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「う、う~ん?」

「お、漸く目を覚ましたか、反応が無いから心配したよ」

「ここはどーー」

 女の子が言い切る前に部屋が大きく揺れる、巨大トンボが俺達を見つけて襲ってきたのだ、幸いな事に体が大きすぎて部屋の中には入ってこれないようだけど。代わりに小さいトンボがワラワラと部屋に入ってくる、それはもう虫が駄目なら吐いちゃう位の数だった。

「キャアアアア」

 女の子は虫が駄目だったらしく俺に飛び付いて来る、抱きつかれると何やら柔らかい感触がするな。布の上から見た時、胸はあんまり無いと思ったけど、この柔らかい感触からしてペッタンコな訳じゃ無いらしい。

 と言っても、この状況で素直に胸の感触を楽しむ事は流石に出来ない、物凄い取り乱している女の子に対して俺の思考は非常に冷静だ。

「離さないでよ、彼奴等から逃げるから」

「う、うん」

 突然の事で戸惑ってはいたけど素直に言う事を聞いて助かる、俺は再び女の子を抱えると全速力でトンボ達に向かっていくそ。

「え、え、そっちは違う、キャアアアアア」

 俺はトンボ達に馬鹿正直に真正面から向かう訳では無く壁際を走る、トンボ等はあまりの数の多さに急に曲がりきれず壁に衝突し、曲がれても他のトンボにぶつかっていた。

「ハアッハハハハ、数の多さが足枷になったようだなあほどもが」

「ヒィ、イィヤアアア」

 俺が巨大トンボに向かって走っていくに連れて女の子の叫びも大きくなる、巨大トンボは獲物が自分から近づいて来ることに違和感を覚える事などせず、俺達を喰おうと口を開く。

「ハッ、やっぱり所詮は昆虫だな」

「キショアアアア」

「キャアアアアア」

 女の子の悲鳴とトンボの鳴き声の区別がつかない位、両方とも叫んでいる。どっちの叫びか解らないけど俺は気にせず、そのまま突っ込んで行く。

 女の子はもう泣きそうだけど俺は巨大トンボの脇をすり抜ける、そしてそのまま高さビルの三階から飛び降りた。

「ヒイイイイ」

 地面に着地した頃には女の子は泣き出していた、歩ける状態では無さそうなので俺は女の子を背負って走ったら、物凄い叫んで喜んでくれたよ嬉しい限りだな。

「おろしてえええええ」

 女の子の叫びが誰も居ない街に響きわたった。早急までなら止めて貰いたい事だけど、巨大トンボは部屋に挟まって動けないから大丈夫だろう、小さいトンボならそもそも俺の足には追い付けない。


