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俺は電源を入れながら答える、電源が入った事によりコックピット内に非常灯以外の明かりが点く。

「それはだな、訓練学校に通ってる成果だな」

「訓練学校?」

 キャンディが首をかしげる。何だか知っている知識に偏りがあるな、そういえば何か目的があったけど解らないとか言っていたし。

「主に警備兵の養成を目的とした学校だよ、主に体を鍛えるのが中心だったかな。キャンディ、警備兵が何なのか知ってる?」

「知らないけど、名前の響きからしてシェルターを守るための仕事だとは想像つくけど」

 察しが良いと話が早くて助かるな。そんな事を思いながら俺はコントロールパネルを操作すると、正面と左右、後ろについて要るモニターに外の様子が映し出される。

 映し出された外の様子はやはりと言うか、タコしか映って無かった。

「うわあ、凄いよこれ周りがタコだらけだよ」

 予想はしていてもこれだけ凄いと驚きもある、しかしこの程度のタコなら稼働には何の問題無い筈だけど。

「そうそう、この大型パワードスーツを使うのも警備兵の仕事にあるから、何度か動かした事が有るんだ」

「へ~そうだったんだ、でもこれでもう安心だよね、このままシェルターに行っちゃおう!」

「そうだな」

 キャンディもシェルターに一気に行けるのが嬉しいのか、元気な感じだ。

 コントロールパネルを操作して先ずは張り付いたタコを落とそうとすると、何故かパワードスーツはうんともすんとも言わない。

「あれ、おかしいな」

「どうしたの啓介、何かあったの」

「いや、何故か動かないんだよ電源入ってるのに」

 コントロールパネルを叩いて唸っている俺を見て、キャンディはさっきまでの表情が嘘だったかのように曇る。

 幾らパネルを操作してもパワードスーツは一向に動く気配はない。

「キャンディ、良い知らせと悪い知らせどっちを聞きたい?」

「啓介どうしたの急に」

「良いから選んで」

「じゃあ、良い知らせの方で」

 キャンディは渋々と良い知らせの方を選んできた、俺はその選択を聞いて操縦席を立つとハッチに手を掛けて。

「良かったなキャンディ、タコが沢山食えるかも知れないぞ」

「まって啓介、まってそれって」

「ハッチは俺が開けるまで絶対に開けるなよ」

 ハッチを少しだけ開けて素早く外に出る、中からキャンディの叫び声が聞こえるけど、ハッチからタコが中に入らない内に閉める。

 キャンディもここまですれば追ってきたりはしないだろう、俺がタコを倒さないと出られないだろう。

「このタコども、倒したら茹でダコにして食ってやる」

 俺は腕に鋭利な鱗を纏わせて手近なタコから殴って行く、タコは一発殴ると一撃で潰れるが、殴った側から他のタコが絡み付いてくる。

 身体中にタコが張り付いて締め付けてくるが、この程度の力なら何の問題もない。

 俺は両脚にも鋭利な鱗を纏わせて、腕を顔の前でクロスさせてそのまま走り回る。

「ウォオオオオ!」

 鋭利な鱗は触れた側からタコを刺身にしていく、このまま全てのタコを刺身にしていく勢いだったが、巨大なタコ足が俺に衝突して失敗する。

「グヘッ」

 見れば親玉らしい巨大ダコがパワードスーツに群がっていたタコごと、俺をぶっ飛ばしていた。

 凄い威力で強固な鱗越しでも衝撃が伝わってきた位だ。

 不味いな、予想外の威力に俺の顔は焦りの色を帯びる。あの足結構力がある上に、この辺りの床を埋め尽くしてるタコのせいで動きづらくて、回避の難易度をあげてる。

 だけど巨大ダコはパワードスーツではなく俺を狙ってるのが幸いか。でもあんな威力のタコ足で叩いたからパワードスーツの一部が凹んでたのか、大型パワードスーツを凹ませる力をもったラトロケルがいたら、そりゃ回収なんて出来ないよな。

