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フリーター兄弟  作者: 黒熊
10/10

兄には偉大な名言がある。

平成28年3月21日午後6時。


バイトが終わり、じじばば宅に帰宅する兄。


祖父「おかえりぃ。」

兄「ただいまぁ。」


最初に兄を出迎えたのは祖父である。

動けない祖母に代わり、洗濯物を取り入れる最中のようだ。

そんな祖父を気遣い、「手伝おか?」と声を掛けるも、


祖父「もう終わるからえぇよ。仕事お疲れさん。」


仕事とゆう響きに『バイトやが。』と訂正したくなるも、

祖父の元気な姿と笑顔に嬉しさを感じると同時に、自分の今の立場に申し訳なさが込み上げて、上手に返事が出来なかった。


兄「ばばは?」

祖父「居間におるよ。」

兄「わかったわ。」


祖父を後に居間に入れば、ソファに腰掛けてニュースを見ている祖母が、「おかえりぃ。」と祖父と同じように笑顔で迎えてくれた。

祖父と祖母からすれば普段離れている兄と生活するのは嬉しいものなのであろう。


手元にあるスマホを確認すると、弟から連絡がきている。

内容は凄まじく完結で凄まじく淡白なものである。


弟『取り敢えず三万。今月から。』


見る人からすればただの金融屋さんである。

そういえばある闇金融のドラマの主人公と、弟の名前が一緒であることを思い出す。

その強面の主人公の俳優と、ちゃらんぽらんな弟の顔を見比べ、『名は体を成す』とゆう言葉を疑う兄。


昨日、母の借金問題が浮上した話だが、兄の素晴らしい名言により一気に解決したのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

平成28年、3月20日、午後4時。


弟「母ちゃんへの借金かぁ、、、。」


神妙そうな面持ちで兄を見つめ、忘れてたとばかりに頭を抱える弟。


兄「、、、お前なんぼ借りとん?」


そんな弟とは対称的に気楽そうにスマホでゲームを始める兄。

真剣に考える弟を見向きもせず、ひたすら画面を追いかけている。

たまに視線を変えたかと思えば弟ではなく煙草を探していたりと、とにかく興味がないようである。


弟「、、、五万くらい。」


きっとたいした額を借りてない兄からすれば弟の悩みなんてたいしたことではないのだろう。

そう捉えた弟は、恐る恐る、「兄ちゃんは?」と聞き返す。


兄「二十万。」


兄は偉大である。

光の如く速さで質問を堂々と返す兄に対して、この時弟は心底そう思った。

自分の六倍近くの借金に対してこの態度である。

惚れ込む意外に選択肢が弟には見つからなかった。


弟「いやいや!マジどうすんねん!」


流石に余裕を見せる兄に驚きを隠せない弟は取り敢えずツッコンでみる。

今の現状、旅行どころの騒ぎではない。

本気で悩み出した弟に対して、兄は口を開く。


兄「心配すんな。大丈夫や。」

弟「いや、、、せやかて二十万て、、、。」

兄「えぇこと教えたるわ。」

弟「、、、、なんよ?」


兄「母ちゃんの借金なんか返さんでええねん。」


弟「、、、。」


兄は心底偉大である。



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