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フリーター兄弟  作者: 黒熊
8/10

恩返し。

兄「何をゆっとんねん。」


兄の呆れた声が部屋中に響き渡る。


弟「だから、じじばば連れて大分に温泉旅行いこうやって。」

兄「それはわかっとんねん。何で大分やねん?」

弟「ワシが行きたいから。」


突飛な発案でもまるで当然のようにいい放つ弟。


兄「いやいや、大分に何しに行くねん?」

弟「温泉旅行やゆうとるやん。何をゆっとんねん。」

兄「あほちゃうか、、、、。」


馬鹿らしい発案に呆れ顔の兄。

聞いてられないと言わんばかりに近くに置かれたソフトケースの中から煙草を一本取り出す。

火を着けようとライターを探す素振りからこの発案を無視しようとしている兄に弟が感付く。


弟「いやいや、兄ちゃん、じじばばには日頃世話になっとるやろ。ちょっとくらい恩返ししてもバチはあたらんやろ。」

兄「現実的ちゃうやろ。よう考えてみろよ。金はどうすんねん。」

弟「貯めたえぇやん。」

兄「、、、、お前貯金なんぼあるん?」

弟「ゼロ。兄ちゃんは?」

兄「、、、、お前よりはあるわ。」


社会的に残念な結果を堂々と告げる弟に悲しさと、そんな弟といい勝負をしている自分になんとも言えない絶望感に言葉を失う兄。


弟「まぁんなもん今から貯めたえぇやん。」

兄「どんだけ掛かる思てんねん。」

弟「代々移動費と宿泊代で十万くらい?そっから遊び代で十万使ったとして二十万くらいやろ。」

兄「二十万も掛かるやぞ?」

弟「二人で十万ずつや。大したことないやん。」

兄「、、、、まぁ思てたよりはな。」

弟「じゃろ?」

兄「けど、何時までに貯めんねんそんなもん。」

弟「一応予定では敬老の日。6ヶ月で三万ずつ?」

兄「なんでやねん!二万やアホ。」

弟「あって損はないやろ。」

兄「、、、、まぁせやけど、、、、。月々三万はキツいやろ。」

弟「兄ちゃん実家やからえぇやんけ。」

兄「アホ抜かせ。母ちゃんのゼニゲバっぷり考えろ!」

弟「確かに、、、。」


母は倹約家なだけである。

しかし、兄弟からすればゼニゲバに見えるようである。


兄「つか、温泉旅行はえぇけど、ばばどうすんねん。一人でまともに歩けもせんのに、温泉なんて一人じゃ厳しいやろ。」

弟「兄ちゃん一緒に入れば?」

兄「入れんねやったら入るわアホ!」

弟「まぁそこも考えてるよ。従姉妹の姉妹連れてこかなって。旅代いらんから働けって。」

兄「それ何人で行くつもりやねん?」

弟「ワシら兄弟に従姉妹の姉妹、後じじばばの六人。」

兄「せやったら父ちゃん母ちゃん連れてけばえぇやん。そないすれば金ももっと分散できるやろ。」

弟「わかってへんなぁ兄ちゃん。限定やから有り難みがあるんやろ。」


まともな意見の兄に対して今度は弟が呆れ顔である。


兄「いやいや、厳しいやろぉ。いくらなんでも。」

弟「やってみんとわからんやろ。それにや、ワシら兄弟がこんだけ頑張ったってじじばばから受けた恩返されへんやろ。」

兄「まぁせやけど、、、、。突然過ぎるわ。」

弟「兄ちゃんやらんでも俺はやるで。敬老の日に間に合わんくても、年内には一人でもやるつもりや。」

兄「んー、、、、、。」


普段からヘラヘラしている弟の初めてに近いくらい見たことのない真剣な眼差し。

そんな弟の真剣さに困惑する兄。


弟「どや?一枚噛まんけ?」

兄「とりあえず母ちゃんに相談しよや。前向きに検討するから。」

弟「ほんまに?!よっしゃ!!ほな、決まりやな!」


兄の考えるとゆう言葉を無視するかのように喜ぶ弟。

お互いにフリーターである兄の心配は募るばかりであった。



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