 しかし厄介だな、体が軟らかいから殴っても一撃で倒せて無いタコがいる、巨大ダコには打撃が全くついようする気配が無い。

「色々考えても結局はやるんだけどさ」

 俺は頭を振って余計な考えを捨てて、あの巨大ダコを倒す方法だけを考える。

 タコ足は大体直径が一メートル程それが八本付いている、まあタコ何だから足が八本あるのが普通何だけど。そして体の大きさだタコ足を入れたら二十メートルはある、ここまでくると足なんか使わず転がるだけでも凄い事になりそうだ。

 巨大ダコを倒すには先ずタコ足を切断するのが一番だろう、でもそのタコ足を切断するのが一番大変だろうし成功したら勝ったも同然だけど。

「大変そうだな、でも勝てる気がしない訳じゃない」

 俺は巨大ダコの足の根元を目指したスタートダッシュを切る、巨大ダコも足を使って俺を叩き潰そうとするが俺の方がまだ速い。

 このまま行けば懐に入るのは難しく無いだろう、そこからどうするかが問題だけど。

 巨大ダコは足では俺に追い付けないと分かったのか、足で俺を追うのを止めて床にタコ足を広げ始める。

 何かするようだが、この隙に懐までに行ってやるよ。俺はタコ足を避ける為に残していた余裕を捨てて最高速度で突っ走り、タコ足を避ける様に進んで行く。

 あと少しでタコ足の根元まで辿りつく、そこまで来たところで床が大きく揺れだす。

「うおっと、なんだ地震か」

 流石に大きく揺れる床の上では走りづらく一旦止まると、片手を床につけてバランスをとるが一向に揺れは収まらない。どんどん床に亀裂も走っていく、亀裂が走るに連れて俺の立つ床が盛り上がり始め、そこで漸く何が起きているのか理解した。 

「これは! もしかして」

 タコ足が目の前に広がってるせいで見辛いが奥のタコ足の様子を見る、俺の目の前にある二本以外のタコ足が全て地面に突き刺さっている。

 この揺れはタコ足の仕業か! そうなら早く離れなければ。

 床は揺れて走りづらいので必然的に大きくジャンプして離れることになる、しかし俺がジャンプするのとほぼ同時に床からタコ足が現れこちらに向かってくる。

「ちっ、全部一気にか面倒だな」

 こちらは空中にいて動きが限定されるのに、向こうは六本のタコ足を俺に降り下ろす。空中で身動きが取れない俺に出来る事と言ったら、鱗を腕と脚に出現させて防御を固める事くらいだった。

 巨大なタコ足が直撃して、大きく俺はパワードスーツの方に何回かバウンドしながら吹っ飛んで行き、パワードスーツと激突する。パワードスーツの方は何とも無かったが、俺の方は固い金属と正面衝突して身体中が痛い。

 あれだけの威力で殴られて吹っ飛んでも生きていられるのは嬉しいが、あのタコ正直予想外の強さでかなりきつい。

 鋭い俺の鱗で殴ったタコ足は表面がズタズタになるが、あまり聞いている気配はない。鱗だけだと傷が浅くて殆どダメージになっていない。

 良い考えが浮かばず、もう一度突っ込もうかと考えた矢先、先程操作した時はまるで反応せず動かなかった大型パワードスーツが突然動き出す。

「パワードスーツが動いてる、どういうことだ?」

 動いてるのは、キャンディ何かキャンディがしたからだろうか。パワードスーツの肩に乗っていた俺は腹と胸の間の位置にあるハッチまで降りて、今度は力業では無くスイッチを押してみる、すると今度は何の問題も無かったかのようにハッチが開く。

「キャンディ、一体どうやって動かし--」

 コックピットの中に入った俺は何をしたのかキャンディに聞こうとしたが言葉を失ってしまう。キャンディが何かしたのは確定だろう、俺が気になるのは、キャンディがコントロールパネルに触れること無くパワードスーツを動かしている点もあるが、一番は目を閉じながら僅かに発光している点だろう。

 自分でも意味が分からないが、キャンディは僅かに淡い青色に発光してコックピットの中を照らし、その髪だけが重力の影響を受けていないのかの如くフワフワと浮かび、コントロールパネルに触れていないのにパワードスーツが動いている。

 時折手を動かすとそれだけで、浮遊感ありまくりの髪は風も無いのに流れてるように見える。


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