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第五話『選定の記録』

第一の試練「亡者の海」を越えたナユタ。

だが彼の戦いはまだ始まったばかり。

次なる柱の気配と、同じように“選ばれた者”たちの存在が明らかになります。

 ──薄明の光が、ゆっくりと瞼の奥に差し込んできた。


 目を開けると、そこは木造の小さな部屋だった。

 潮の匂いはすでに消え、夢だったような感覚が残っている。


 「よう、目ェ覚ましたか」


 ドアの向こうから現れたのは、褐色の肌に金髪の青年だった。

 年齢はナユタと変わらないくらい。しかしその目には、剣より鋭い光が宿っている。


 「……お前は?」


 「セド。俺も、お前と同じ“選ばれちまった”側の人間だ」


 ナユタは理解する。

 この男は──自分と同じように、“柱の試練”に触れた者だ。


 「ここは、“選定者の収容所”と呼ばれてる。

 まあ、気取った名前だけどな。ようは“柱”に選ばれた奴らの控え室だよ」


 部屋の奥には数人の気配。

 少女、老人、戦士、そして一人、異様な存在感を放つ黒髪の少年。


 「お前が“赫光”の継承者か」


 少年が口を開いた瞬間、空気が一気に重くなる。


 「名乗る気はないが、俺は“第二の試練”に最も近い者だ。

 次は“千罪の剣鬼”。お前にその資格があるか、試させてもらう」


 その言葉に、ナユタの胸が音を立てた。


 「……“剣鬼”か。戦乱の時代を呼ぶ、血塗れの柱」


 「ああ。“斬られた者の魂”が剣に封じられる。お前が視た未来の中にも、きっといたはずだ」


 “剣鬼”──ナユタの視た断片に何度も現れた存在。

 紅く濡れた剣、炎に包まれる街、そして──泣き叫ぶ誰かの声。


 「未来を変えたきゃ……次も“自分自身”で選び取れ。

 選ばれたくて選ばれたんじゃねぇ。だが選んじまった以上、俺たちは止まれねぇんだよ」


 セドが肩を叩く。


 「準備しろ、ナユタ。“第二の柱”が目を覚ます」


今回もお読みいただきありがとうございます!


第五話では、新たな舞台“選定者の収容所”と、同じく柱と関わる者たちの存在を描きました。

いよいよ第二の試練「千罪の剣鬼」との対峙が近づいてきます。


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