11話 呪縛
船見は、眠る白瀬を眺めていた。血相を変え、突然家に来た時は驚いた。
結局、都会の暮らしにも、村の生活にもなじめなかったのだろうか。寝息を立てる、白瀬の蒼白い顔を見て、船見は思う。
身体だけは丈夫だと思っていたんだがな―
田舎暮らしの者は、体が丈夫である。そんなことを大真面目に言ってきた上司も居たが、それは本当であった。
土に触れることが多く、細菌と関わることの多い田舎に比べ、都会で育った子供はアレルギーを発症しやすいというのはデータで証明されている。それは、口内、鼻腔、腸内に存在する細菌が多様であるためだと言われている。
田舎で生まれたことを、生かさなければ、そう思い、あがいたこともあった。都会の者は、どこか洒落て見えたのだ。
K市を出て、東京へ出た、船見は、無菌状態のような街で、やはり息苦しく、地方都市であるS市に戻ってきた。
都会になじめない自分を鼓舞するための理論武装―無菌状態ではヒトは、生きていけない。幸せ物質のセロトニンも、ヒトが食べたものを、腸内細菌が代謝を行い、生成しているのだ。
それは、目の前で眠る白瀬もそうだったのだろう。
田舎を呪いながら、どこかでそれを求める。不良だった船見とは別の理由で、白瀬は村を出たがった。
これは、あの村へ再度、対峙し、しっかりと向き合う為の試練だと考えていた。本当に呪いがあるのだとは考えていなかった。
白瀬の中の罪の意識が、体調不良と重なり、悪影響を及ぼしているのだろう。●●●祭の謎を解き、父の死に一定の納得を得れば、きっと白瀬も元通りになる。
船見は、ビールを飲み干し、煙草に火をつけた。
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