いろいろ
暖かな日差しが差し込む図書館で、少年と少女はまったりと紅茶を飲んでいる。
「暇……ねぇ、なにか面白いことないかしら?」
栗色のショートボブの毛を弄りながら、少女は少年に聞いた。
少年はポットを手にとり、注ぎ始めた。
紅茶が注がれる心地のいい音がする。
「そうだなぁ……ん、もう紅茶がないみたいだから、淹れてくるね」
マグカップには半分くらいしか注がれていない。
「いいの?アル、あり、が……ふぁあ」
「毛布も持ってこようか?」
「お願い……」
言いながら少女は寝てしまった。アルと呼ばれた少年は、全くもう、と少し苦笑しながらポットを持った。
ドアの前に来たところで、2人は消えた。
図書館は一つの音もせず、ただティーセットのみが残った。
ー
木の温もりが感じられる素朴な家の一室に、アルとニコがあらわれた。
ニコはベッドですやすやと寝ている。
アルは扉の前でしばし呆然としたあと、気を取り直して、あたりを見回した。
「ますここは……」
そう呟いたあと、ニコを揺すり起こしに向かう。
「ニコ、ニコ起きて」
「う……ん!?」
「わぁっ」
ニコが急に上体を起こし、アルがすんでのところで避けた。
「こ、ここはどこなの?」
「えっと、多分……というか十中八九箱庭だね」
アルが呆れたような、困ったような顔で言った。
それを聞いたニコは、苛立ちと呆れの混じった表情になった。
「私の安眠が……」
「うん……いつものことだけど、せめて紅茶を飲みたかったな……」
「久しぶりの休日なのに何したのかしら、あの駄女……神……」
悪態をついていたニコが、アルの後ろを見つめた。
アルの後ろには、美しい、アルビノの女性がいた。
「こんにちは、みんな大好き女神様ですよ」
見た目と一致しない言動をした。
「……女神様、今回は一体何をしたのですか?」
「ニコが面白いことないかしらなんて言ってたから、用意しちゃいました♪」
イタズラっ子のような顔をして女神が言った。
それに対してニコは苛立ちを隠す気のない顔をして言った。
「用意しちゃった♪じゃありませんよ!全くもう、せっかくまったりしてたのに……」
「あら怖い。用意したといっても、一応意味はあるんですからね」
「へぇ……どんな意味があるんですか?」
「んーと……それは……その」
ニコが問いただすと、女神はしどろもどろになり始めた。
「どんな、意味が、あるんですか?」
「うーん、あ、そういえばこのあと用事がありました。 後はよろしくお願いしますねっ」
「あっ、ちょっと!」