私たちの特別な魔法
むかしむかしあるところに、魔法使いだけが暮らしている国がありました。
ある日、とある家で、とても可愛らしい女の子がうまれました。
「まぁっ、なんて可愛い女の子なの」
「この子の名前は、シャルにしよう!」
愛情をいっぱいもらったシャルは、すくすくと成長しました。
そして、シャルが五歳の誕生日を迎えた、その日の夕方のことでした。
父親が、小さな子どものドラゴンを、連れて帰ってきたのです。
シャルは喜びましたが、ドラゴンは傷だらけでした。
「どうやら、ハンターに襲われたらしい」
「なんてひどいことを……」
シャルは悲しくなり、ドラゴンの体を撫でました。
すると、みるみる傷が治っていくではありませんか。
「ガウッ」
「よかった、元気になったのね!」
「シャル、今なにをしたんだい?」
「うーん、わからない」
首を傾げるシャルに、両親は顔を見合わせます。
「あれは、どう見ても魔法だろ」
「おかしいわね……この子に、魔法なんて教えていないのに」
両親の心配をよそに、シャルとドラゴンはとても仲良くなりました。
「あなた、とてもきれいな青色をしているのね」
「ガウッ」
「決めた、あなたの名前はブルーよ!」
「グゥ?」
「うーん、わからないかぁ。じゃぁ、歌を歌ってあげる」
そして、シャルはゆっくり歌いだします。
それは、まるで子守りうたのようでした。
やがて時は流れ、シャルは十四歳になりました。
魔法を覚えるのも早く、魔法学校に通っていたシャルの成績は、いつも上位でした。
友人もでき、シャルは楽しい毎日を送っていました。
しかし、楽しい日々は、長くは続きませんでした。
隣の国から、戦いがやってきたのです。
その中には、ブルーを襲ったハンターたちもいました。
戦いは激しくなり、魔法学校の生徒たちもかりだされました。
だけど、連携が取れず、次々と倒れていきました。
シャルの周りで、立っている者はひとりもいません。
立っているのは、シャルと大きく成長したブルーだけでした。
「へへっ、もうあんただけになっちゃったなぁ」
「私は負けない、絶対に!」
「はっ、いつまで言っていられるかな!」
「ガアァーッ!」
お互い睨み合っていると、ブルーがハンターたちに向かっていきました。
すると、その中のひとりが、仲間に目で合図しました。
「ルナ・カデナ!」
「ガウッ?!」
ハンターたちが手を伸ばすと、光の鎖が出現したのです。
そして、ブルーを絡めとってしまいました。
「ブルー!」
「これで、ドラゴンは動けないな」
「ブルーを離して、フレイム!」
シャルは、たくさんの炎の球を繰り出します。
しかし、ハンターは余裕の笑みを浮かべていました。
「リフレクション!」
「なっ、弾かれた?!」
「それだけじゃねぇぜ、サンダーボルト!」
ハンターは電撃を放ち、はね返した炎の球に当てました。
すると、爆発が起こったのです。
「えっ、きゃぁっ!」
吹き飛ばされたシャルは、地面を転がります。
それを見ていたブルーは、ハンターたちを強く睨みつけます。
そして、大きな雄たけびをあげました。
「グオォーッ!」
その声を聞いたハンターたちは、怯えて耳をふさぎました。
そのため、光の鎖は砕け散りました。
「ヤバい、魔法が解けやがった!」
「ガアァーッ!」
ブルーの怒りはおさまらず、ハンターたちを蹴散らしていきました。
「ぐぁっ!」
「ぎゃぁっ!」
ハンターたちは、次々と倒れていきました。
そして、あとは親玉だけになったのです。
「ひぃっ、たっ、助けてくれ!」
「グゥー……」
ブルーは、ゆっくりと親玉に近づいていきます。
「ブルー、やめて!」
シャルはなんとか立ち上がり、ブルーに呼びかけます。
「私は大丈夫よ。だから、冷静になって!」
しかし、ブルーはシャルの言う事を聞きません。
それどころか、親玉を睨みつけたまま、口から火を出そうとしていたのです。
「どうすれば……」
その時、シャルは小さい頃を思いだします。
そして、優しく歌いだしました。
子守りうたのようなその歌に、ブルーの動きが止まりました。
その隙に、親玉は慌てて逃げだしました。
シャルの歌声に、ブルーはだんだん落ち着きを、取り戻していったのでした。
やがて、戦いは終わりを迎えたのです。
たくさんの人が傷つき、悲しみがうまれました。
その後、シャルは旅に出ることにしました。
もちろん、ブルーも一緒です。
二人はこれから、いろんな国を巡るでしょう。
また、戦いに巻きこまれるかもしれません。
でも、心配はいりません。
だって、二人には特別な魔法があるんですから。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!




