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もし魔法が使えたら

「過去に戻りたいなー、ベタだけど」

「…唐突に何だよ?」

 

 紫倉来哉(しくら らいや)は読んでいた雑誌から目を離し、ベッドに寝転んでいる幼馴染を見る。この幼馴染が突拍子もないことを言い出すのはいつものことだが、毎度脈絡がないのでそれだけでは意味がわからない。

 桔梗燈歌(ききょう とうか)は漫画の単行本を開いたまま、顔の向きだけを換えて来哉のほうを見た。


「今読んでる漫画で、魔法を使ってたのよ。もし魔法が使えたら、私は過去に戻りたいなー、って。来はどうする?」

「…さあな」


 適当に答えを濁した。開いたままの雑誌に目を戻す。


「興味なさげだね。真面目に答えてよ」

「興味ないしなぁ…」


 とは言え、来哉は、目線は雑誌に向けたまま、考え始めた。さっさと答えないと、この幼馴染に何をされるかわからないからだ。前に適当に答えたらベッドから落とされたことがある。


「…お前と同じになるけど。過去に戻りたいかな」


 思いついた答えを口に出した。案の定というか、燈歌はその答えに首を傾げていた。


「なんで?」

「過去に戻ってお前との関係を変えたい」


 目線はまだ雑誌に向けたまま、そう答える。すると、傍目から見てもわかるほどに機嫌を損ねた燈歌の顔が眼前に現れた。


「どういう意味!? 私と幼馴染は嫌ってか!」

「そう捉えてもらってもいいが」

「こんな品行方正成績優秀文武両道容姿端麗完全完璧な幼馴染は不満!?」

「自分で言うな」


 お互いの息さえかかる距離で、遠慮なく言い争う。そんな第三者から見たら痴話喧嘩にしか見えないことをする。



もし、過去に戻れたとしたら。

お前と、『幼馴染』なんて、曖昧な関係じゃなく。

もっと違う関係にしてるよ。




【了】

 



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