった「何で?口調が変わるの?そうか、ジキルハイドってこの事か」早希は呟いていたが、そんなのに気がつく訳がない。俺は正田の胸元に手を当てて目を閉じた。すると正田はいきなり苦しみ出して、口から血を吐いた。
「おい、お前何者だよ…」
「事を吐くまで永遠にこうしますが」
「違う違う違う。お前、俺の身体に何をしている!」
正田は拳銃を取り出して俺を殺そうと頭に銃を当てようとしたが、そいつの手を俺はもう片方の手で手首から切断した。
「俺がお前の心臓に手を当てる事でお前の血流を加速させたり減速でき、況してや逆流する事も可能なんだよ。でも、今は拷問であって殺す訳じゃないから逆流はやってないがな。どうだ、もうすぐ『プロテクター』について話してくれるかな?」
「フッ面白いな。でもここで死んだくれないか?お前みたいな奴が真実を知ったら上の奴らが危険だからなぁ。というわけで死んでくれ。クソガキ!」
「お前、ホントに怖いもの知らずの大バカ者だな」
俺が地面を力強く蹴ったら地面の形は突然変形し、半径約1メートル程に尖ったコンクリートへ変形されたのだ。正田はそんなのが来るとは知らんかったから一瞬にして血だらけに刺された。
「グハッ。お前…バケモノかよ…」
口から大量の血を吐きながら呟いた。
「おいおい、お前ウザいからとっとと死んで欲しいんだよ。てな訳でフィナーレを迎えるか。」
「お前、後ろ見てみろヨ…」
後ろには手首が紐で縛られている早希がいた。
「テメェ、ふざけんじゃねーぞ!舐めやがって野郎が〜」
俺は正田の傷口に指を入れて、血流を逆流させた。咄嗟に彼の傷口から大量の血が吹き出た。当然死んだだろうと考えた。俺は早希の顔をほどいてやった。
「ねぇ何で私を助けようとしたの?ただ無理矢理付いてきてただけなのに?」
「そんなの、一応仮住まいしてるって事だから一応見守るって言う責任はあると思ってな。」
俺はもう既にいつもの口調に戻っていた。その瞬間早希は泣き出した。恐らく暗部に立ち向かう事が凄く怖くて、また今の言葉が凄く嬉しかったのだろう…