第10話〜それぞれの思い
8月5日朝の5時くらいに俺は目を覚ました。睡眠時間もほぼ4時間しかしてないのでとてつもなく眠かった。でも、あの二人には見つかりたくないため身支度を整えたらすぐに家を出た。5時にはほとんどの店が閉まっていると思っていたが、家から坂を降りたところにあるファミレスは24時間営業なのでそこで少しだけ休息を取ろうとした。
「いらっしゃいませー」
「一人席」
「かしこまりましたー」
眠そうな高校生くらいの店員であった。貧乏な学生は早朝バイトだと時給が高いから人気らしい。席に案内されて座るとメニューをみて数秒考えたら、「ヘルシー雑穀カレーのAセット」と店員に頼み、「かしこまりましたー」と言い店員は去って行った。最近は健康的に悪い食事を摂っていたため、少しはましな物にした。俺はドリンクバーのコーナーへ行きいつも通り、アールグレイにミルクを一杯入れて席に戻った。しかし今日は早朝であったためアイスティーを一杯飲んだら寝てしまった。なぜなら、カフェインを摂取してすぐに仮眠を取れば眠気はとても取れると聞いたからである。
「ふあぁぁ〜」
大きな欠伸をかいた空は目覚ましを見たら6時くらいであった。空は隣に寝てる早希を起こそうと肩を二回叩いたら、早希も両目を擦りながらゆっくりと起きた。
「おはよー」
「おはよー」
何気ない挨拶を交わした後先に口を動かしたのは空の方だ。
「今日こそはねー。健康的じゃない食事を摂ってる彼に私たちがご飯を作るって行ってたじゃん。」
「彼って島久でしょぅ?」
「アイツ以外誰がいるの?そうだよ。だから下行こ?」
「いいわよー」
空はやる気満々なのに対し、早希はまだ眠気が取れてないみたいだ。渋々と寝室を出て階段を降りた。下に降りるとリビングがあるので彼の在宅状況がよく分かる。しかし、リビングに彼の姿は見えなかった。
「………」
「何でいないの!?島久!」
「仕方ないって、お兄さんが見つからないんだから。」
「だからって一度も顔を合わせないのはおかしいんじゃない?」
「まぁね。私が計画した朝食作戦は失敗だしねー。多分彼ね、余計な心配を私たちに掛けさせたくないんだと思う。彼と昔付き合ってたでしょ?だから分かるの」
「………」
「とりあえずご飯食べよ」
二人は適当に食パンをトーストして、バターとジャムを塗って食べた。二人ともずっとスマホをいじっていて、無口であった。しかし、いきなり空が声を上げた。
「ナニコレ⁉︎」
「ど、どうしたの?」
「ウィザーム知ってるでしょ?」
「あー。あの不気味な都市伝説ねー。」
「このやり取り見て」
空は早希に掲示板のとあるページを見せた。
『誰か、ウィザームの家の住所を教えてくれますか?
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 00:58.43
すいません、どなたか都市伝説で話題のウィザームの住所を教えてくれませんか?
291:名無し@都市伝説 8/5(日) 00:59.21
>>931
夜遅っ。住所を知ってどうするのですか?
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 00:59.47
>>291
そのウィザーム、あるいはその両親に会います。
291:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:00.31
>>931
お前正気かよ!?アイツに会ったら両腕食いちぎられちまうんだぞ?
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:00.58
>>291
その覚悟なら出来ている。俺は、東京第2位だから。
291:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:01.13
>>931
え、マジっすか?
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:01.28
>>291
嘘でこんな事は言いませんよ。
334:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:01.33
何か騒がしいですね。
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:02.01
>>291
>>334
ウィザームの住所を知っていますか?
334:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:02.27
>>931
教えてもいいですが、会ってどうしますか?
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:02.56
>>334
ありがとうございます。会って、色々話をします。アイツがなんでこのような事をしているかなど。
334:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:03.54
>>931
分かりました。住所は東京都小平市美園町1丁目23−1です。
931:名無し@都市伝説 8/5(日) 01:04.14
>>334
了解です。有難うございます。』
早希は何も言えなかった。(東京第2位って島久の事じゃん!でも、どこにウィザームとの接点が?)こんな事が早希の脳裏を掠めていた時、空はテレビをつけてニュースを見た。
『今日未明。外堀通りにて、何者かが車を殴った後があります。また、稀に血生臭い臭いがするため警察が捜査をしています。』
「昨日の夜、結局彼が帰って来なくて結局眠っちゃったじゃん。多分外堀にいたんじゃない?」
「まさか…。そんな…!」
二人とも唖然としていた。
俺は仮眠をやめて自然と目が覚めた。時計を見たら6時半頃であった。少しテーブルを見渡したら、伝票が置いてあり、またもう一枚紙が置かれていて、それには『お作りの料理はできましたので、起きましたらカウンターにお声をお掛け下さい。』と書いてあった。普通の昼ごはんの時間帯だったら来店者数が多いためこのようなサービスはないが、早朝の時間帯は人数が少ないためこういうのがあるらしい。指示通りカウンターに声をかけたらすぐに持ってきてくれた。15分くらいでご飯を平らげたらすぐに会計をして店を出た。そして俺はあの場所に向かおうとしていた…