第十六話『罪と罰の番人、裁きの双剣』
新章「双面の処刑人」編、開幕。
次に立ちはだかるのは、“冤罪すら裁く柱”。
ナユタは、「自分の正義」そのものを試されることになる。
裁きの鐘が、静かに鳴った。
前回の“血濡れの道化”によって崩壊しかけた都市は、
まだ爪痕を引きずっていた。
それでも、人々は笑い、暮らし、未来を見つめようとしている。
──だが、その“平穏”に突き刺さる異変が、起きた。
「死刑が……復活した?」
王都・第二行政区。
かつて法の力によって廃止された“公開処刑”が、
ある日突然“復活”した。
その執行者の名は──
《双面の処刑人》
両手に“罪を断つ剣”と“罰を許す剣”を持ち、
顔の半分は仮面、もう半分は素顔。
「冤罪も、真犯も、関係ない」
「すべての“罪が発生したという未来”を裁く」
彼は、“未来の犯罪”さえも視て、裁く存在。
そして今、彼が次に裁くと宣告したのは──
ナユタ・クロイツ
「……俺が、罪人だって?」
彼は視た。
赫光によって助けた数々の“未来”の断片。
だがその裏で、「助けられなかった命」も確かにあった。
「あなたは“他人を救う未来”を選ぶたびに、
“別の誰かの死”を放置してきた」
──その“放置した未来”が、ナユタの「罪」だというのだ。
「貴様にその資格があるのか……!」
「資格などいらぬ。“罪がある”という事実だけで、裁きは始まる」
そしてナユタの前に現れたのは、“彼の過去の選択”からこぼれ落ちた
無数の幻影たち。
──泣く子供。
──焼かれた家。
──未来から失われた、誰かの笑顔。
「これは……俺が……!」
ナユタの赫光が、再び揺らぎ始めた。
(俺は、また試されてる……“誰を救うために、誰を見捨てたか”を──)
処刑人が双剣を構える。
そして、宣告する。
「──次なる試練。“過去の罪を認めぬ者”に、未来を選ぶ資格はない」
赫光の継承者、ナユタ。
次の柱は、“未来を救う資格そのもの”を問うてくる。
お読みいただきありがとうございました!
新章《双面の処刑人》編の導入回となる本話では、ナユタの選択の“裏側”が突きつけられます。
彼は「誰かを救うことで、誰かを殺してきた」と言えるのか──
非常に重く、倫理的な問いに踏み込む章になります。
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