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敏感な女

作者: 白石結衣

私、敏感なんです。



「やっちん最近、春くんとよく話すよね」



友人にそう言われればすかさずこう答えます。



「うん。委員会が同じだからね。でも春くんと同じクラスのまさくんのほうがよく喋ってるかも」

「えーあのガリ勉?もうつまんないなぁ」



また別の日には。



「ねぇねぇさっき一匹狼の近藤と話してたよね。しかもなんか険悪だったし。喧嘩かなんか?」



こんなことを言われればすかさず。



「課題の提出が遅れてたからお願いしただけだよ。険悪だった?珍しく授業出てたから眠かったんじゃない?」



こんな感じで私はフラグを折り続ける。

そう私、やっちんこと安川やちよは、フラグに敏感な女なんです。


隣のクラスの爽やかスポーツマンとのフラグが立ちそうになれば速やかにポキリ。我がクラスの問題児な一匹狼とのフラグもポキリ。好奇心旺盛な友人、なつみが立てまくるフラグを速攻真っ二つ。無責任な友人はいつも期待外れだと言わんばかりに頬を膨らませ不満を訴えますが無視を決め込みます。私みたいな地味女にフラグを立てまくってなにが楽しいのか分かりませんが、私はいまのところ恋愛は二次元で手一杯なんです。



「近藤くん、こないだお願いした課題の提出なんだけどどうかな?」

「まだやってない」

「まだってことはやるつもりあるんだよね?じゃあ先生には言っておくから自分で出しにいってね」

「…」

「あ、はるくんちょうどいいところに」

「やっちん!どした?」

「これまさくんに渡しといてくれないかな?」

「やっちんのお願いなら。でも、これなぁに?」

「ふふ、ひみつ」

「…」



近藤くんもはるくんも、タイプは違うけどどちらも美形さんで、こんな人たちとのフラグなんてなつみも罪なことするなぁと感心する。



「ねぇ、やっちん。やっちんってどんな人が好きなの?」

「好きとは?」

「恋愛的に!」

「今は、ガル様命だね。今度イベント行くんだ!」

「ガル様ってこないだ言ってたゲームの?」

「そう!金髪碧眼の超美形!魔力もピカ一なのに剣の腕だってすごいんだよ。それにねっ………」



「はるくん、近藤、ごめん。全くお役に立てず」

「いや、いいんだ。そんなとこも好きだし。正面からちゃんとアピールすることにするよ」

「めんどくさいが仕方ない。将来のために今から稼げる仕事でも見つけるか。ああいったゲームやら漫画やらを与えておけば部屋から出ることもないだろうし、そういった意味では有難い」

「近藤、それは監禁フラグじゃないの?やっちんに折られるよ?いや折られろ!少しははるくんの爽やかさを見習ってよ」



「安川やちよはいるか?」

「はい!あ、生徒会長」

「お前か。生徒手帳を落としていたぞ」

「あ、ありがとうございます」

「…もう落とすなよ。落としても俺がまた拾ってやるがな」



「あれなんか勝手に生徒会長とフラグ立ててる」

「「え!?」」

終わり

誤字等ご容赦ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鈍感()でフラグを立てまくる主人公より好感を持てます。 そして主人公がフラグを折り続ける中、ちゃっかりとフラグを立てていった生徒会長が小気味好いです(笑)
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