 暫くしてから女の子がおろしてと言っている事に気づいたので、今は歩道橋と言う物の上で辺りを警戒しながら休憩中だ。

「そう言えば自己紹介がまだだったな、俺の名前は欅 (けやき)啓介(けいすけ)だ君の名前は」

「名前?」

 何故か首をかしげる女の子。まさか名前が無いのか、そもそもあんな場所にいたのは何でだ。

「もしかして名前が無いの?」

「うん、無いよ」

 この女の子は自分に名前が無いことについて何も思わないのかね。まあ良いか、無いものは仕方がない。

「じゃあ、何であんな場所にいたんだ」

「それは、啓介もじゃ無いの、啓介は何であそこにいたの?」

「質問を質問で返すなよ、俺はあれだ気がついたらいたんだ」

「自分の言ってること変だとは思わないの? 啓介」

 失礼な、それではまるで俺が変人の様じゃないか、自分の事を棚に上げておいてズルい奴。

「俺は変人じゃない」

「変人とまでは言ってないけど、私は目が覚めて外に出て見たら、ああなっちゃっただけだもん」

 外に出て見たらって、この辺りに他のシェルター何かあったけなあ。そう言えば名前が無いって言ってたし、小さなシェルターがあったのかもしれないな。

「なあ、この辺りにシェルターってあったの?」

 シェルターがあるならそこにある電話なりで、近くのシェルターに連絡して助けを呼べるんだけど。

「シェルターは近くには無いよ、此処から一番近くにあるシェルターはあっちの方向だよ」

 女の子が指差したのは俺が目指していたシェルターの方向。しかし女の子の呼び名が無いと不便そうだな。

「あれ、この辺りにシェルターが無いなら、君は一体全体何処から来たのさ。と言うか何で君も普通に呼吸出来てるんだ」

 俺の質問に対して女の子は指を下に向けてから。

「私は早急研究所で目が覚めたばっかりだけど。呼吸が出来てるのは呼吸が出来る様に作られてるからだよ、私は啓介が呼吸出来てる理由が気になるんだけど」

 そこは気にしなくて良い、俺も解らないから答えられないしな。

「作られた?」

 作られたって何だか変わってるなこの女の子は。女の子は歩道橋の柵に寄り掛かって上から地面を見下ろしている。

「そうだよ、私は研究所で作られたの、でも何か目的があるはずなのにそれが解らなくて、研究所も大分壊れてたから外に出てみたの」

「大変だな、出てきて早々にトンボの餌になりかけるなんて」

 研究所は壊れてるのか、残念だな旨く行けば帰れると思ったけど旨くいかないな。

 女の子は柵に寄りかかったままだ。風が吹いて女の子の髪が風になびく、髪が濡れてるせいでベチャッっと音がなる。

「呼吸が出来るって言い方って事は、やっぱり空気は汚染されてるのか」

 そうなると俺が呼吸出来る理由が本格的に謎だぞ。

「汚染何かされていなければ、シェルターに皆逃げたりしないよ」

「まっ、その通りだな」

 やっぱり此処で理由を考えたって答えは解らない、シェルターに帰って精密検査を受けるのが一番てっとり早いだろ。俺は早々に考えると女の子のお腹から音がなる、女の子の顔がみるみる赤くなっていく。

「わ、私じゃないもん」

「別にそんな事言ってないよ、お腹が減ってるならほらこれをやるよ」

 俺はポケットを漁って、キャンディを二粒取り出し一粒食べてから残ったキャンディを差し出す。

「このタイミングでキャンディって、普通はもっとちゃんとした食べ物を出してくれるものじゃ無いの」

 そうは言ってもちゃっかりキャンディを受けとる女の子、味わって食べてくれよ。

「普通の人がちゃんとした食べ物何て持ち歩く訳無いだろ」

「そうだけどさあ」

 不満顔だけどキャンディは食べるようだな。キャンディを口に含んだ瞬間女の子の目の色が変わった。

「な、何これ美味しい、研究所の栄養材より全然美味しい」

「そうかそうか、そんなに美味しいかあ。まあ比較対象が栄養材じゃな仕方ないか」

 早急の不満顔が嘘だったかのようにキャンディを味わう女の子、勢い良く舐めまくってたせいか直ぐに無くなって俺に新しいキャンディを催促してきた。

「ねえ、ねえ、他には無いの、お願いもう一個頂戴」

「残念だがそれは出来ない、最後の一個は今俺が舐めてる」

 現実を告げてやったら、女の子は物凄い絶望した表情で俺に迫ってきた。

「う、嘘だっ! もう一個位探せばあるはずだもん」

「たかがキャンディ一粒位でそんなに動揺するなよ、ほら、シェルターに着いてくれば幾らでも食わしてやるから落ち着けって」

「今食べたいの!」

 跳び掛かってくる女の子、俺の懐やポケットをゴソゴソと漁ってくる。

「アハッ、アハハハくすぐったい、持ってないから本当に持ってないからグフッ、や、めて」

 俺がくすぐったくて身を捩ると、肘が女の子の布に引っ掛かって布が剥がれ落ちる。布を一枚纏っているだけだった女の子は当然素っ裸になる。

「キャアアアアアアアアアアア」

「あらま」

 今日一番じゃ無いかと思うほどの叫び声が辺りに響きわたった。

 女の子は手で俺には見えないように体を隠す、けどそれだけじゃ全てを隠すことは出来ない。俺が言いたいのは、胸は貧乳じゃないそれだけだ。

 女の子は茹でたタコよりも赤いんじゃ無いんではないかと思うほど顔が真っ赤になっている。


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