はたちの集いについて
掲載日:2026/10/30
はたとせを
成人と呼ぶ
僕を笑い
その日のための
毛先摘む君
解説:
髪を切りたい、と、休憩中のバイトが言った。
僕はシフトを作る手を一瞬止めて応えた。
「切れ」
シフト表に向き直る。
それで静かになる彼女ではない。
いわく再来月まで切れないのだという。
そんなことより来月のシフトの穴を埋めて欲しい。
「できたら来月24日空けられない?」
希望シフトを見比べて、無理を承知で聞く。
彼女がスケジュールアプリを開くこともなく黙った。
よく考えてみたら12月24日はクリスマスイブだ。
「いいですよ、足りないなら」
セーフ。僕はセクハラ研修の記憶を再度胸に刻んだ。
そして12月シフトが完成した。店長に確認してもらうようメッセージを送り顔をあげる。
「いつも助かる」
「いいですよ、どうせ再来月もピンチだし」
あっ、と髪の予定に察しがついた。
「成人式か」
彼女はニヤッとして胸の前で毛先をつまみ、
「いまはもう成人式って言わないんですよ」
と言った。
その情景に世代差を感じて、
うた:
はたとせを
成人と呼ぶ
僕を笑い
その日のための
毛先摘む君




